精鋭部隊【Elite Squad】
シオンたちは、本部に戻ると、
「お兄ちゃん、さっきはごめんなさい、力不足で•••」
「私たちも、足手まといですいませんでした」
「ごめんなさい•••」
「なに言ってるの、十分戦えてたじゃない!」
「そうだよ、最後の奴らはまだ相手にするには、少し早いと言うだけさ!」
「今から強くなればいいのよ!」
「ありがとうございます•••」
マリアたちは、不甲斐ない自分達を申し訳なく思っているようだった。
「そういえば、他のMDの状況はどうなってるの?モックン?」
「現在、訓練中なのは、33名です。ただ、二人だけ抜きに出た者がいるようです」
「名前は?」
「剣士系のバルクーイとタンク系のボスコンです」
「ほー、ランクは?」
「二人とも【4-50】です。主に二人パーティーで訓練しているようです」
「なかなか、やるわね!」
「セノン、この三人とパーティーを組ませたらどうかな?」
「なるほど、バランスいいわね」
「バルクーイ、ボスコン、ちょっといいかしら?」
「なんですか?セノンさん」
「この3人とパーティー組んでほしいの」
「よろしくお願いします」
「俺たち、二人でやってるんでちょっと•••」
「まあ、お試しだと思ってお願いね」
「いや、ハッキリ言って足手まといなんですよ!」
「これからは、ランクが上がってくると二人ではキツくなって来るからね」
「バルクーイ、お試しならいいじゃないか!」
「チッ、ボスコンがそう言うなら、しょうがないな•••」
「みんな、ごめんよ。こう見えて、悪い奴じゃないんだけどね•••」
「まあ、よかったわ、じゃあ、よろしくね」
第三章 迷宮名「恐慌山脈」20階
~ “Great Depression” ~
「チッ、しょうがねえな!【3-20】からかよ!」
「まあ、まあ•••」
ボスコンが、バルクーイの肩を叩く。
残りの三人は、申し訳なさそうにしている。
「じゃあ、俺たちが前衛でいくから、ナミナは、防御魔法と攻撃強化魔法を、ウーノは、水魔法で後方からの範囲攻撃を、マリアは、敵を霧魔法で撹乱してくれ!」
「分かりました!」
「よし、よし」
ボスコンは、大きくうなずいた。
バルクーイの指示通りにいくと、あっという間に100階まで来てしまった。
「バルクーイさん、すごいですね」
「指示も的確だしね」
「リーダーですね」
少し照れている様子だった。
100階のボスは、ロックドラゴンだ。
「ああ、こいつか•••ちょっと苦手なんだよな•••」
バルクーイが、言った。
「なぜですか?」
「俺の属性は、炎、闇、風の三属性だから、岩や土との相性が悪いんだ」
「なるほど」
「ここは、わいに任せときな」
ボスコンは、土、水、闇の3属性持ちなのでタンクに向いている。さらに、ロックドラゴンとの相性が良い。
「今回は、ウーノもいるから頼んだぞ!」
「はい!バルクーイさん」
ウーノも気合いが入っている。
ロックドラゴンが、咆哮すると、
周りの岩がいくつか宙に浮かんだ。
「攻撃が来るぞ!防御だ!」
バルクーイが、叫ぶと、
みんなが、ボスコンの後ろに隠れた。
ナミナが、急いで防御魔法と強化魔法をかけると、
岩が、いろんな方向から降り注いだ。
「よっしゃ、来い!」
ボスコンが、気合いをいれると、すべての岩が、全員の周りを覆い尽くした。
「うりゃ!」
ボスコンが、すべてを弾き返すと、
バルクーイが、黒炎魔法で一気にロックドラゴンの周りを黒い炎の竜が包み込んで高熱に熱した
すかさず、ウーノが水魔法を放った。
「ウォーターフォール!」
ロックドラゴンの頭上から、滝のように大量の水が降り注ぐ、すると•••
「ピキピキ、ピキ•••」
ロックドラゴンの表面にいくつものヒビが入った。
「いまだ!」
バルクーイの合図で、一斉に攻撃魔法を放つと、ロックドラゴンは粉々に砕けてしまった。
「よっしゃ!」
「やった!」
「上手く行ってよかった」
「ウーノ、ナイス!よく気がついたな!」
「はい!ありがとうございます」
バルクーイが、ウーノの肩に手を置いた。
「なぜ?急にヒビが入ったんですか?」
マリアが不思議そうに聞くと、
「高温に熱した石を、急激に冷やすと割れやすくなるんだよ!」
ウーノが、少し自慢げに言った。
「へえ、そうなんだ。ウーノよくそんなこと知ってたね」
