表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/43

37話

「よっしゃー!! 俺はついに町へ入るぞ!! 俺はやってやるぜ!! 何を言われようがもう町に入るって決めたぞ。俺を舐めるなよぉォォ」


 俺はついに覚悟を決めた。俺はもう止まらない、誰にも止められない。この勢いを止められる奴なんてこの世界には誰一人としていないんだ。舐めてんじゃねぇよ。

 しっかし、ここまで相当時間を無駄にしちまったな。俺もまだまだ修行が足りてねぇってことか。恥ずかしいもんだな。ここまで俺も未熟だったとは……それもこれで終わりだ。今まで無駄にしちまった時間は確かに帰ってこねぇが、今からの行動でこの時間も無駄じゃなかったんだってことを見せつけてやるよ。俺のやることに無駄なことなんて一つもねぇんだよ。なんてったって俺なんだからよぉ。


「もうやめよう。こんな調子で自分の世界に入っちまったら、また同じことの繰り返しだ。それじゃあ、俺が成長しているとはいえねぇよな。俺はさっきまでの俺とは違うんだよ。もうこのまま、自分の世界に入っちまう頃の俺とは違うんだ。すっげぇ町に入りたくねぇけど俺は止まらねぇよ。てか、さっきまでの疲れがどっかに飛んで行っちまったみたいんだな。心なしか歩くスピードも上がってきてるぞ」


 町まで途方もない距離に思えていたさっきまでの感覚とはまったく違う。じりじりと町が近づいてきている。それでもまぁ、俺の全速力に比べたら寝ているようなもんだから、完全復活とはいかねぇんだけどな。そこはしょうがないってことで。

 俺も疲れはあるんだからな、それが少しでも回復しているってことはすげぇことだ。さっきまで本当にいつ倒れてもおかしくなかったような状況だったんだしな。俺はやっぱり天才みたいだ。俺の天才ぶりに自分でもこえぇくらいだ。怖すぎて夜も眠れねぇっての。俺はこれまでもこれからもとんでもねぇ速度で進化していくんだからな。俺の成長は誰にもとめられねぇぜ。


 町に入る覚悟を決めたのは良かったんだが、町に入るまでの過程が思ったよりも遠い。

 スピードが上がったとは言えども、それでも今の速度はありが歩くよりも確実に遅い。何なら、止まっているといっても差支えないくらいだ。なんというか、こんなんだったら足をあげている間のほうが疲れそうだ。上がった足が次の一歩を踏みしめるまでに一体何分かかっているんだろうか? 怖いからそれは考えるのをやめておこう。一体、俺が町を目指してどれくらいの時間が経ったんだろうか? なんで俺はここで、瞬間移動を使わないのか? それに、なんで空をとんで町へ向かわないのか? 俺にもよくわからない。なんで、こんなに無駄なことに真剣になっているんだろうって自分でも思うが、一度こうして始めてしまった以上途中でずるをするわけにはいかないんだよな。それくらいのプライドは俺も持ち合わせてるんだよ。だれが、疲れてるからって楽をするって? 俺はそんな無様な真似をするつもりなんてねぇ。俺の力なら自力で町へたどりつけるはずだ。これでこそ、正真正銘俺自身の力だろ。魔力なんて言うよくわからなねぇもんには頼らねぇ。


「どうしてだろうか? 今にも疲れて倒れそうなのに、今まで感じたことないくらい充実している。これが、生きているって言うことなのか? 俺は今非常にせいを実感している。こんな気持ち生まれて初めてだよ。もしかして、俺はこのまま死んじまうんじゃねぇのか? そう考えると怖いな。でも、俺にはそんなことありえねぇってことくらいわかってるさ。俺にはこの先に、魔王を討伐するって言う指名があるんだからな。俺にしかなせない指名だ。ほかの誰に務まるもんじゃねぇ。俺がやるしかねぇんだ」


 俺をそれでも歩みを止めなかった。一向に近づいてこない町の入口をみながら一心不乱に町を目指した。途中道行く人々に好奇の視線にさらされたりもしたが、俺は決して諦めなかった。

 というか、誰かにみられてるんだったら、町の中に入ってもここでこうして歩いていても一緒じゃねぇかよ。大体、今通って行った奴らが俺のことを見てたのって、俺の服装がおかしいからじゃなくて、俺のしている行動が謎だからだよな。くっそぉ、俺もあいつらの服装をちゃんと見ておけばよかった。自分が歩く事ばっかりで頭がいっぱいになっちまっていた。俺としたことが、こんな初歩的なことでやらかしちまうなんてな。まぁ、人間だれしも、失敗することの一度や二度くらいは余裕であるだろう。むしろ、俺が生まれてこの方失敗することがなかったのが以上なんだ。つまり、俺は今人生で初めての失敗に挫折してしまっているだけなんだ。持ちこたえるんだ俺の精神。まだまだ、俺の人生の先はなげぇ。これから先だっていろんな楽しいことや幸せなことが待っているはずだ。ちょっと、他人から不思議なやつだと思われたくらい何ともねぇじゃねぇか。俺がそれくらいのことで人生諦めるとでも思ってんのかよ。俺を舐めるなよ。俺が、どれだけのメンタルを持っていると思ってるんだよ。くっそぉ、案外効くじゃねぇか。これが、挫折っていうものなのかよ。確かに、これを何度もしてたら頭がおかしくなっちまうかもしれねぇな。俺じゃ無かったら耐えられてねぇよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