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30話

 いや、待てよ。俺はこのまま町に入っても平気なのか? 服装とかもまだ前までのままだし、この世界では服装としてはおかしいんじゃないか? この世界でもこの服装が普通であるって言う保証がどこにあるって言うんだ? 俺は町に入ったとたん奇異の視線に晒されるのはマジで勘弁だぞ。俺はいたって普通の人間なんだ。感覚は一般人のそれなんだよ。だから、俺がずれてるみたいに思われるのは我慢ならねぇ。

 ちょっと外から観察して見てから町に入った方がよさそうだな。俺も前準備は必要だと思ってたんだよ。これでも、用意周到な男なんだよ。


「かといっても、どうすりゃいいんだ? 観察使用にもこの町って無駄に高い壁に囲われてるせいで中がまったく見えないんだよな。これじゃあ、俺の服装が普通なのか確認できねぇじゃねぇかよ。ふざけんなっての、俺に無駄に時間を消費させようとしてやがるな。俺にはこの世界の考えなんてお見通しだっての。俺にだって考えがあるんだぞ。瞬間移動で一瞬だけ町の中に入ってみるって言うのもありだけど、それで、確認できる保証がないからな。町にバレずに侵入して確かめるって言うのが最強だよな。それこそ、透明になれたり、空を飛んだりできればいいんだけどな」


 空を飛んでいくって言うのは結構ありかもしれない。ってか、空を飛ぶって一回考えなかったっけ? 気が付いてたら忘れてしまってたけどな。今回は空を飛んで空から偵察って言うのが最強な気がする。それこそ、透明になって空を飛ぶって言うのが一部の隙もない最強コンボだな。こっちからは俺の強化した視力で偵察が可能だが、下からは俺の姿はもちろん透明になっているから見えるわけもない。これなら、どう考えても俺が恥をかく可能性はゼロパーセントだ。俺が恥をかかないんだったら何でもいいんだよな。例え、透明になってそのままもう二度と戻れなくなったとしても俺が誰からもみられないって言うんだったら俺は恥をかくことは未来永劫ありえない。ならば、むしろそっちのほうがいいんじゃないだろうか。戦闘においても、いつでも不意を突き放題だし、俺に向かって攻撃を放つこと自体が不可能だ。なぜならば俺は透明なんだからな。透明な俺の位置を特定して俺に攻撃を当てるなんてことはおこりえないんだからな。どう考えてもこれが最強じゃないか。なぜ俺は正々堂々真正面から戦おうなんて思っていたんだろうか? そうするくらいなら、俺が気が付かれていないところから必殺の一撃をぶち込む。これだけで、必殺の作戦だ。こんなことしなくても真正面から戦ってももちろん勝てるんだけどな。それでも、無駄な労力を消費しなくてすむんだったらそっちのほうがいいに決まってるよな。俺の力は無駄に使うべきものじゃないんだ。俺の力はそれこそ、神に匹敵するものだからな。どう頑張っても手に入れることができない力を求めるのはしょうがないことだけど、俺の力を安売りすることはできない。見るだけでも相当な価値があるんだからな。いや、みたらそのまま死んじまうか。俺の力を目にして生き残るなんてことはありえないからな。それこそ、俺が情けをかけない限りはありえない。魔王すら葬り去るほどの力なんだからな。魔王以外じゃ相手にもならないし、一瞬で消し炭になるに決まってるんだ。


「おっと、思考がそれちまったな。今は、俺が恥をかかずに町に入るための下準備をするつもりだったんだからな。俺の力が優れているのは当然のことだし、当たり前だが、それでは恥をかくことを止めることができない。最初に考えた透明になって空から偵察って言うのが一番無難だよな。しっかりやらせてもらおうか。俺の力があれば空を飛ぶことだって、透明になることだってできて当たり前のことなんだからな」


 まずは、一旦自分を透明にするところから始めるか。

 俺の周りを覆っているバリアを応用してと……こんな感じか? 

 俺は、バリアを応用し、周囲から自分が見えないようイメージして魔法を使ってみた。

 どんな感じだ? まずいぞ。これ自分じゃ自分が透明になっているか何てどうやって確認するんだよ。どう考えても無理じゃねぇか。


 俺は絶望した。完璧と思われていた作戦に思わぬ落とし穴があったんだからな。なんで、俺はこんなにあたり前のことに気が付けなかったんだ? 普通に考えれば自分のことを消えているって確認できないことくらいわかるだろ。俺としたことがこんなことにも気が付かないほどに焦っていたとは我ながら情けない。情けなさ過ぎる。

 でも、俺が魔法に失敗することなんてあり得るのか? いやありえないだろ。なら、俺は絶対に透明になっているはずだ。なぜなら俺は失敗するなんて馬鹿な真似はしないんだからな。だから、この魔法も当然成功している。今俺は誰からも見えていない。空を飛んで町の上空へ行っても誰にも見つかるわけがないんだ。俺の力をもってして、こんなしょうもない魔法に失敗することなんてどう考えてもありえないだろ。俺の力を自分が信じなくてどうするんだよ。自分を信じるところからだろ。

 もう俺は透明になっているという体で話を進めていこうか。俺が透明になっているって言うんだったら話は早い。後は空を飛んで町の上空へ行ってみるだけだ。いっちょ行ってみるか。


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