彼の名は沢村夢元
この世界には様々な悪がいる。いつの世にもそいつは
人間の姿を借りた悪魔として世に蔓延るのだ。
これはその悪と闘う果てしない物語
「ムゲン、ムゲン、」
誰かの声がする
「んっー」
ある朝、眠たそうに大きくあくびをしている少年がいた。
彼はいやそうな顔をしていつもの学生服に着替えた。
「ムゲン、ごはんよ。早く起きて!」
少年は女性の声に誘われ2階の部屋から起きてきた
「母さん、おはよー」
少年は眠たそうにそう言った
「おはよう。今日も頑張ってね」
「うん。」
女性に対してそう受け答えしたこの少年は沢村夢元
14歳の中学生である。
女性は沢村真子。38歳で、夢元の母親である。
「ムゲン、おはよう」
「おはよう、父さん」
リビングのソファに座って、テレビのニュースを見ながら新聞をこの男性は夢元の父親である沢村大地である。
彼は診療所の医者である。42歳である。
「ムゲン、もうちょっとで時間よ。早くご飯食べなさい。お父さんはもうとっくに食べたわよ」
いつも食事をとるキッチン付近のテーブルにサラダ、
ベーコンエッグ、魚焼き、ごはん、みそ汁
が置いてあった
真子は料理を多く作り、のこりを夢元や大地が出かけてから食事してるのだ
(サラダやだな、でも、もったいないし食べるか)
心の中で文句を言いながら夢元は学校へと向かった
「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
夢元がそういうと真子は笑顔で答える
(転校前は、そんな事してくれなかったのに)
心のなかではそう不満を言っていた。
「じゃあ、私もいくよ」
「いってらっしゃい」
大地は歩いて数分の自身の診療所へ向かった
夢元は幼いころ真子が目をはなしてる間に感電してしまう。
普通だったら、死ぬほどの重症を負うが夢元は平気だったのである。
しかしそれから夢元の周りで静電気が多発したり、
夢元から少量の電気がみられたりしていた
これに関して真子の母、つまり夢元の祖母は
夢元が田舎のような場所につれてくれば
普通の子になるという根拠もない理屈で
千葉の病院で働いている大地と離れ、
真子と夢元は真子の母の住む新潟へ行くことになった
しかし、現実は夢元のためではなく真子の母が足を痛め、
自分の手伝いをしてほしいというのが
本音だった。
真子は夢元の子育てもしていたが、自分の母の手伝いを
していたのだ。
夢元は真子に愛を与えられ育ってきただが一人で何とかしなければいけない真子は
夫がいるにもかかわらず愛人だの、シングルマザーだのうわさされ、時々、夢元にやつあたりをしていた。
一か月に数回、大地は夢元や真子の元におとずれたり、ほぼ毎日 電話をしていたが
夢元にとっては真子だけが親であり、マザコンともいえるぐらい好きだった。
そんな夢元は学校でも浮いていた。
まず自分の帯電の体質でいじめられ、気が弱く、体力もなく、勉強もできず、人に言われたらノーと言えず
無駄にプライドが高い彼は他人にからかわれ、自分をみじめと思う日を繰り返していた
。
そんな彼らに転機が。真子の母が65という若さでこの世を去ったのだ
この時夢元は中一の一月のこと
このことがきっかけで真子と夢元は千葉に戻ることになった。
亡くなった真子の母には悪いが
3人一緒に暮らせるかと喜んだ矢先だった。
まさかあんなことになるとは…
中二になり転校して一か月、夢元には少なからず友がいた
「沢村」
後ろから声をかけてきたのは隆人である。彼は、夢元のクラスメイトで夢元に初めて声をかけてきた
夢元の友達である。夢元にたいして世話をやいており転校初日から友達になった。
「また、後でな」
そう言い、隆人は先に学校へ向かった
「おはよう、沢村君」
声をかけたのは長髪の美少女だった。
名前は沙織、クラスメイトである
夢元はこの娘にひとめぼれしていた。
