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13話

「気持ちがこもっておらん気がするんじゃが気のせいかの? わしに対してやましいことがあるんじゃないか? わしにはすべてお見通しじゃぞ。頃のそこから謝ったほうが身のためじゃ」


「本気で謝ってるっての。この目が真実を言っていない目に見えるのか? これ以上ないくらい反省してるし、もう今後じいさんに対して暴言を吐こうなんてつもりも一切ない。俺の言葉を信じてくれよ。さっきのじいさんの言葉で目が覚めたんだよ。俺がいかに幸運で恵まれているのかってことにな。今は、この幸運をしっかりかみしめて生きていこうと思ってるんだ」


「まあ、嘘じゃったらすぐにぼろがでるじゃろうし今は見逃してやるとするかの。それでは、おぬしを異世界に転生させて魔王を討伐してもらうという話じゃが。さっきも言った通りおぬしには異世界では類をみない程の強さを発揮できるんじゃ。わしにも詳しいことはわからんが、おぬしには無尽蔵の魔力が宿っておる。その魔力を駆使すれば、魔王討伐も決して夢ではないはずじゃ」


 俺の体に魔力が眠っているだって? そんな話信じられるかと言いたいところだが、俺は常々自分には隠された力があると信じてきたタイプだからな。本当に隠された力なんてあるとは思っていなかったわけではないが、十数年生きてきて、力の片りんも感じることができずに、少々心が俺かけていたところだ。しかし、俺には実際に世界をすくうことができるほどの力が眠っていたんだ。たまたま、生まれる世界を間違えちまっただけで、これも俺がいずれ異世界へ転生する運命だったということだな。この魔力とやらが、異世界ではとてつもない役に立つって話だし、俺の力を遺憾なく発揮できる場所がやっと見つかったというわけだ。嬉しくてたまらない半面、俺の力がすさまじすぎて異世界を崩壊の道へ向かわせないかという心配もあるな。俺の想定通りの強さだと軽く、力を発動させただけで、地球を半壊させてしまうほどの威力が出ることになっているからな。異世界が、こっちの世界ほどやわじゃないといいんだが……。


「何を考え込んでおるのじゃ? おぬしにはもう異世界へ転生する以外の選択肢は残されてはおらんぞ。どうしてもというんじゃったら、異世界への転生する権利を手放して、輪廻転生の環に戻るという選択肢もあるが、それを選んだ場合じゃとおぬしの自我は完璧に消え去り、おぬしという存在は世界から忘れ去られることじゃろう。これも命には限りがあるという定めなのじゃ」


「いや、俺が死んだからって家族くらいは覚えててくれるだろ。それも忘れられるって言うんだったらそれはじいさんが何か力を使ってそうさせてるんじゃないのか? おかしいって。そこまで家族の仲が悪かったわけじゃないぞ」


「バレたか。わしの力をもってすればおぬしというちっぽけな存在程度微塵のかけらも残さずに消し去ってやれるということじゃよ。それは理解しておくのじゃな。もしも、魔王討伐を失敗して、死んでここに戻ってきたときはそうなることを覚悟して置くんじゃぞ。そうなりたくなくば、必死に抗うことじゃな。幸い、おぬしには魔王討伐にたる力を持っておるわけじゃし、おぬしが油断したり、修練を怠ったりしなければ問題ないわい。精々頑張ることじゃな」


 ふざけてる。このじじいふざけてやがる。俺に勝手に魔王討伐とかいう命令をしておきながら失敗したらその仕打ちは何だよ。これじゃあ、俺はとんでもない不幸にあわされてるだけじゃないか。これだって、ほんとうは死んでいなかったところをこの爺さんが俺を無理やり殺してここに連れてきたんだろう。そうに決まってる。それだけでは飽きたらずに、魔王に負けたら存在ごと消し去るとかいう脅しをしてくるような奴が神だとかこの世界は完全に終わっちまってる。俺がこの世界を正しい方向へ導かなけらばならないな。俺が魔王討伐した後にこのじじいも消し去ってやろう。俺の力はもはや人間の域にないんだ。神だって殺して見せる。でも、まだ時期尚早だからな。しっかりと力をつけたうえでけちょんけちょんにしてやるほうが俺もすかっとできてみんなハッピーだ。どうにかして、こいつを消し去ってやるからな。


「その世界ってのは具体的にどんな世界なんだ? その魔王ってのがいるってことしか情報がないんだけど」


「おぬしが転生する世界はモンスターが蔓延る危険な世界じゃ。おぬしじゃったら図太いし平気じゃろう。もちろん、モンスターに襲われて命を落とす人間も大勢いるような世界じゃ。おぬしじゃって例外じゃないことを忘れるんじゃないぞ。いくら、魔力に優れていても油断しているところに攻撃を貰えば関係ないんじゃからな。しょうもないモンスターなんかに殺されたりしたら、一生地獄で苦しむことになるから油断するんじゃないぞ」


「はっ、俺がモンスター程度にやられるかよ。楽々で魔王討伐を成し遂げてここに帰ってきてやるよ。俺に力を軽く見すぎだ。俺自身でも想像が着かないほど強力な力を持ってるんだぞ。あっと、聞き忘れてたけど、その世界で俺は全力を出しても大丈夫なのか?」


「どういう意味じゃ? 何か全力を出すと不都合でもあるのかの? もしや、全力を出してしまって魔王に負けたら言い訳がきかないから保険をかけておこうって魂胆じゃな。おぬし見損なったぞ、そこまでせこい奴じゃったとは。おぬしはあほで馬鹿じゃが、度胸だけはあると思って折ったんじゃがな」


 このじじい、やっぱりいまここで殺してやろうか?


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