朝日
キッチリ閉じられた遮光カーテンを、左右にゆっくりと開けていく時
封じこまれた光の束が無数に部屋の隅々まで照らし出し、その光はまばゆく無数に広がっていく
ま、眩しい。目を少し細めながら見る朝日はとても綺麗だ。
夜行性の私(神林 岬)が、3年半ぶりに早起きしたご褒美だ。
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ある日突然に、私は自分に繋がりのあるすべてのものに興味がないように振舞った。
友達、両親、弟。
洋服、靴、バック
そして引きこもった私は、何もかもがどうでもよくなっていた。そのくせに、ケーキ、コーラ、チョコレート、ポテトチップスのおやつ類と、携帯とビデオの時間が倍増した。
ある日、携帯電話にメールの着信音があった。差出人は知らない人だったが、そのメールは毎週ごとに届いていた。
その内容はといえば、とりとめのないことばかりだった。天気の話だったり、髪の毛を短くしてみたとか。たまには、会って話をしたいだとか。
最初は、からかわれているんだろうか?とか、思って着信拒否をしようかとも思ったが面倒くささが先にたって無視を決め込んだ。
だが引きこもってから3年が経っても、メールは定期的に送られてきていた。あらかた削除したが、久しぶりに残した未読メールを何通か読んでみた。
(元気ですか?私は、ミンが引きこもりになって私のせいかなって思いました。神楽先輩のことで‥私が、告白したからだよね)私のことを、ミンと呼ぶのは親友の花ノ木 桜だけだ。
(僕のこと覚えてる?席替えで、隣の席になった。幹 入江です。僕が黒板の字をうつすのが遅くて、よく君にノートを借りていたっけ。君が、学校にこなくなって寂しいです)
(僕は、神楽 隼人です。男子ばかりの昆虫クラブに、女性が2人も入ってくれて一気に華やいだよ。あれから、この部活をすぐやめると思っていたが君たちは続けてくれたね)
そして、この3人がずっと返事もくれない私にメールを送り続けていた。
今さら、何といえばいいのかわからない‥‥でも、私にできることを一歩ずつから初めてみるよ。ありがとうみんな。