「沙織!」
沙織の女友達が2人声をかけてきた
「じゃあね、沢村君」
そういうと沙織は女友達とともに学校へ向かった。
夢元も急いで向かおうとした。そこに
「沢村ぁ」
髪を染めた短髪の長身の少年と同じぐらい背の高い前髪が目に届きそうなぐらい長い少年が来た
クラスメイトの菊池とその友達で別クラスの堂本だ。
「沢村、こないだ言ってたね金出すって、服を汚したから」
そういう菊池、そしたら堂本が
「あっ、そしたら俺もくれるよね?」
と乗っかるように言ってきた
給食の時に誤って夢元は菊池の体操服に牛乳をこぼしたのである
「今日は持ってないし、あれで金をあげるなんて」
そういう夢元
「えっ、何?こいつ人の服汚して開き直ってるよ、出せよ!ほら、出せよ!」
こういう騒ぎがあるのに周りの登校中の生徒はおろか、先生すらも注意できなかった。
その時、チャイムがなった
「ヤッベ!遅刻だっ」
菊池と堂本は急いで校門へ向かった
夢元も急いだが校門で先生が
「おい、沢村!何遅刻してんだ!」
先生に怒られた、夢元
「違うんです。今、菊池君とえと…」
夢元は転校してきたばかりで堂本の名を知らなかった。
「菊池は優等生だぞ。何言い訳してんだ。さっさと自分のクラスへ行け!」
そういわれると黙って自分のクラスへ行った夢元
クラスにて
第一時限目の授業が始まる前夢元は悩んでいた。部活動について
部活はパソコン部にでも入ろうと思っていた
その時後頭部になにか当たってきた
後ろにいたのは田辺だ。夢元にいたずらをして、からかうことをよくする男だ
夢元が後ろを振り向くと
「何見てんの?」
そういい田辺は夢元の頬をビンタした
田辺は笑っていた。
夢元が悩んでいる間に授業は始まった
授業は国語、担当は担任の橋本だ
夢元は橋本に部活の入部届を出すことを考えていた。
そして、授業が終わり、入部届を出そうとする夢元
しかし内気であり、自分より大人には話せない夢元であった
そんなこんなで橋本は教室を去った
給食後のフリータイム
夢元は菊池につかまり
「ほら金だせよ」
夢元を脅す菊池
隆人は別の友達と話しており
沙織はクラスにいなかった
菊池は夢元の胸元をつかむ
夢元もつかむが、まわりの生徒は大笑いをしていた。
そしてそこに橋本が現れ
「こら、夢元なにやってんだ!」
何故か夢元だけが怒られた
「違うんです。菊地くんが」
「菊池は優等生だ。胸ぐらを先につかんだのはおまえだろう
後で職員室へこい」
そういうとそのまま授業へはいった
菊地たちは笑ってた
隆人は下に顔を向けてた。沙織は悲しそうな目でみていた
その後、放課後橋本から説教されたあと夢元は下校した
家の近くになって思い出す。
入部届け出していない!
明日は専門部の集まりがある。今までの学校で起きたこと
そして、今の学校で起きたことそれが、全て、脳裏に浮き上がった。
そして家へ帰る
「お帰り、ムゲン」
真子が言う。
「ご飯できてるわよ。お風呂もできてるわよ。」
夢元は
「疲れたから、もう寝る」
夢元は2階へ行き、布団へこもった
いつもやってる携帯ゲーム1時間ほどしたら
宿題を行った
その後彼は脳裏に今日の出来事やこの先のこと、
過去の事が全て脳裏に浮かんできたのである
真面目だが順応過ぎて誰の言うことも聞いてしまう
そんな弱気な夢元のメンタルは限界に近づいていたのだ。
そして、気がつくと朝が来た
夢元はこの日ギリギリの時間まで寝ていた
真子はいつもは下から呼ぶ程度だっだがこの日は
夢元の部屋まで上がってきた
「ムゲン!いつまで寝てるの?起きてよ、遅刻するわよ」
「朝ごはん間に合わないから学校いかない」
「何ふざけたこといってんの?早く行きなさい」
夢元をせかす真子。そこに夢元はこもってる布団から怒鳴るようにこう言った
「いい加減にしてよ、母さん。母さんはいつもそうやって身勝手じゃないかっ?
