帯電気質
本編で未成年の飲酒の描写がありますが、悪い行いとして
描いてるのでお酒は20歳からなのでお願いします。
(これのせいでと言われたら困るから)
病室にて自らの体の異変をみた夢元は、気を失い
ふたたび目が覚めた
すると、右手はもとに戻っており、他のからだも変わった
様子はなかった。
あれは夢だったんだなと安心した。
そこに、病室に駆けつける誰かが、いた。
「ムゲン!」
泣きながら駆けつけたのは真子だった。
「ムゲン、心配させて夜黙って行っちゃって、
死んだらどうすんのよっ!」
興奮しながら真子は夢元を泣きながら叱るのであった
「ごめんよ。母さん」
夢元も少し泣きながらになる。
暫くして入院している夢元は気になっていた。
(あれは、本当に夢だったのか? 雷にうたれて無事とは思えない)
そう考えていた夢元の前に声をかけた男性がいた。
父親の大地である。
「ムゲン…… 実は大事な知らせがあるんだ。」
個室部屋で夢元に話しかける父、大地。
「昨日、夜中に騒いでいたと看護師から連絡があった。
まさかと思っていたが、お前は異変した自分の体に
気がついたのではないかと」
大地の言葉に夢元は驚く。
「えっ! じゃあ昨日のって」
「そう。夢ではないのだよ。右手の変化は雷のショックで
変化したものだ。
サイボーグの体がな」
夢元は少しショックになった。そして反発する。
「何で今まで言ってくれなかったんだ。それが原因で俺は!」
大声で叫ぶ夢元。
「すまんな。説明もなく。だが、 母さんは大変でそれを
言えなかったのだ。
お前が昔、事故で帯電気質になったのは知ってるな?
その体を維持するため私はお前をサイボーグにするしか方法がなかったのだ」
夢元は大地の言葉に何も言えなかった。
暫くして夢元は退院した。
彼は久しぶりに行く学校に行きづらかった。
教室にはいることをためらっていたとき。
「何してんだ? 沢村?」
びっくりする夢元。
後ろから声をかけてきたのは隆人だった。
「早く教室はいれよ。もうチャイムなるよ」
隆人に言われるまま、クラスに入る。
すると、クラスメイトは夢元が入ると
「沢村! 元気だったか?」
「サボった分取り戻せよ」
「なんともなくて良かったな」
夢元はてっきりクラスに入ったら周りに責められるものだと思っていた。
夢元は少しほっとした。そして、向こうには沙織が席に座っており夢元にむかって微笑んでいた。
夢元は席についた。学校のチャイムがなり、担任の橋本が入ってきた。
「では、出席をとるぞ!」
出席確認をする橋本、夢元は気になっていた事があった。それは田辺が席にいないことであった。
田辺は次の日も、その次の日も来なかった。
それから、3日ぐらいのことか、ここは夢元の街のゲームセンター。
平日の昼にもかかわらず格闘ゲームをしている2,3人中学生グループの中に、田辺がいた。
「よーしハイスコアだ!」
レーシングゲームをプレイして、はしゃいでる彼ら。
「おい! おめぇら」
向こうから金髪の口にピアスをしている2メートルの男性が
やって来た。
「本田先輩!」
グループのメンバーは本田という男は缶ビールを両手に
持ち、それを田辺たちに渡した。
ゲーセンの中にあるベンチでたむろい、酒を飲む田辺たち。
本田が田辺に聞く。
「お前、学校いかなくていいのか? 出席数足りねえといい学校に進学できねえだろうよ」
訪ねられた田辺は酔っぱらいながらこう言う。
「いいんですよ。勉強もできてるし、毎日学校いってるから。
もしダメでも先輩のとこ行けばいいじゃないですか」
「そうだな。ハハハ!」
ばか騒ぎするグループのメンバー。本田はこう田辺に語りかける。
「でも、いいのか? 菊池になに言われるかわからないだろう?」
田辺はその言葉にビールを飲んでいる手を止め、こう語る。
「菊池ならこの世にはもういませんよ」
「えっ!」
驚く他のメンバー。
「けど、昨日電話したら普通に……」
「違う!」
他のメンバーが喋ると田辺はそう止める。
「やつは死んだんですよ。あの時に」
その後、ゲームセンターから出た田辺を含めるグループは
本田と別れた。
時刻は平日の昼間だった。
田辺は他のメンバーと別のゲーセンに行こうとした。その時
向こうから男が話しかける。
「よぉ! 昼間から楽しそうだな。田辺」
「菊池!」
向こうから話しかけてきたのは菊池だった。慌てて逃げようとする田辺。しかし、菊池にすぐに取り押さえられ、壁に突きつけられた。
壁ドンを田辺にかまし、こう話す菊池。
「テメェ! なんのつもりだ? こんな昼間からウロウロしてたらサツやセンコーに何言われるかわからず、内申書にも響くだろうよ。」
田辺は目をそらす。菊池は臭いを嗅ぐ
「酒クセェな? まさかオメェ!」
「オメェが悪いんだよ! 菊池!
