殲滅作戦【Annihilation Operation】
「ウーノ、私とシロガネでサポートするから、好きなように戦いなさい!殺さない程度にね!」
「はい!」
「ナミナ、私が前衛で行くから回復と防御魔法をお願い。カミナは、ナミナを援護してあげて!」
「分かりました」
「マリア、僕と同時に攻撃をするんだ、バックアップはウルンに任せておけば安心だから、自由に戦っていいよ」
「ありがとう、お兄ちゃん」
それぞれ、一般の構成員だけなら余裕で無双していった。
「よし、最後だな!」
「ウーノ、なかなかやるね」
「ありがとうございます」
「待ってください!」
シロガネが、叫んだ!
「ウーノ、私から離れないで!」
「くっ、気付かれましたか!」
「隠蔽スキル?」
「感のいい鳥ですね!」
「私は、チェイスと申します」
ウーノは、すかさず銃で攻撃を仕掛けた。
「よし、当たった」
「どこにですか?」
「ウーノ、あれは幻影よ!」
「あら、気付かれましたか、分身と言ってくださいよ」
チェイスの姿が、何人も現れては消えるのを繰り返した。
「ウーノ、よく見てどこかに本物がいるはずよ」
「はい」
「これでおしまいです!」
ウーノの首筋にチェイスのナイフが突き刺さったかと思ったが、
ウーノの姿は消えていた。
「あなただけが、幻影が使えるとでも思ってるの?」
シオン、ウーノ、シオン、ウーノ、シオン、ウーノ、、、
「くそ、どれが本物だ!」
「はい、チェックメイト」
ウーノが、そう言うとチェイスはすでに床に転がっていた。
「お見事!」
「セノンさん、強すぎですね」
「まあ、こんなもんでしょ」
セノンたちは、あっという間に制圧していった。
「私の魔法は、要らないかも•••」
「そんなことないわよ」
「ずいぶん余裕だな!」
そこには、ザインが炎の剣を構えて立っていた。
「あなた、なんでここに?」
「ああ、お前なんか知らねえよ!」
ザインは、不祥事でMDをクビになってから、記憶はなくなっていたが、性格は変わらないようで、結局悪の組織に雇われていたようだった。
「結局、それだけの男ってことね」
セノンが、手をあげてクビをふった。
「なんか、お前ムカつくな•••」
ザインは、イフニートソードを構えると、炎の勢いが増した。
大きく空中に円を描くと、空中に魔法陣が現れた!
魔法陣が、水平になって地面へと降りていくと、中から炎の魔人が現れた。
「行け!イフニート!」
炎の魔人は、戸惑っている•••
「おい!ザイン、お前そいつ呼び出すのはじめてでしょう!」
「なんで、そんなことが?」
「いや、それうちのイフニートだし•••」
「何をバカな!行け、行け!」
「あら、これ俺が迷宮で落とした剣だ、返してもらうぞ!」
イフニートは、ザインから剣を、ヒョイッと奪い取ると、口の中に入れてしまった。
「あーん、ゴックん」
「うじゃ、俺は、帰るからお休み!」
イフニートは、魔法陣の中へ帰って行った。
ザインは、その場で腰を抜かして手を振り回していた。
「俺の剣をどこにやった!くそ、くそ、高かったのに!」
「あんたも、可愛そうにね!」
「よし、イフニート!」
セノンが、魔法陣を発動すると、イフニートが現れた。
「あれ、また俺か?」
「そいつを、迷宮に閉じ込めといて」
「しょうがねえなあ•••」
イフニートは、しぶしぶ言うことを聞いて、ザインをつまみ上げた。
「おい、何してるんだ?お前は、俺の召喚獣だろ?」
「おら、シオンの召喚獣だ。お前は俺の剣を盗んだだけ、だからいただきます。あーーん」
イフニートは、ザインを飲み込んで、迷宮の第九章へ閉じ込めた。
第九章 迷宮名「灼熱の終焉」1階
~“The end of the scorching heat”~
「熱っつ!ここだこだよ!」
「出してくれよ ーーーーー」
「あっ気なかったわね•••」
「なんか、ザインがかわいそう•••」
ナミナが、気の毒そうに言った。
その頃、マリアは苦戦を強いられていた。相手のハンターは、「神器;疾風脚」を付けていた。
シナヅは、一瞬で移動すると、マリアにナイフで襲いかかった。
ルミオは、間一髪のとこで攻撃を防ぐが、軌道が見えない。
「くそ、このままでは!」
ルミオは、シナヅの動きを観察していた。
転移と言うよりは、瞬間移動か•••
僕も、短い距離を転移すれば追い付けるかも•••
シナヅが、一番弱いマリアを徹底的に狙ってくるのを、ウルンが何とか凌いでいる。
次に、攻撃の瞬間、
「よし、追い付いた」
そう言って、シナヅのナイフを叩き落とし、スッと、脚を払うとすごい勢いでシナヅは、吹っ飛んだ。
「散々、妹にちょっかいをかけてくれたな!楽にはいかせない!」
ルミオは、今までに見たことない形相で睨み付けていた。
