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伝説の魔女の玄孫の私は、この魔法の廃れた世界で 怪盗ウィッチとなって無双する    作者: 吾妻 八雲


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王国武道会 【Majestic Tournament】


「アリア様、もうそろそろ次の国に行ってみますか?」

「そうですね、まだまだ知らないことが沢山ありそうですからね」


「次は、東の平原へ行ってみますか!」

「分かりました」


次の国は、大きな壁に囲まれ国に入るのにも検問があるような大きな国だった。


「すごく立派な国のようですね•••」


「でも、あの検問をどうやって通るのですか?」

アリアが心配そうに言うと、


「それは、ほらね!」

「僕に任せて!」


ルミオの転移ですんなり入国できた。


「相変わらず便利な能力ね!」

「ありがとう!」


「あれを見てください!」

アリアが驚いて指を指した。


「あれが、通貨ですよ!」

「あれは、何をしているのですか?」

アリアが不思議そうに尋ねた。


「テンシェン様の国では物々交換で経済を回していましたが、この国では貨幣制度を導入しているようです」

「貨幣制度?」


「貨幣制度というのは、国が保証した通貨(この場合は銅貨)を流通させることによって円滑に売買等を行う制度のことです」

「はあ•••」

アリアは、まだピント来てない様子だった。


「例えば、あのリンゴ5つの価値と肉一切れが同じ価値だとします。

テンシェン様の国では、肉を買いたかったらリンゴ5つを代わりに用意しなければいけませんが、通貨を使えば、リンゴ5つが銅貨3つで肉一切れも銅貨3つの価値であれば、銅貨があればどちらも購入することができます」