オメェが怪物なんかになるからよォ! こっちは
被害が被らないようにオメェから避けてたんだよ」
菊池が酒の臭いを田辺に問うと田辺が大きな声で叫んだ。
「怪物?」
他のメンバーは騒ぐ。菊池は舌打ちをし、田辺に提案する。
「今回の件は見逃してやるから俺に協力してくれないか?」
場所は変わり、隆人と夢元は下校していた。
「今日は学校が早く終わったから、この後遊びにでも行く?」
隆人が夢元を遊びに誘う。それに対して夢元は
「ごめん、今日はいいよ」
いつもは安請け合いする夢元が珍しく断った。
「そうか。また今度にしよう」
残念そうに答えた隆人。彼に別れを告げ、一人になった夢元。
帰ろうと思ったその時
ドガッ!
後ろから何者かにドロップキックされた。
夢元は気を失った。
しばらくすると夢元は目を覚ました。
そこは暗い倉庫のような場所だった。
目の前には田辺と取り巻きの二人の不良が囲んでいた。
「悪いな、新人。ここで死ねと菊池に言われてるもんでな」
そういうと田辺は手にもってた鉄パイプをバットのように
夢元の顔をフルスイングした。
「ぐわぁ!」
夢元の頭から出血した。その後、田辺は取り巻きと共に
夢元を蹴りまくった
すると後ろから男が近づき、田辺たちにこう言う
「田辺もういい。さがれ!」
しかし、田辺は男の言うことを無視し、夢元をリンチしまくった。
「こんな楽しいことやめられっかよ! 菊池」
声をかけたのは菊池だった。
しかし、菊池の言うことを無視し、リンチを続けてる田辺。
その時である。
「ギャ!」
取り巻きの一人が叫んだ。田辺は恐る恐る見ると、
取り巻きの一人は首が180度回転し、全身骨折してる死骸と
化していた。
「うわぁぁぁぁ!」
驚き腰をぬく田辺。そして、もう一人の取り巻きも喋る
「た……な……べ……」
振り向く田辺。そこには雷の日に見た、巨大な3メートルの岩のような化け物が、取り巻きの顔をぐちゃぐちゃにつかみ
持ち上げていた。
「な、なにやってんだよ! 菊池!」
腰が抜けている田辺は失禁していた。あれだけ
いつも夢元の事をいじめていた男があわれな状態である。
菊地という名に夢元は反応する。
(菊地? あの菊地くんなのか? 岩の化け物)
こう心の中で思った夢元。菊池は田辺に話しかける。
「いったはずだやめろと。お前は俺のことを無視した。
今まで俺の友だったお前は、怪物になった俺を見て、
恐れている。
それは人間の俺とて同じ事。
権力者の俺の親には教師ですら俺に逆らえない
だから俺に逆らうやつはクラスにもいない。
それに乗っかれないやつはそこにいるクズ転校生と一緒
なんだよ!」
岩の化け物はこう喋ると、なにか人形のようなものを
投げた。
田辺はそれを見て目を疑う。
「本田先輩!」
それは全身骨折していた本田先輩の死骸だった
「こいつは憧れでも何でもない。ただのバカだ。
俺はお前やこいつらのような体育しかできないような
バカなどいない偏差値のいい学校に行けるんだよ。
そして、お前には罰を与える」
すると岩の化け物は巨大な手を挙げた。そして、その手のひら
を田辺に向かって一気に振り下ろす。
「菊池! やめ……」
次の瞬間、田辺は化け物の巨大な手に潰された。
化け物が手をどけると、そこには血だらけになってる
体の骨が粉々になり、内臓がつぶれて、ペシャンコに
なっている田辺の死体があった。
それを見た夢元は嘔吐する。そこに追い詰める
岩の化け物となった菊池。
「だらしねぇな! お前みたいなやつは自分が苛められてると
悲劇のヒーロー面し、親や先公に助けを求める。
勝手な正義感を気取り、人に言われたらすぐ気にし、
一喜一憂する。
そんなクズを見てると腹が立つんだよ!」
菊池は巨大な手でビンタのように夢元を吹き飛ばした。
夢元は壁に頭をぶつけた。頭から血がでて、
その場を動かなかった。
「終わったな。こいつらは補職して証拠隠滅しよう」
化け物の菊池は田辺の死骸や取り巻きの死骸を補食した。
その時である。
ビリビリ
夢元の方から電気の音がした。
菊池はそっちを見ると、夢元はいなかった。
いたのは鋼鉄と電気を纏ったロボットのような夢元と背が
変わらない何かであった。
「何だ! おまえは!」
化け物の菊池が反応するとそいつは菊池にパンチを
入れた。
すると3メートルの巨体の化け物の菊池は
ふっとんだ。
吹っ飛ばされたあと菊池は人間に戻っていた。
「くそっ! 何なんだよ! お前は!」
菊池はそう言うと逃げていった。
鋼鉄のロボットは人間になった。その姿は夢元だった。
「なんだったんだ。いったい?」
唖然となる夢元。
翌日夢元は父親である大地に聞いた。
「父さん。昨日俺、化け物になったんだ。
サイボーグというの? あれに」
大地は黙っていた。しかし、しばらくして夢元にこういった
「ついてこい」
夢元は大地に誘われ、家の地下に連れてきた。
そこには6角形の手のひらサイズのメカがあった。
そして、大地はこういった。
「夢元、こいつを使うときが来たようだな」
大地は夢元にそのメカを渡す。
「父さん。これは?」
夢元の問いに大地は答える。
「それはお前のサイボーグの体を100%繰り出せる
装置だ。
それでお前は……戦うんだ。この世の悪に」
「えっ!」
夢元は驚きを隠せなかった。
これは正義と悪の果てしなく続く物語である。
そして、物語はまだ始まったばかりである。