だいたい新潟にいるとき俺にばっかり、八つ当たりしやがって!」
「ムゲン…あれはお母さん一人で大変だったのよ。おばあちゃんの世話もしたり、お父さんもいなくて、人には色々噂されて大変
だったのよ」
真子の返しに夢元は
「そんなの関係ないよっ!俺は昔から学校ってところが嫌だったんだ。みんなに色々言われて、俺はとにかく嫌だったんだ!」
真子は泣きそうにこう言う
「でもムゲン、学校休んだら内申書が白紙になってどこも高校いけなくなるわ」
「なら、それでいいじゃないか。学校いけなかったら
なんて、幸せなことか」
真子は泣きそうになる。その時、大地が夢元の部屋の前に来て
「ムゲンいい加減にしなさい、この行動が未来のお前にどう影響を与えるかお前だったらわかるだろう?」
怒る大地、そこで夢元は
「どうせニートになると言いたいんだろ。父さんに俺の何が
わかるんだ。たまに新潟にきて俺の事なんかなにも
わからないくせに」
それに対し大地は
「ムゲン…甘えるな!今から行くんだ遅刻してもいいから
早く行けぇぇー!」
激しく怒鳴る大地それに対し、夢元は布団からでて
学生服に着替えた
「わかったよ、学校いくよ」
夢元は学校へ向かったが、不安そうな真子はこっそり後をついてった
夢元はホントは家に帰ろうと思った。しかし、後ろに真子がついてきているのを知ってたため家には帰れなかった
夢元は学校の校門へ入った
安心した真子は帰っていった
しかし、夢元は真子が帰ったのを確認して
校門からでて、学校に入らなかった
登校時間15分過ぎての話だった。先生などはその付近にはいなかった。
彼は公園にいた。人がきたら隠れることを繰り返していた夢元は
公園で時間を潰そうとしていた
そこに、夢元に声をかけた男性がいた。
「おい、なに休んでんだ!」
ドキッとした夢元。そこには隆人がいた
「何だ、お前かよ。何で、ここにいるんだよ」
ほっとした様子で夢元がこう言うと隆人は
「何って、学校平気サボってよく言えるな」
「先生がそういったのか?」
「いや、先生は体調不良って言ってた。まさか、ホントに
サボりか」
「明日絶対いくから誰にも言わないでくれよ」
「わかってるって」
「何でお前、あんと時俺を助けなかった?」
「あん時って」
「菊地にせめられてた時だ」
「ああ、あいつに逆らうと皆から攻撃の対象になるからな
あいつのグループは野蛮だが、両親が権力者だからな
誰も逆らえないのさ」
「そうだったのか」
夢元は納得した様子だった
「今でも遅くない、説明すればみんなわかってくれるって」
隆人はこう言うが
「駄目だ!あいつらの前で恥をかきたくない!」
夢元はこう言った
そこに誰かが来た
「ムゲン!やっぱりここにいた。」
真子が呼んでる
隆人は逃げるように
「じゃあな、俺もサボりでここにいるがそろそろ学校戻らないとな」
と去っていた。
夢元は隆人を止めようとするが、すでに隆人はいなかった。
そこに、真剣な顔の真子が、迫ってきて
「夢元!どういう事なの!先生から電話かかってきて、どういうことか説明をしてくれないと
こちらが困るっていってたわよ。だいたい向こうだっていきなり休まれたら困るから
あらかじめ連絡しないと…」
その後も真子は泣きながら説教してきたが、夢元はこの時まだ、学校をずる休みしたことについて
罪悪感はなかった。だが、
「ごめん、母さん…明日からは行くから。」
夢元はこの時明日は行くが毎日いける自信はなかった。泣き崩れ、座り込む真子
あれだけ晴れていた天気は一瞬で雨と化し、そこには泣き崩れ座り込む真子とその前で立ってる
無元だけがいた。
