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超能力者のいる平和なき世界で  作者: 天条零夜
6/6

6話 決着

上村君と和木君が一時的に動けなさそうになってしまったので、俺が時間を稼ごうと思い、前に出る。


先輩に向けて走る。狙いを少しでもこちらに向けたいのだ。


だが、俺の行く手を阻むように結界がはられる。本来は今出せるだけの力だと壊せないが、刀の力を借りればどうとでもなる。


結界を切る。たった一つの動作だけで結界が消える。これには、予想外だったのか、前後から驚いたような反応を感じた。


この刀の力は一つ。ただ、消す力だけだ。切った部分を起点に一定の範囲の同じものを消す。相手からすれば恐ろしい武器だろう。


俺は爆発を放った男の先輩に近づく。何回か結界が邪魔をしてきたが、今ではもう無いようなものである。


俺を援護するように電気が可視化された状態で爆発男を狙う。これを守ったのは四人目の能力だった。


その女の先輩が指を指した所に電気が方向を変えて飛んでいった。能力はたぶん磁場を操る能力だろう。


それなら俺には問題がない。俺は爆発男の攻撃をかわし、男の影を切った。


反撃をしようと動こうとする爆発男は動けずにいた。


「先輩、動けないと思いますよ。影を切ったんで。」


俺は先程とは違う刀を使い、影に干渉したのだ。二本とも体力を使う武器だから好きになれないが。


時間を稼ぐのはこれくらいで平気かな。後ろで上村君と和木君が立ち上がったのを気配で感じ取った。


二人が力を合わせれば残りはどうにかなる。こんなことを考えていると四方から鉄が俺に向かって飛んできた。


(これは、さっきの人は磁力か)


俺はシンプルな第三の刀を使う。能力はない。ただ、ただ頑丈な刀だ。


飛んできた鉄を打ち落としていく。これを止めたのは倉森さんだった。音の衝撃波で鉄だけを止めた。俺には一切の被害が出ていない。


能力のコントロールがすごく上手だ。思わず感心してしまう。


後衛の技術はほとんど同格。この勝負は二人の頑張り次第かな。


そして、そんな頑張らなければいけない男二人が立ち上がり俺の横まで出てきた。


「助かったよ、駒野君。」「ありがとよ、紅羽。」


二人は俺に礼を言う。先程とは違って油断が一切ない、良い構えをとった。




「作戦と言うには拙いが考えがある。駒野君、爆発と氷は防げるかい?」


「問題ない。そろそろ影の拘束がきれてしまう。」


「了解。爆発と氷は任せて僕は結界をどうにかしよう。そして、和木君は駒野君と一緒に行動して接近をしてくれ。そして、思いっきり攻撃してきてくれ。」


決まった作戦を直ぐに行動に移す。


向かってくる攻撃を全て凪ぎ払い進んでいく、上村君は攻撃を受けながらも突撃をして結界を引き付けてくれている。よい滑り出しだ。


しかし、先輩も反撃をしてきた。磁力を操る先輩が攻撃を仕掛けたのだ。


上村君に向かったその攻撃は後衛二人の援護で防いでいる。


だが、これでは相手の最後の一人がノーマークになっている、という事でこれが最悪を生んだ。


和木がその人を状況が分かって攻撃したのかは分からないが攻撃を仕掛けた。


諸に受けるだろう攻撃を簡単にかわし一撃で和木君を倒したのだ。それからは流れるように俺も適当にやられ、ダメージが蓄積していた上村君も倒れ後衛も倒された。



「お疲れさまでした、一年生。俺たちが思っていたよりもやるね。特に君。」


労いの言葉をかけた後、先輩は俺を指して笑いかけてきた。


「ありがとうございます。」


「うん、じゃあ十六夜さんと勝負行ってもらおうか。」


笑顔で俺に面倒なことを告げてきたのだった。

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