「お兄ちゃん、ありがとう」
ルミオが、シナヅの首を掴むと、そのまま放り投げて、蹴り飛ばした。
「お兄ちゃん、それ以上やったら死んじゃう!」
「いや、こんなもんでは、気が収まらない!」
マリアが、ルミオを押さえている間に、ウルンが、シナヅを迷宮へ押し込んだ。
「ああ、もっと懲らしめてやりたかったのに•••」
ルミオたちは、急いで本部へ向かった。
「遅かったわね、ルミオ!」
「お兄ちゃん、ちょっと気が立ってて•••」
「ああ、なるほどね•••」
「ここが、本部ね」
「たぶん、ここにもハンターがいるから、注意してね!」
「はい」
「ウルンたちも、みんなを守ってあげてくれ」
「お任せを!」
「待ってたぜ!さあ、殺ろうか!」
ガチガチに装備を固めた、両手刀の忍者のような姿をしていた。
名前は、ベニマル
「神器:紅桜:狂い咲き」「神器:紅桜:乱れ咲き」「神器:紅桜:爛漫」を装備していた。
「なんだ!神器三種だと!」
「チート武器ね!」
「爛漫」は鎧で紅桜三種を装備で炎属性が特大アップ、防御力アップと「幻夢」スキルで相手に短時間の幻覚をみせて翻弄し、その間の攻撃がすべて必中となる。
「狂い咲き」と「乱れ咲き」は、両手刀で同時に使用しないと自分が炎ダメージを食らう。
「狂い咲き」は、「明鏡止水」スキルで一瞬だが相手の動きを完全に止めることができる。
「乱れ咲き」は、「百花繚乱」スキルで無数の斬撃が炎の花びらのように舞い相手に止めをさす。
「さあ、どいつが相手だ!」
「ははは、私にお任せください!」
もうひとりは、いかにも魔法使いという出で立ちの老人だ。
名前は、ガイゼ
手には、大きな杖を持っている。
「神器:エーテルウィスパー」
エーテルウィスパーは、古代の魔法使いによって作られ伝説として語り継がれている。星々の力を宿し、夜空を舞うような輝きを放つ杖で、その先には、無限の知識と創造力が秘められている魔石が埋め込まれていると言われている。
「また、伝説の杖とか持ってる•••」
「あなたたちを、塵と滓にして見せましょう」
最後のひとりは、長髪、長身の男で右手にはなにやら、魔導書のようなものを開いてもっている。
名前は、アクヤ
「こんな者たちに殺られるとは、奴らも大したことないな!」
「俺が、終わらせてやるよ!」
三人とも、かなりの使い手のようだ。
「ああ、これはダメね。三人を連れて帰って、ウルン!」
「かしこまりました」
ウルンは、新人三人を魔法陣の中に押し込め、本部へ強制的に転移させた。
「懸命な判断ですね」
「お前ら、三人以外が相手にならんからな」
「そうだな!」
「で、誰が相手してくれるんだ?」
「僕が、行こう」
ベニマルの前にルミオが、歩み出た。
「ほお、お前が相手か!」
「ひ弱そうだな•••」
セノンが、ガイゼに睨みを利かせている。
「あなた、魔法は使えるのですか?」
「ぶっ殺す!」
「いや、殺さないでね•••」
シオンが、セノンの肩を軽く叩いた。
「じゃあ、私が、あなたの相手のようね。その魔導書、ちょっと見せてもらえるかしら?」
「うるさい、ババア!」
「おい!誰がババアだ!殺すわよ!」
「お母さん、殺さないでね!」
セノンが、肩を叩いた。
一触即発のにらみ合いの中、ベニマルが動いた。
「そら、「幻夢」、いい夢見な!」
そのまま、ルミオに攻撃を仕掛けてきた。
ルミオは、一瞬目をつむると、ナイフで攻撃を交わした。
「ほー、これを交わすか?」
「よく、そんなナイフ一本で戦う気になるな!」
「お前こそ、その装備の本当の怖さが分かってないようだな!」
「なに言ってるんだ?怖い?」
「そうだ」
「いや、お前こそ恐れおののけ!」
「いいか、「幻夢」、「明鏡止水」からの「百花繚乱」だぜ!死にな!」
ルミオは、一瞬クラっとしたかに見えたが、瞬時に姿を消したかと思うと、次の瞬間、ベニマルの左手首をカオスナイフで切り落としていた。
「あれ?」
ベニマルは一瞬すぎて、手が切り落とされていることに気付けなかった。
自分の左腕を見て、
「あれ、あれ、俺の手は?」
次の瞬間、右手がスゴい炎に包まれた。
「わあーーーー、俺の右手が!」
「なんで、幻夢や明鏡止水が効かねーーーおかしいだろ!熱い!」
「僕には、幻惑魔法も弱体魔法も効かないよ。だってもう呪われてるもん」
と、エターナルダークネスを見せつけた。
「それより、早く右手の武器放せば?って遅いか•••」
ベニマルの右手は、すでに焼け落ちていた。かろうじて生きてはいるようなので、そのまま第一章へ送った。
第一章 迷宮名「死への誘い」1階
~ “Invitation to Death” ~
「ああ、た、助けてくれ!」
と、バッタリ倒れ込んだ。
次回 【Demolition Completed】