「なるほど、つまり物の価値を通貨という形で肩代わりしているのですね」


「その通りです。しかも、通貨であれば物だけでなく労働の対価としても支払うことができるので、給料としても利用できるのです」


「素晴らしい制度ですね!」


「ただ、もちろん問題点もいろいろあるのも確かです。

銅貨は、あくまでも物としての価値は銅です。

これを国がその価値があると保証しているから成り立っているのであって、国の力が弱まれば無価値となり暴動が起きるかもしれません」


「危険な面もあるのですね!」


「そうですね、それを踏まえてしっかりと管理できればとても便利な制度なのです」


「あとは、偽造通貨にも注意が必要です」

「偽物ですか•••」


「銅貨よりも安価な材料で大量に偽物が流通してしまうと、経済が混乱してしまいます。

そのため通貨は、偽造できないように特殊な刻印や特別な細工を施したりして偽造防止をしておく必要があります」


「うわー、勉強になりました。ありがとうございました」

「どういたしまして」

セノンは嬉しそうに笑った。


セノンたちはそのまま町を見て回っていた。


「さあ、さあ、今夜はコロッセオで闘技大会が開かれるよ!参加は自由!なんと優勝者には、銅貨2000枚が送られる!」


「闘技大会だって!」

セノンは興味深々のようだった。


「ルミオとエルム出場してみたら?」

アリアが二人の肩を押した。

「そうよ、銅貨2000枚ゲットして」

「ゲット?」


「貰って来てってことです!」

「そっか、二人とも頑張ってね!」


「よっし、いっちょやってやりますか!」

「私も負けませんよ!」

ルミオとエルムは、腕同士をガッシリ組んで気合いをいれた。


「マナスは使用可能かな?」

「どうでしょう?まあ、試合の経過見てれば分かるでしょ!」

「そうだね!」

イケメンが二人で眩しいスマイルで話し合っていた。


セノンとアリアはそれを嬉しそうに眺めていた。


「観客の方は、こちらへお並びください!出場希望の方はあちらの門へ集合お願いします!」


「じゃあ、ルミオ頑張ってね!」

セノンは頬にチュッと軽くキスした。


「エルム頑張ってね!」

みんながジッと見ている。

アリアは、恥ずかしそうに素早くキスした。


ルミオたちは集合場所へとやってくると、猛者たちが集まっていた。


「なかなか強そうだね!」

「ああ、王国剣士や拳闘士もいるな」


「あいつは忍者だね•••表に出てきていいのか?」

「この時代では忍者もれっきとした仕事で裏の仕事ばかりしている訳ではないのですよ」


「そんなもんですか•••」


「皆さん、今回は出場希望者が多いので予選を行いますので、全員武台上へお上がりください。

まずは、ここから8名になるまで落としあいをしてください。

残った8名でトーナメントを行います」


「これは楽勝だな!」

中央付近で大男が、「ふん!」と一発気合いを入れると武台上の角の方からバタバタと落ちていった。


「おお、やるな!」

ルミオとエルムもどんどん落としていった。


武台上には8名の戦士が残っていた。


怪力大男のドライ、王国剣士時期団長候補のマルシヤス、忍者のゲッコ、 武士のアカツキ、拳闘士のバリス、 格闘家のミツルそしてエルムとルミオの8名だった。 


「第1回戦は、王国剣士マルシヤスと忍者ゲッコの対戦です。

ルールは、単純明快、故意での殺人は禁止と降参か武台上から落とすと勝利となります。

あとは、何でもありの戦いです。

存分にお楽しみください!」


「ウォーーーーーー!」

コロッセオは大歓声に包まれた。


「では、第1試合開始!」


「私はマルシヤス!この名に懸けて勝利を掴む!」

「ウォーーーーーー!」


「ケケケ、忍びに名前も何もない•••」

「ブーーーーー!」


「すごいアウェイ感ね•••」

「アウェイ?」

アリアが不思議そうに聞いた。


「では参る!」

マルシヤスが剣を構えると、マナスで炎の剣を作り出した。


「おお、魔法剣!」

ルミオが身を乗り出す!


「ケケケ、オラは水だ!」

印を結ぶと、

「水獣の陣、渦巻!」


マルシヤスの足元にいきなり渦巻きが現れ、大きな熊のかたちをした水柱が4頭現れマルシヤスを襲った。


マルシヤスはそれを真上に避けると、風のマナスで一気に加速しゲッコへと剣を突き刺した。


ゲッコはあっけなく燃え尽きた。

かと思いきや、それはただの木片だった。


「あれは空蝉の術!」

ルミオがまた身を乗り出す。


「ケケケ、何しとる?」

「くっ、やるな!」


ゲッコが印を結ぶと、

「闇影の陣、おぼろ!」


ゲッコの身体が2重3重にも見えて来て、たくさんのゲッコがマルシヤスの周りを囲んだ。


「雷獣の陣、狼牙!」

それぞれのゲッコから何匹もの稲妻の狼がマルシヤスをあらゆる方向から襲ってきた。


マルシヤスは自分の周りにマナスで高い土壁を一瞬でせり上げた。


「ケケケ、終いじゃ!」

「雷獣の陣、鷹!」

ゲッコが素早く印を結び、マルシヤスの頭上から、稲妻の鷹が一直線に襲いかかった。


「勝負あったか?」

ルミオまた身を乗り出す。


「ケケケ•••ケ?」

ゲッコはその場で倒れた。


「へ?何が起こったの?」

会場がどよめく。


マルシヤスが、ゲッコの傍らに姿を現した。


マルシヤスはすでに姿を消すマナスで雷獣の陣を抜け出していた。


「アイツ強いな!」

エルムが感心していた。


マルシヤスがゲッコを場外へゆっくり置くと、

「試合終了!勝者マルシヤス!」


「ウォーーーーーー!」

「きゃーー!マルシヤス様!」


「すごい人気だな!」


マルシヤスは手を振って声援に答えていた。


「2回線目は、怪力大男のドライと謎の剣士エルムの対戦です。開始!」


ドライがいきなり気合いをいれた!

「ふん!」

ドライを中心に凄まじい風が一気に広がった。


エルムは微動だにせずそよ風のように受け流して見せた。


「きゃーー!エルム様」

「エルム様もカッコいいわね!

マルシヤス様とどちらがカッコいいかしら?」

アリアがムッとした。


ドライが突進してきたところを、ヒラリと交わした。

ドライは武台から落ちそうになってなんとか耐えると、

「ぶっ潰ーーーーーーす!」

またすごい勢いで突進してきた。


エルムは華麗に宙を舞って避けると、ドライはそのまま武台を落ちてしまった。


「2回戦の勝者は謎の剣士エルム!」

「きゃーー!カッコいいわ!」

「エルム様!」


エルムは観客席のムッとしているアリアに気がつくと、アリアに向かって投げキッスをした。


「きゃーー!今の私にしたわよ!」

「いいえ私によ!」


「ふん、私に決まってるでしょ!」

アリアが得意気に言った。


「アリア様大変ですね•••」


「いい気になりやがって!殺してやる!」

武台の下から空高くジャンプするとエルム目掛けてドライが飛びかかってきた。


エルムは動じた様子もなく、剣先で風のマナスを操るとドライをそのまま武台の反対側までなげ飛ばした。


ドライは白目を向いてぶっ倒れてしまった。

次回 【Showdown Saga】

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