表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

【親殺しの鬼崎】

そう呼ばれるようになったのはいつからだろう


俺の父は借金を残し自殺

残された俺たち家族はその借金に追われとにかく貧乏だった

母親は男を取っ替え引っ替え

酒に溺れ 気に入らないことがあれば俺を殴り倒す

幸い妹は殴られることはなかったが…


しかし事件が起こる

いつものように家に男を入れる母親

2人ともひどく酔っ払っている

「こんなババァじゃ物足りねぇな」

男はそう言うと妹の方を見た

「ちぃと幼ねぇが我慢するか」

男は妹に手を出そうとした

母はそれを止めようとはしない

気がつけば俺は包丁を持っていた

「どうせ刺せやしないよ あの父親の子だからね」

母親はそう言うと俺を殴りつける

何度も何度も…

ダメだ

意識が…


「やめて!!!」


妹の叫び声が聞こえる

その瞬間母親の首に包丁が刺さっていた

血を噴き出す母親の顔を見た俺は何故かホッとした「狂ってやがる…」

男はそう言い放ち家を飛び出す


もう大丈夫だ


俺は泣いている妹を抱きしめる

その時 鏡に映った俺の顔は母の血で赤く染まり

そしてひどく笑顔だった…


その事件はニュースでも大きく取り上げられた


幼い子供が母親を殺害


噂はすぐに広まった

そんな俺たちに居場所なんてなく

自分たちで作るしかなかった

俺は喧嘩に明け暮れ不良仲間を増やす

チームを作って成り上がる学校もろくに行ってなかった俺はその方法しか思いつかなかった


そして不良チームのリーダーとしてその名を売っていく

「親殺しの鬼崎」その名を知らないものなどいないほどに…


そんな俺も今日で引退だ

次のリーダーは誰にしようか


妹の雪は喧嘩はしないものの副総長的な立ち位置だ

抗争などの配置など頭がすこぶる良い

戦国時代ならとんでもない軍師になっていただろう


「アニキ!早くしないと遅れちゃうっすよ!」

こいつの名前はアキラ 勝手に俺の舎弟になったやつだ

そして一番最初に俺についてきてくれたやつでもある


「アキラ今までありがとうな…」

「へへ!感謝の言葉は後で聞くっすよ みんな待ってますんで!」


そう今日は俺の引退を祝う集会がある


「さぁ上がって上がって!」


今じゃ100人も超えているこのチームも俺の唯一の誇りだ

そしてこれは雪やアキラが支えてくれたのも大きい

俺1人じゃ出来なかったことだろう


「今日は俺の引退集会に集まってくれてありがとう

よくここまでついてきてくれた 感謝する」


「そして今日をもってこの鬼崎 晴は引退する!!」


「「うぉぉおおおぉぉぉぉぉぉおお!」」


「そして次のリーダーは雪に任せる!」


「雪も今までよく頑張ってくれた

このチームをよろしく頼む」


「わかったわ 兄さん」


「新しいリーダーになった雪だ!

私はこのチームをもっと大きくしたいと思っている

みんなは私についてきてくれるか?」


「「うぉぉおおおぉぉぉぉぉぉおお!」」


「その為には何が必要か みんなはわかるか?」


「力…そして権力!今の私たちにはそれがない!」

「私はある組織に力を借りることにする」


!?


「雪…それは許さない…」


ある組織とは裏社会のトップに君臨する組織で

この街の支配している

警察すらも手を出せないほどの権力を持っている


俺たちの父親もそこから借金し 自殺に追い込まれたのだ


「兄さんならそう言うと思ってたわ

でもこのままではただの不良ごっこなのよ

そのくだらないプライドのせいで潰されるのごめんだわ」


確かに大きくなりすぎた俺たちはその組織から目を付けられている


「だが父親を殺した組織だぞ」


「私は顔も覚えてないわ」


「ダメだ それだけは俺が許さない」


「そう…邪魔をするのね」


雪がそう言うとアキラが拳銃を取り出した


「アキラ…そんなものどこで手に入れた…」


「アニキは硬すぎるんですよ 雪さんについて行けばうまくいくんす

ステゴロで喧嘩する時代なんてとっくの昔に終わってんすよ!

そんな甘いこと言ってたら殺されるのはこっちなんすから…」



「雪…いつからこれを計画していた…」

「最初からよ 兄さんが母さんを殺したあの日から…」


「そうか…こいつらも俺についてきたんじゃなくお前についてきてたのか…」


「そういうことよ わたしの計画に兄さんは邪魔なの」


「俺が【親】ならお前は【兄】か…」


「アニキが悪いんすよ…

今からでも遅くないっす!

アニキがいてくれれば百人力なんすから…」


「すまんな アキラ…これだけは許せねぇ

俺は雪を殴ってでも止めるつもりだ…」


「…残念っす」


「後は私に任せてよ このチームを大きくしてみせるからさ

誰にも邪魔されない居場所を作る為に…

だから安心して死んでよ」


まぁどうせ止めても止まらんか…

俺のやり方に不満を感じていたのは知っていたが

まさか俺を殺しにくるのは予想外だったな


結局 俺の居場所はここでもなかったか…


雪がアキラに合図を送る

アキラの目は涙で溢れそうになっている


「アキラ…」

「なんすか…」


「妹を頼む」


「…はい」


バン!!!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


なんだ…

真っ暗だ…


『SSスキル【強奪】が取得可能です』


…?


『Fスキル【鑑定】が取得可能です』


スキル?なんのことだ…

まぁ貰えるもんは貰っておこう


まさか妹にまで裏切られるとはな…

まぁ俺も【親殺し】だしな 人のことは言えないか


それよりもなんだか眠いな……

いし…き…が……………


『再構築完了』

『転移を開始します』





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