壊滅完了【Demolition Completed】
「あなたのような、小娘が私に向かって来るとはおろかですね」
と、ガイゼが大きく首を振った。
「おろかなのは、あなたでしょ。
いい?【9.9.9.9.7.7】だね」
「あなたは、何を言っているんですか?」
「ちなみに、私は【10.10.10.10.10.10】よ。
この意味あなたに分かる?」
「うるさい小娘ですね、この私は四属性持ちなんですよ!しかも、光と闇ももっています。この意味が分かりますか?絶望しなさい」
「絶望する要素がないわね!」
「いいでしょう、これでも食らいなさい!光と風の最大合成魔法、テンペストライトニング!」
急に周りに雲が立ち込めると、激しい雷撃がいくつもセノンめがけて降り注いだ。
「ブラックウォール!」
セノンは、闇と土の合成魔法で障壁を作り軽く交わすと、
「テンペストライトニング!」
すかさず、セノンが、同じ魔法を繰り出した。
「ばかめ、私だってブラックウォールぐらい使えるぞ!」
「うわーーーーーー!」
ガイゼは、落雷の直撃を食らった。
「な、なぜ?同じ魔法なのに•••」
「だから、さっき教えてあげたじゃない!」
「なに?」
「属性【level】についてね」
「さっきの数値か?」
「あなたは、せっかくの四属性というアドバンテージを捨てたのよ!」
「捨てた?」
「全体に満遍なく属性をあげて強くなったつもりのようだけど、せっかくの主属性を限界まであげないなんて、愚の骨頂よね」
「ぐ、ぐの•••」
「同じ魔法でも、【level】も魔法量も私の方が上なんだから、打ち合いで勝てるワケないでしょ?」
「ああ、もう聞こえてないか•••」
ガイゼは、すでに気絶していた。
「じゃあ、あんたは八章にでも行ってらっしゃい」
第八章 迷宮名「豪雪地獄」1階
~“Snowy region”~
ガイゼは、気絶したままだった。
「おい、おばさん、これなにか分かるか?」
アクヤは、開いた魔導書を見せつけた。
「お前、今度言ったら、マジで殺すからな!」
「うっせい、ババア!」
「はい、死刑確定!」
シオンは、完全にキレてしまった。
「どうせ、ろくでもないもの召喚するんでしょ?早く、出しなさい!」
「じゃあ、見せてやるよ!」
「出でよ!カースドラゴン!」
「カースドラゴン?」
シオンが、信じられないような顔をした。
目の前に、禍々しい魔法陣が展開されると、ドでかくて、黒くて嫌なオーラを纏ったドラゴンが現れた。
「お主が、呼び出したのか?」
口から、どす黒いオーラを吐き出しながら言った。
「俺が、お前の主人だ!」
そう言って、アクヤは、指輪を見せた。
「カオスリング?それのせいね!」
「今頃、気がついても、もう遅いわ」
「さあ、カースドラゴン、あのババアを食らい尽くせ!」
「まったく、自分の力量も分からずに、バカなことをしでかす•••」
「バルトロス、お願いね」
「我に、お任せを!」
燦然と輝く魔法陣が展開されると、光輝くドラゴンが現れた。
「ホーリードラゴン?」
「そうよ、参ったて言って、ババアって言ったこと謝ったら、殺さないであげるわよ」
「アホか、ババア、お前が死ね!」
「行け!カースドラゴン!殺せ!」
「おお、ゾルバデス、久しぶりだな」
「バルトロスか、こやつワシの•••」
「ああ、指輪か?」
「シオン殿?」
シオンは、アクヤに向かって指を鳴らした。
すると、アクヤのはめているカオスリングが、一瞬で砕け散った。
「ああ、指輪が!」
「どうだ?ゾルバデス、気分は?」
「ああ、スッキリしたわ」
「おい、カースドラゴン、言うこと聞け!」
「うるさい餓鬼じゃの」
ゾルバデスは、アクヤをつまみ上げると、口の中に放り込んだ。
「わあーーーー、やめろ!」
「だから、言ったのに!身の長にあった魔法を使いなさい!」
「ああ、もういないか•••」
「バルトロスの主人よ、迷惑をかけたな」
「いいえ、こちらこそ、バカな人間が悪いことをしたわね」
「ところで、あの青年は?」
「うん?ルミオのこと?」
「僕が、どうかしたかい?ゾルバデス?」
「おお、我を名前で呼んでくれるとは、嬉しいことじゃ。どうだろう、我と契約してもらえぬか?」
「なぜ、僕と?」
「その、エターナルダークネスが、我を呼んでおるのじゃ、この方が、主人だと」
「そうなのか?じゃあ、よろしく頼むよ!ゾルバデス!」
「ああ、ありがたき幸せ」
ゾルバデスは、魔法陣へ戻っていった。
「ルミオ殿、ありがとう」
「バルトロス、気にしなくていいよ」
バルトロスも嬉しそうに魔法陣へ戻っていった。
「なに?あの三人が殺られた?」
組長室では大騒ぎになっていた。
結局、暴れ足りないとシオンが、組長共々、取っ捕まえて迷宮送りにした。
第三章 迷宮名「恐慌山脈」1階
~ “Great Depression” ~
「山だらけじゃないか?なんか食いもん探してこい!」
「親分、食事なんかどこにもありませんぜ!」
「いいから、探せ!」
これで、完全にゴンドーズ ファミリーは、壊滅した。
「あとは、ガルマス商会ね」
「とりあえず、戻りましょ」
「はい」
次回 【Elite Squad】