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俺はどれくらい走ったんだ? わけもわからずに草原を駆け抜けていたんだが、ふと我に返ってしまった。
俺はなんでこんなことしてるんだよ。どう考えても走る意味なんてねぇじゃんか。まじでやってしまった。これはとんでもねぇ大失態だ。俺は取り返しのつかないことをしてしまったようだ。なんで走っているのかもわからずに無駄に体力を消費するなんて愚行をしてしまった俺はただただ自責の念に駆られた。
これで、町が見つからなかったらどうするつもりなんだよ。もう俺にはわずかな体力しか残されてねぇぞ。
無駄に走ったせいで疲労困憊だ。ここまではアドレナリンが出まくっていて疲労を感じなかったのかもしれねぇが、今はそれもキレちまったようで、どうしようもない疲労感が俺を襲っている。思わず足が泊まってしまったくらいだ。どうして俺はこんなにも無駄なことを当たり前のようにしていたんだ? 走り出した時の俺はぶん殴ってやりたい。ぶん殴るだけじゃ足りねぇな。ぶん殴ってジャーマンスープレックスをくらわしたところに留めの踏みつけまでセットでお見舞いしてやりたい。完全に完膚なきまでにぼこぼこにしてやらんと気が済まん。俺は今無性に腹が立っている。全部俺のせいなんだが、これは俺のせいであって俺のせいではないのだ。なにせ、俺はもう自分の失敗を悔やんで新たな自分へと進化しているんだからな。これは、もう俺のせいではない。昔の俺のせいだ。マジでふざけんなよ、少し前までの俺。こんなことしてただで済むと思ってんのか? 制裁を加えてやりたいが俺自身が過去に飛ぶ術を持っていないことにはどうしようもないってわけか。俺の力で何とかしてやりたいところだが、過去にまで俺が関われるようになっちまったらそれはただの神だ。俺は別に神になろうなんて思ってるわけじゃないからな。そこは勘違いしないでもらいたい。じじいを倒した上で、きっちりと神へ至るんだ。こんな良くわからないところで神になってしまったところで俺は素直に喜べない。自分自身が満足できる結果でしっかりと神になるんだ。そのためには俺はこんなわけのわからない草原で立ち止まってなんかいられねぇんだよ。
俺はすぐに歩き始めた。流れるように、まるで立ち止まっていたことが嘘かのように俺は当然のごとく歩き始めた。正直、走る体力は俺には残されてないからこのくらいのスピードで限界だ。少しでも早く進みたいという気持ちを押さえつけ、俺はゆっくりと歩く。もう残りの体力的にはどうしようもないからな。これ以上の体力の消費は命に直結してしまう。というかこのままだと命の危険性がある。俺はまだ死ぬわけにはいかねぇんだ。一刻も早く町へたどり着いて飯にありつかないと。二度目の人生も同じく餓死とか笑い事じゃ済まねぇんだからな。俺だって、腹いっぱい飯がくいてぇんだよ。俺に飯をよこせぇぇ!!
「まだ諦める時間じゃない。まだまだ俺は歩けるぞ。この調子で徒歩で世界制覇してやりたい気分だ。それくらい俺はまだ歩ける。あるけるんだよぉぉぉーー!!」
自分自身に喝を入れ、何とか歩き続けているがこの空元気もいつまで持つかわからない。なんとか、町を見つけて、休憩して飯をたらふく食わないと……でも俺、金を持ってねぇよな。詰んでる、俺の人生完全に積んじまってるじゃねぇか。これは、やばいぞ、町を見つけたとしてもそこで俺は助かるわけじゃない。そこからさらに金を手に入れるって言う作業が発生するんだ。俺はどうすればいいんだ? 俺のこの行き場のない空腹はどうすれば収まるんだよ。どうやっておさめればいいんだよ。誰か教えてくれよ、この世界で簡単に金を手に入れる方法はねぇのか? ふざけやがって、大体なんで俺がこんな目に合わなくちゃいけねぇんだよ。俺が何をしたって言うんだ。俺が何したって言うんだっての。ふざけてやがる。これも全部じじいが、こんな気の利かねぇ場所に転生させてのがわりぃんだよ。どう考えてもおかしいだろ。町にすぐ着く場所に転生させるのが常識じゃねぇか。これは絶対におかしい。俺を餓死させるために森に転生させたに違いないんだ。
疑いたくはないが、俺はこの世界に来て何度じじいを疑ったんだろうな。でも、そうとしか考えられねぇことが実際に起きてるんだ。俺が疑っちまうのもしょうがねぇってことだよ。すべてじじいが町の目の前に転生させなかったのが悪いんだ。俺は悪くねぇんだよ。ふざけてる。俺の二度目の人生どうしちまったんだよ。こんなはずじゃなかったのにな。俺はもっと華やかで楽しい人生を想像していたってのになんだこのざまは。誰が、草原を全力で走り続ける人生を想像するって言うんだよ。どう考えてもおかしい。おかしさしかない。俺の人生をまともなものに変更してくれよ。今すぐ、町の目の前に転生させなおしてくれよ。それさえしてくれれば俺は他には何も望まないからさ。俺のたった一つの切実な望みなんだ。これくらい叶えてくれてもいいだろう? なぁ? 神様。俺の願いをかなえてくれよぉ。




