39話
俺はこのままずっとこうしていたい。もうずっと寝転がっていたい。こんなにも疲れているのに、また立ち上がって先を進まないといけないって言うのか? 俺はまだ頑張らないといけないのか? それでも、俺は魔王を討伐しにいかなくちゃいけないんだ。もう諦めてこのままずっと寝ていたい。俺はずっと寝ていたいんだ。このまま意識を手放したって俺のことを誰が責められるって言うんだ。俺はもう十分頑張っただろうが。ここまでやってくるのにどれだけの労力が必要だったかわかるか? お前らに俺の何がわかるって言うんだよ。こんなにも疲れている俺がまだ頑張らなくちゃいけない理由って何なんだよ。俺がそこまでしなくちゃいけないのか? いや、そんなのおかしいって。俺は魔王を討伐する使命を授かったが、ただそれだけの話だ。俺はそれに了承したつもりもないし、責任感を持ってもいない。つまりは、俺は自由だって言うことだ。魔王討伐は今後俺の気が向いたらでいいじゃないか。それでなんの文句があるって言うんだよ。魔王を討伐してやるんだぞ? 俺のタイミングで行くくらいのことは許すべきだろう。俺は自分のタイミングで隙に討伐したいんだ。誰かに急かされるのなんて大嫌いだし、俺のペースが乱されるのも最悪だ。俺のしたいようにするのが一番何だよ。モチベーションを保つうえでもそれは相当重要なことだぞ。どうしたって逃れられない定めなのかもしれないから、一応頭の片隅には置いておいてやるが、まぁ、この世界が魔王によっておとてつもない被害を被っているというわけでもなさそうだし、俺が急いで討伐する意味もないだろう。俺の力が必要になった時は誰かが声を上げてくれればいい。そうすれば、俺は立ち上がり、魔王をコテンパンにしてやるだろうからな。ただし、しょうもないことで俺のことを呼んだりしたらただじゃ置かないからな。俺の休憩を妨げた罪はその身で償ってもらうことになるだろう。俺の貴重な時間を無駄にさせちまうなんて相当に罪深いからな。いくら慈悲深い俺でもそこまでのことに目をつむってやることはできないんだ。俺からしてみれば、相当重要なことなんだからな。ようし、このままここでどれだけ休憩できるかチャレンジしてやろう。俺のほうから話しかけるなオーラを放っていれば、普通のやつでは俺に話しかけることすら不可能だ。もし、俺に話しかけれるような勇気のあるものが居れば、少しくらいは話を聞いてやろうじゃないか。俺は寛大だからな。普通だったら、眠りを妨げた罪を償ってもらうことになるんだが、今回はその勇気に免じてなかったことにしてやろうかな。まぁ、これも俺の気分次第なところはあるけどな。もしも、俺がその時に機嫌が悪かったりでもしたら、その勇者は俺にボコボコにされてしまうことだろう。俺の気分次第で今後の人生が決まっちまうなんてなんて憐れな奴なんだ。ってか、俺に話しかけてくる奴自体いるかわからないんだけどな。俺の話しかけるなオーラに気が付かないほどのあほか、オーラに耐えきってから話しかけてくる猛者かのどちらかだからな。それにしても、町の入口の近くで寝そべってるのってかなり迷惑じゃないか? 俺って、もしかして迷惑行為をしちまってるんじゃないだろうか? いいや、そんなことねぇよな。俺が寝そべってるって言うことでこの町に与える経済効果がどれだけのものか測りしてないだろう。俺は、金を招く男だからな。俺がいるだけで、この町の店は売上200パーセントアップはくだらないだろうな。それくらい、俺個人が与える経済効果はすさまじいものがあるんだよ。でも、ここで寝そべってたら多少なりとも目立っちまうな。いくら話しかけるなオーラを出していても話しかけられそうだな。しかし、俺はここから動くことはできない。本当に体が動かないからできないんだ。ただ、あほみたいにごねているわけではない。体が疲労のあまり、言うことを聞いてくれないってだけだ。こんな状況の俺にここから移動しろなんて言う輩はいないだろう。もしそんな輩がいたら俺がこの手で鉄拳制裁をくれてやろうじゃないか。俺の鉄拳制裁は効くぞぉ。相当痛いだろうな。痛いですめばいいんだけどな。でも、普通の一般人相手に俺の鉄拳なんてくらわしちまったら、即死だよな。俺は、別に犯罪者になりたいわけじゃないからな。そこらへんは少し考えておかないとまずいかもしれない。やっていいことと悪いことの分別くらいは着くと自負している。そんな俺が、人を殺すような真似をするわけがないんだ。もしもそんなことになったとしたらそれは不幸な事故で俺が故意にやったものではない。俺はそんなひどいことをするような心のない人間じゃないんだ。俺だって、色々とムカつくことだってあるさ。でもなぁ、それを他人に当たってストレス発散しようなんてカスがすることだ。少しでも、人間らしい心があればそんなことはしないんだよ。だから、俺は他人に迷惑になるような行為をするつもりはない。




