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38話

「もうやめよう。こんな調子で進んでたって時間の無駄だ。これ以上続けてても意味なんてねぇ。俺のメンタルも限界だ。足を止めて休憩すればいいだけじゃないか。そうしてしまえば、俺の体力も完全復活して、すぐに町に到着できるんだよ。なんで、俺は無駄に意地になってるんだ。こんなスピードで歩くなんて正気とは思えねぇよ」


 俺は今更ながら、とんでもないことに気が付いてしまった。なぜ俺はこんなにもしんどい思いをして歩いているのだろうか? その答えは誰にもわからない、それもそのはずだ。当の本人ですら意味わからないと思ってるんだからな。これで俺以外の誰かがわかっているんだったらそれはもうそいつが俺の体をコントロールして意味不明な行動を取らせているって言うことでいいだろう。俺の意思じゃなかったんだよ。


「いいや、休憩しよう。俺はもう休憩するぞ!! どう考えても馬鹿だ。俺は大馬鹿だ。大馬鹿野郎だ。ふざけやがって、どんな考えでこんなしょうもないことをし続けているんだよ。はぁ、最悪だ。最初から休憩してれば今頃俺はもっと歩けるようになっていたはずだったのによ。俺の体力が回復してねぇのはすべてこのしょうもない行動のせいだ。何かがおかしかったんだよ」


 俺は自分の過ちを他人のせいにすることにした。

 俺がこんなしょうもないことをするはずがない。つまりは、俺以外の誰かがまた俺の施行に干渉してきたということだよ。俺はどんだけいろんな奴からの干渉を受けてるんだよ。全員俺のことだいすきすぎだっつうの。

 マジで勘弁してくれよ。俺の思考はおれだけのもんなんだぞ? それを誰か知らねぇが勝手に色々手を出してきやがって、ふざけんなよ。これも、この世界の陰謀に俺が巻き込まれちまっているって言うことなのか? 俺は一体に何をしたって言うんだよ。魔王を倒そうとしているこの世界の救世主だろうが。なら、俺の思考に干渉なんてするなよ。俺の好きなようにやらせてくれよ。いや、待てよ。俺に干渉してきているのが、魔王の手下って考えたらどうだ? 辻褄があうんじゃないか? そうだよな、俺に魔王が倒されないようにその手下が俺の行動を邪魔してきてるんだよな。それだったら、納得がいくぜ。そうかよ、そっちがそんなしょうもない手を使ってくるって言うんだったらこっちにも考えがあるぞ。魔王城を遠くから狙撃してやろうじゃないか。俺の魔法なら、どんだけ離れてようが、距離なんて関係ねぇからな。最大火力の魔法をいつでも何処でもぶち込んでやれるぜ。これで、魔王もびびりちらかして、泣き出しそうだな。だが、もう遅い。自分の手下が招いたもんなんだから、そのボスである魔王が責任を取るのは当たり前のことだよな。俺からしてみれば、魔王城に魔法をぶち込むだけって言うのは相当甘いって思うんだけど、それで終わりにしていいものなのか? 俺の邪魔を下って言うのにそんなに軽い罰で終わらせちまってもいいのか? 嫌ダメだろ。俺の行動を邪魔したんだぞ。そのせいで俺がどれだけの時間を無駄にしたことか。そいつにもわからせてやらなくちゃならないな。俺の時間とそいつの時間ではそもそもの価値がまったく異なっているという点が問題だが、それは後から計算して適切な時間を無駄にさせてやろう。究極の時間の無駄といえば何だ? やっぱり穴を掘らせてそのまま埋めさせるって言うのが定番だよな。もうそれでいいか。シンプルにまったく意味ないことしてるしな。そいつもかなりメンタル的にも追い詰められるだろう。俺だってしたくないんだからな。常人に耐えられるはずがないんだよ。俺で耐えられないことを耐えられる奴なんてそんな奴はないんだからな。


「おっと、また意味のないことばかり考えちまったみたいだな。俺のことはもういいんだ。こんなことで時間を無駄にしている暇はないんだよ。俺は一刻も早く、休憩して体力を回復させた後に町へはいっていかなければならないからな。俺としたことが、とんだ時間の無駄をしちまったな。これは反省だ。存分に反省しよう。俺は今、猛烈に反省している。相当はんせいしているぞ。今までにないほどに反省している。これは、もう世界で一番反省したのは俺だと断言できるくらいだ。ここまで反省できるやつが俺以外にいるか? いいや、いねぇよ。俺が最強の反省マスターだ。俺は反省でも世界を取ってやるぜ」


 俺はこの後も休憩ついでに今までの反省をした。それはもうとんでもないほどに反省した。普通では考えられないくらいの反省だった。俺に落ち度はないから、そこだけは難しかったが、それも俺の修行だと思って黙って飲み込むことにしたからな。俺は反省を次に生かせる人間なんだよ。これだけ反省してもそれを生かせないんじゃただの時間の無駄になっちまうからな。俺はそんなことしねぇ。時間の無駄を徹底的に排除していくのが俺の人生だ。俺の人生に無駄な時間なんて一秒だって存在しねぇんだ。

 これから、俺は休憩する。これも、これからの俺の人生に必要なことなんだ。故に、俺は休憩する。これでもかというほどの最強の休憩を見せてやろうじゃないか。俺の休憩はただの休憩とはわけが違うからな。その辺の奴らがみたら、驚きのあまりめんたまが飛び出ることだろう。俺は飛び出ねぇけど。

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