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14話

「俺の全力を出したら、異世界ごと消滅させちまうんじゃないかって言う心配だよ。だって考えてもみろよ、俺が本気を出しちまったらどうなるかわかってんのかよ。異世界だろうが吹き飛ばしちまうぞ。魔王討伐ってのも確かに大事かもしれないが、世界がなくなっちまってもいいのかよ? 俺の心配の理由がわかったか?」


「これこそまさに余計な心配じゃな。世界を滅ぼすような力をただの人間であるおぬしがもてるはずもないじゃろう。少し考えればわかることじゃと思うんじゃが? おぬしはそれくらいのことも考えることができないあほじゃったか。まずいのぉ、いくら力だけはあってもあほとなると魔王討伐は難しいかもしれんわい。もういっそ、おぬしは諦めてくれんか? 実際、おぬし自身も荷が重いと感じておるんじゃないか?」


「いやいや待ってくれよ。それこそ真の余計な心配ってやつだからな。俺が魔王に負けるだって? それにあほ? まったく俺の何を知っててそんな適当なこと言ってんだよ。もう少し真面目に対応してくれないか? 俺の力だってちゃんと把握できてないだけだろ。俺が自分で感じてるだけでも異世界を軽く吹き飛ばしてしまう程の力だぞ。それが、神であるじいさんには感じ取れてないってのは驚きだな。いや、これは単純に驚いてるだけで、別にじいさんに逆らうとかそういう意図はまったくと言っていいほどないからな。正真正銘俺の純粋な驚きだ」


「いいんじゃよ。おぬしがただ何も考えることのできないあほじゃってことはわしもとうの昔に気が付いておる。おぬしが死ぬまでの行動を見ておったんじゃぞ? それを見ても、おぬしがあほじゃと気が付かんものなんぞ、この世に存在せんじゃろうな。おっと、これはおぬしのことを馬鹿にするつもりで言っておるんじゃないぞい。ただ事実を述べているだけじゃ。おぬしを馬鹿にしようなんて気は一切ないから安心してくれ。それくらいおぬしもわかっておるじゃろうからな」


「あったりまえだろ。俺にはわかってるさ。じいさんこそいいのかよ? 俺みたいなあほを魔王討伐なんて大役に選んじまってな。俺も自信はあるが、万が一、いや億がいちにも失敗する可能性はあるんだぞ。あほなやつに任せていいことではないと思うんだけどな。まさかとは思うがその程度のこともわからなかったとか言わないよな? いや、これはじいさんを馬鹿にしてるとかそう言うことではないからな。ただ単純に興味が湧いただけだ。本当に心のそこからの純粋な興味だ。俺もじいさんのことが心配なだけなんだよ。ほら、もうそんなに若くもなさそうだし、頭は日頃から使っておいた方がいいだろうと思ってな」


「いいんじゃよ、わしも思うことがなかったわけじゃないからのぉ。最初こそ、秘められた力でおぬしじゃと決めておったんじゃが、まさかあのような過程で死んでくるとは思いもしなかったんじゃわい。もっと、突然の死じゃったから、交通事故とか災害に巻き込まれたとかを想像しておったわしが悪いわ。あんな馬鹿みたいな、いや、おぬしに言っておるんじゃないぞい。あそこまで頭のおかしい死に方をして死後の世界にやってくると誰が想像できるんじゃ? おっと、おぬしにはもちろん想像できておるじゃろうな。すまんが、おぬしを除いてじゃ。おぬしのような特殊な例にも対応してこその神だとわし自身も思っておるんじゃが、これこそすべてわしの甘い考えが招いてしまったことじゃ。おぬしのようなあほで馬鹿で間抜けな奴を魔王討伐なんていう世界の命運をかけた任務に着かせてしまったわしの責任じゃ。おぬしはもちろん悪く無いぞ。あほに罪はないからのぉ。それは持って生まれた才能みたいなもんじゃ。おぬしの隠された力と一緒じゃよ。むしろ、これとそれでバランスを取っていると言ってもいいじゃろうな。おぬしはただわしに選ばれてここにやってきただけじゃもんな。別に失敗しても責任を取れなんて無責任なことを言うつもりはないぞ。たださっきも言った通り、おぬしという存在が完全に消滅してしまうだけじゃ」


「くっ……俺はあほじゃないけど、俺のことを理解できていないやつからみたらそう見えてしまうのかもしれないな。誰しも、圧倒的な差があるものの力量は測ることができないんだしな。じいさんにも俺のことを理解できなくて当然だ。神だのなんだの言っても俺のことは理解できねぇってわけか。じいさんならきっと俺のことも理解してくれるって信じてたんだけどなぁ。いや、違うぞ。これは俺がただ残念に思ってるだけで、じいさんに対して何か言いたいことがあるとかそういうことは絶対にないからな。ただただ、俺は残念でしょうがないってだけの話だ。これが、持つものが故の孤独ってやつなんだな。前の世界でもずっと感じてたけど、まさか死んだ後も同じことで悩まされるとは俺も思ってなかった」


「おぬしのことを理解できるようなものなんぞおらんわい。それこそ、おぬしレベルのあほでもない限り不可能じゃ。わしには到底不可能なことじゃよ。おぬしの同レベルの残念な思考回路は持ち合わせておらんからの。おっと、これはただ単純に純粋な悪口じゃ。おぬしにもわかるようにしっかりと言っておいてやろうかの。おぬしには理解できないかもしれんが」


 こいつついに悪口だって言いやがったぞ。俺が表立って反撃できないことをいいことにつけあがりやがって。


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