陰謀論団【Conspiracy Crusader】
一方、セノンたちも大きな事件に巻き込まれていた。
「グリム様、準備が整いました」
「これで奴らを•••」
暗い部屋で月の薄明かりに照らされながらニヤリと笑った。
「セノン様、テンシェン様にお会いできる手はずが整いました」
「よかった、ありがとうございます」
アリアは、岩のほこらまで来ると、マナスで封印を解いた。
そこには、大きな立派な角を持ったドラゴンが横たわっていた。
「テンシェン様、こちらはセノン様と、ルミオ様です」
「お初にお目にかかります。よろしくお願いいたします」
「その方たちは、マナとは違う力を感じるな!」
「魔力と申します」
「ほう、この時代の者ではないな!」
「はい、未来からこの時代へやってきてしまいました。そして、帰れなくなってしまったのです」
「そうであったか•••」
「我にも、その方たちを身との時代に戻す方法は分からぬ、だが、これを授けよう」
テンシェン様の方からセノンたちの前に小さな綺麗な宝玉がゆっくり降りてきた。
「これは?」
「その宝玉は、額にあてると一度だけ近い未来を覗き見ることができる。くれぐれも使いどころを間違えるでないぞ」
「ありがとうございます」
セノンは、大事そうにしまった。
「テンシェン様は、なぜ人間に手厚い恩恵を与えているのですか?」
「人間が好きだからかの、平和に暮らしている限りは、恩恵を与え続けようと考えておる」
「テンシェン様、ありがとうございます」
「アリア、よかったですね!」
「はい」
「アリアには、これを!」
アリアのもとに、テンシェン様の鱗が一枚舞い降りてきた。
エーテリオアビス•••
「毎年、ありがとうございます、これで今年もよい年が送れます」
「祭りの準備を頼んだぞ」
「はい!」
アリアたちは、封印を施すと神殿へと戻ってきた。
「セノン様、ありがとうございました」
「いえ、こちらこそありがとうございました」
セノンは、自分の部屋に戻るとルミオに相談してみた。
「ルミオ、さっきの鱗の名前なんだけど、エーテリオアビスの鱗になってたの•••」
「ぞれって、現代に現れたエンシェントドラゴンの名前と同じ?」
「そうなの•••」
「もしかして、封印しないといけないドラゴンが、テンシェン様?」
「そうかも•••」
「あの祭りに使う鏡で戻れるかな?」
「おそらく•••」
祭りの準備は、着々と進められていた。
「おーい!そこの柱はもっとこっちだ!」
「あいよ、親方!」
祭りは、まず神殿の大広間に信者たちを一同に集めて、テンシェン様への感謝の祈りを捧げたあと、例の鏡を神殿の頂きにある祭壇へ納めて一年の安寧を願うのであった。
「アリア様、鏡はもうできたのですか?」
「はい、ここにあります」
セノンが、鏡の裏を確認してみると、
「我、求む、永遠の、星々、知識、海、持つもの、願い」
「前のと少し違うわね•••」
「うん、ドラゴンの名前もないね」
「アリア様、図々しいお願いですが、この鏡で元の時代に戻れるか試してみてもよろしいでしょうか?」
「本来は、祭りまで祭壇には飾らないのですが、分かりました」
「ありがとうございます」
早速、アリアに連れられて祭壇まで来ると、
「アリア様、少し離れて下さい、アリア様まで現代に行ってしまうかも•••」
「分かりました」
セノンが、祭壇へ鏡を飾ってみるが何も起こらなかった。
「やっぱり、この状態の鏡ではダメなようだね•••」
「残念•••、ありがとうございます」
「いえ、残念でしたね」
とぼとぼと部屋まで帰ってくると、机の上に手紙が置いてあった。
「何かしら?」
「えっと、今夜、0時過ぎ町外れの広場まで来られたし、お礼の品を渡したき候」