「将来、科学者になりたいからいろんなことを学んでいるんだ」
「なんか、カッコいいね」
ウーノは、少し照れていた。
「さあ、この調子でランク上げていくぞ!」
「おー」
「はい!」
パーティーの息もあってきた。
第四章 迷宮名「永遠の草原」1階
~“Eternal Meadow” ~
「ここは、ひたすらだだっ広いから、それぞれ自分の魔法を練習するのに適している」
「なるほど」
「敵にあわせて、フォーメーションを変えながら進もう」
「はい!」
「分かりました」
マッドソルジャーが、何体か襲ってきた。
「マリア、出番だ!」
「はい!」
「マッドソルジャーたちを、風の領域で一ヶ所に集めてくれ!」
マリアが、風魔法「エリアストーム」で、敵の周りを風の渦で包み込むと、
「熱魔法、インフェルノピラー」
バルクーイは、炎と風の合成魔法でエリアストームの中に火柱を作った。
マッドソルジャーは、ボロボロになって全滅した。
「なんか、すごいですね!」
「加熱魔法は、外に拡散しやすいから、今みたいに領域を作ってもらうと、高い効果が得られるんだ!」
「なるほど」
次は、アンデッドウルフだった。
「ナミナの出番だ!」
「はい!」
「闇系のアンデッドやゴーストなんかは、光の銃弾が効果的だ!」
「はい」
ナミナは、「Feather S7」を構えるとアンデッドウルフを狙ったが、すべて避けられてしまった。
「よっしゃ、わいの出番だ!」
ボスコンが、アンデッドウルフの前方の地面を泥状に変化させた。
「次は、外さない!」
ナミナは、全弾命中させて仕留めた。
「ナイスや、ナミナ!」
「ボスコンさん、ありがとう」
「いい攻撃だ!」
こんな感じで、自分の得意な敵を選んで魔法の【level】を上げていった。
通常、魔法【level】は、
【光、炎、風、水、土、闇】の順で表される。
バルクーイは、【1.8.7.2.1.7】
ボスコンは、 【1.2.2.6.8.7】
マリアは、 【1.2.6.2.1.7】
ナミナは、 【7.2.1.1.6.1】
ウーノは、 【2.1.2.8.2.2】
みんなのステータスは、こんな感じだった。
ついでに、合成魔法についてもまとめておこう。
光ー闇ー虚空
ー炎ー光線
ー水ー聖水
ー風ー雷鳴
ー土ー成長
炎ー光ー光線
ー闇ー黒炎
ー水ー蒸発
ー風ー加熱
ー土ー硬化
風ー光ー雷鳴
ー闇ー夜霧
ー炎ー加熱
ー水ー運気
ー土ー砂塵
水ー光ー聖水
ー闇ー毒素
ー炎ー蒸発
ー風ー運気
ー土ー粘土
土ー光ー成長
ー闇ー腐敗
ー炎ー硬化
ー風ー砂塵
ー水ー粘土
闇ー光ー虚空
ー炎ー黒炎
ー水ー毒素
ー風ー夜霧
ー土ー腐敗
さらに、ここから派生する属性もあるため、多種多様な魔法が存在する。
工夫次第でいろんなことができるのだった。
中には、光ー闇の虚空や風ー水の運気など少し変わった属性も存在する。
虚空は、空間を歪ませたり切り取ったりすることのできる魔法だが、光と闇の属性を同時に持つものは、かなり希少なため滅多にお目にかかることはない。
運気も風ー水ー光で幸運、風ー水ー闇で悪運となるため、この三属性以上持たないと効果を発揮できないので、扱える者は乏しい。
「やっと100階か!」
「ボスが厄介そうね•••」
「サンダーフーフラムか•••」
「雷属性もちの羊ね」
「あれは、羊っていう大きさじゃないだろ!ゾウぐらいあるぞ!」
「確かに•••」
「水系の魔法は、全く効かないからウーノは、補助にまわって!」
「はい!」
「攻撃が来たら、わいが防ぐからバルクーイとナミナを中心に攻撃を仕掛けてくれ!」
「分かった!」
サンダーフーフラムが、前足を上げて地面に強く叩き付ける、雷雲が立ち込めるとそこらじゅうに雷が落ちて来た。
「キャー」
「マリア、わいの後ろへ!」
バルクーイは、雷を避けながら敵に近づくと、
「黒炎魔法、シャドウフレイム!」
真っ黒な炎が、サンダーフーフラムの体を覆い尽くした。
それと同時にナミナが、「クリスタルバインド」でサンダーフーフラムの足を固定して動けなくしてくれていたため、効果抜群だった。
「よく燃えるな•••」
サンダーフーフラムは、そのまま燃え尽きてしまった。
「ナミナ、やるな!ありがとう」
「いえ、バルクーイさんの攻撃魔法が、すごいんですよ」
次回 【Resurrection of the Ancient Dragon】