同時刻、学校では
「あいつ、専門部の集まりがいやだからさぼったな」
「卑怯ね」
「おまけにキモいしな」
生徒たちは笑いまくっていた
それを黙って聞いていた沙織
ドンッ
沙織の席から机を叩く音が聞こえた。
そこに橋本と隆人がクラスに入り、橋本がこういった。
「おい、お前ら席つけ!」
あれだけ、騒いでいたクラスメイトが一瞬でおとなしくなった
「今、沢村のお母さんから電話きたんだけどぉ。アイツ昔から病弱でね。今日は体調不良ということで
休んだとのことだ。あと、藤原、お前散々職員室で言ったけど、途中で抜け出すなんてもう二度とするなよ」
藤原というのは隆人のことだ。隆人は反省してるようだが
(他のやつが出てても気づかねえくせに)
と心の中で思っていた。
「よし、授業はじめっぞ」
雨の中授業が始まる。
時は過ぎ夜になった。天気は大雨で、時々、雷が鳴ってある。
10時夢元は自室で横になって考え事をしていた
明日学校で何をいわれるかそういったことを考えていた
この時真子は入浴中で、大地はリビングでビールを飲みながらニュースをみていた。
2階から降りてきた夢元。大地に話しかける。
「コンビニ行ってきます」
しょぼくれた様子でそう言う夢元それに対し
「外は雨だぞ、かなりの土砂降りだ。やめたほうがいいと思うが」
「大丈夫だよ、すぐ帰ってくるから」
そう言い、夢元は傘を持ち外へ出た
夢元は帰るつもりはなかったそのまま外へでて帰らないつもりだった
夢元は小遣いの2000円をもち、コンビニで120円のパンと140円のスポーツドリンクを購入
食べ歩きをしながらしばらく歩こうとしたとき3人人影が、
こんな土砂降りの日に何故?と思ったが、気にせず通りがかった
よく見ると、その三人は菊池、堂本、田辺の三人だった
三人でなにをしてるかなど興味はなかった。目をそらして歩いていた夢元だったが
「沢村!何やってんだこんなとこで?」
そうつっかかってきたのは菊池だった
「なに、今日サボってんだよッ」
普通は断るものだったが断れない性格の夢元はついていった
4人は発電所近くへ行った
菊池は夢元に向かってこう言った。
「こんなとこ誰も来ねえから、ちょうどいいな」
菊池、堂本、田辺は夢元を囲み、菊池はこういった
「おい金出せよ」
夢元は目をそらし
「やだよ」
3人は鼻で笑った
菊池は夢元の腹部にパンチをした。
「うっ」
夢元は腹部を抑え込んだ。その隙に夢元の財布をとりそこから1740円を抜き取り、
財布を発電所の中に放り投げた
そのまま立ち去ろうとする三人
夢元は
(あれは昔母さんが買ってくれた大事な財布だ、取りにいかなくちゃ)
雷が10分に一回鳴るこの状況で夢現は発電所の塀に上った
3人は笑う。その時
強力な雷が夢元にあたった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁー」
叫ぶ夢元の前で棒のように立ってる3人
雷をうけた夢元は落ちた。そして、ピクリとも動かなかった。
「ヤベェぞ」
田辺はそう言い、3人は逃げる
その時、菊池に異変が
「ウッウゥッ」
「どうした、俊二、ウッ」
菊池の下の名を呼んだ堂本、それと同時に堂本は吹っ飛んだ
2メートル以上飛ばされた堂本はすでに死んでた
田辺は怯え一人逃げ出した
そこには菊池ではない、2メートル半の身長のごつい化物がいた
日は過ぎ夢元は目覚めた
「ここは?病院か?」
周りが病室と確認した夢元
彼は自分の右手を上げ見た
その時彼は、目を疑った
「なんだこりゃぁぁぁ」
病室にもかからわず大声を出した夢元
彼の右手は鋼鉄の手と化していた…