「何これ、果たし状だね!」
「ああ、あの忍者のお礼参りか•••」
「無視すればいいじゃないか?」
「そうも行かないわ、アリアたちに迷惑かけられないし•••」
「それもそうか•••」
セノンとルミオは、仕方なく真夜中に抜け出し、果たし状の場所へと向かった。
「よく逃げずに参られた!」
「あの忍者の仲間でしょ?」
「知ってて来るとは、命知らずだな」
「あなたこそ、頭領を殺られたのに来るなんてバカね!」
「まあ、なんとでも言え!」
「ここにおびき寄せさえすればいいのだからな•••」
意味ありげそう呟くと、闇へと消えていった。
「は?」
「どういうことだ?」
「ルミオ、転移で帰りましょ!」
「分かった•••あれ、転移できない!」
「ウソ!」
「我らの、結界はそう簡単には破れぬぞ!」
「こんなの!」
「ルミナス•ブレイカー!」
セノンが、呪文を唱えると光がほとばしり、結界の中を幾度となく反射した。
「うわ、危ない!」
「結界が、破壊できない?」
「むやみに魔法を使うのは危険そうだね•••」
「どうすれば?」
「セノン、マナスを試してみたら?」
「なるほど•••」
セノンは、解という字を古代語で書いてマナスを使ってみた。
結界の1枚目が、音を立てて破壊された。
「そうは行かんぞ!」
忍者の一人が結界内に現れた。
「くう、面倒な奴らだな!」
「私は、結界を破壊するのに専念するわ」
「分かった」
忍者が、ルミオと距離を取りながら牽制の手裏剣を投げてきた。
ルミオは、一瞬で避けるとナイフで襲いかかった。
忍者が、クナイで受け止めると、口に含んだ何かをルミオの顔目掛けて吹き出した!
「うわ!」
思わず、ルミオがのけ反ると、クナイで素早い攻撃を繰り出してきた。
見えないながらも、ナイフでなんとか受けきると、袖で素早く顔を拭き取った。
「おや、毒が効きませんか?」
「僕には、毒は効かないよ!」
「では、これはどうでしょう!」
忍者が、分身しながらクナイでルミオに襲いかかるが、ルミオも分身して全てを受けきった。
「次は、僕からいくよ!」
「ダークミラージュ•ストライク!」
ルミオの前方から、3つの首を持った狼が現れて襲いかかった。
忍者は、素早く手裏剣で応戦すると後ろに飛び退いた。
「グサっ!」
「うう、囮か•••」
忍者の後ろから鋭い刃の影が貫いていた。
「やっと、一人か•••」
「ルミオ、大丈夫?」
「うん、セノンの方は?」
「これ一体何重に結界張ってるのよ」
「時間稼ぎか•••」
「次は、俺の番だ!」
「まとめて来いよ!」
忍者は、日本刀を持っている。
斜に構えると、ゆっくりと円を描きながら、
「迅雷疾風剣•殺」
一気に加速して一閃を放つと、三連突きで追い討ちをかけてきた。
「ミスト•ヴェール!」
ルミオは、霞のように姿を消すと、すべての攻撃は、空を切り裂いた。
「迅雷疾風剣•滅」
忍者が、続けざまに一閃を放つと、ルミオの身体の側で真空の塊がいくつも激しく破裂していった。
「アビサルスフィア•バラージ!」
ルミオは、すべての爆発に合わせて、闇の球体をぶつけ相殺した。
「お主やるな!」
「お前もな!」
忍者は、ジリジリ移動しながらルミオの隙を狙う。
「迅雷疾風剣•壊」
忍者が、日本刀を天高く掲げると雷が剣に落ちてきて電気を帯びた状態になった。
「なんだそれ•••」
忍者が、日本刀を振り抜く度に切っ先から雷が放たれた。
「もう、面倒だな!」
ルミオは、雷を瞬間移動で素早く避けながら忍者へ近づくと、
ナイフの後ろで忍者の首もとをドついて気絶させた。
「これいつまで続けるつもりだよ!」
「もしかして祭りが終わるまで?」
「それが目的か!」
次回 【Ancient Dragon Seal】




