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超能力者のいる平和なき世界で  作者: 天条零夜
3/6

3話 二人

「遅いです!」


これが、家に帰った時に桜花からもらった最初の言葉である。


直ぐに謝罪をし、家の鍵を開ける。


「今度から気を付ける。というか、合鍵を渡しとくよ。。」


「いいんですか?」


桜花は本当にいいのか、心配そうに見てくる。だが、俺は迷わずに合鍵を渡す。


「無くさないでくれよ、桜花。」


そのあとは、桜花を部屋に案内し、お互いに自由に過ごし始めた。


といっても、俺は夕食の準備をしているので、自由とは言えないかもしれないが。


最初は、桜花がやるといって聞かなかったのだが、初日だからゆっくりしてくれと言って説得し、俺が料理をしているという状態だ。


「桜花、飯出来たぞ。」


桜花の部屋の方に声をかけながら、俺は食器に料理を盛っていく。


その後、桜花が来て、食事が始まった。


最初のうちに、話しておかなければいけないことを話しておく。


「なぁ、桜花。本当の名前を聞いてもいいか?俺は月影飛水。」


「んっ、本当の名前?私は天野桜花ですよ。というより、ちょっと待ってください。月影飛水!?戦闘系能力者でも世界屈指の実力者じゃないですか!」


桜花のころころ変わる表情を見て楽しくなっていたが彼女の言葉に1つだけ訂正をいれておく。


「俺は、戦闘系能力者ではなく、生産系能力者だぜ。」


これだけは伝えておくべきだと思う。もちろん、軍で知らされた上で来ているのだと思ってだが。


しかし、桜花は驚いていた。そして、直ぐに俺に嘘ですよね、と聞いてくる。


俺は、本当だと伝える。直ぐには信じてはもらえなさそうだ。本当なら見せてやるのが得策なのだが、俺の能力は特殊すぎるために見せても伝わらない可能性がある。


まぁ、今分からなくてもこの後の訓練で能力を見せればいいので深く説明は要らないだろう。


それよりも、俺は桜花に言わなければいけないことがある。


「桜花、何故本名で高校に通っている?軍の方から偽名を使うように言われなかったのか。」


俺の質問に桜花はすごく答えづらそうにし、こう言った。


「いいえ、そう言われているのは第一階能の人達ぐらいです。」


「なるほどな。確かに月影飛水を学校では、名乗れないしな。」


俯きながらこう言ったため、少し落ち込んだ様に見えるが俺は理由が分かり、何となく喜んでいる。


「それと、1時間後くらいに訓練をするからそのつもりでいてくれ。」


「はい。分かりました。」


そこからはほとんど会話なく食事が進んでいった。


食べ終わると桜花が皿を洗ってくれたので、俺は訓練所に向かいこの後の準備をした。


訓練所に向かう途中、俺は約束を思い出した。


内容は高校に入った日の夜22時にいつもの場所に集合というものだった。


現在の時間は19時30分。行くのに30分もかからないため、問題はないが何の用なのかがわからないのが厄介だ。


十星(とうせい)関係の話じゃなければいいが。


十星とは、俺と同い年に生まれ、実力が相当あり、軍から特別な権利を与えられたものたちのことだ。現在では4人が名前と顔を公開している。


名前と顔が分かるというのは強い者の証であり、簡単に殺されないということだ。


十星には俺は入っていないが今度の十星会議から十二新星にかわり、俺と後一人を入れるらしい。


考え事をしていると桜花が訓練所にやって来た。


「すいません。早すぎました?どんな訓練か気になって来てしまいました。」


申し訳なさそうに入ってくる桜花に、大丈夫と伝える。


「まずは、ストレッチからしよっか。」


体を駄目にしないためにストレッチは大切なのである。


だが俺は、ほとんど動かないためストレッチはしない。


代わりにさっき伝えた、生産系の能力を使う。


「桜花、ストレッチやめてちょっとだけこっちを見てくれ。」


そう言うと桜花は直ぐにこっちを見てくれた。


(能力発動)


すると右手には槍が、左手には剣が握られていた(数種類の武器を同時に作り出せるのは生産系だけ)。


これを見て、本当だったんだ、とこぼしている。


すると、桜花は直ぐに立って武器を出した。剣だ。


「手合わせをお願いします。」


彼女は俺の答えを待たずに攻撃をしてくる。


真っ直ぐな素直な攻撃だ。だが、素直すぎる。


「くしなだ」


ぼそっとこぼした、俺の武器(槍)の名前。


金属同士のぶつかり合う音が聞こえた。桜花の剣は弾かれ、俺は手に持った槍を彼女に向けていた。


「はい、手合わせは終わりね。今日はこの後、俺に用事があるから訓練も終わるよ、おつかれ。」


桜花を残して俺は、目的の場所に行く。



「飛水さんはやっぱり強いな。」


一人残された桜花はそうこぼすのだった。誰に聞かせるでもなく自分の負けをただ認める様に。



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