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テネブリスアニマ ~終焉の世界と精霊の魔城~  作者: 朝寝東風
第一章 テネブリスアニマ再誕
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帰還

 ゴブリンの集落を一つ潰して帰還したアサン達。


 彼らが見たのは、仁が外で火の番をしている姿だった。


「陛下、ご無事ですか?」


「問題無い。アサン達こそ収穫はあったか?」


「勿論です」


「それは良かった」


 アサンと仁が話す中、テネブリスアニマの中からイビキが聞こえる。


「まさか、寝ているの!?」


 コレンティーナが驚愕する。


「晩飯を食べて、朝の戦闘まで休むそうだ」


 仁は特に気にしなげに言う。


「陛下が仕事をして、護衛が寝るのはどうかのう」


「流石に敵が来たら目を開けるさ」


 ケーレスに心配無用だと伝える仁。


 仁は一番の役立たずとして出来る事をしたまで。


 それにゲーマーである仁は夜型だ。


 太陽が昇るのを見てベッドに入る癖がついている。


 アサン達は家臣を休ませるために陛下が自ら寝ずの番に立候補したと感動した。


 陛下が安全に寝ずの番が出来る様に、付近のゴブリンを確実に虱潰す決意を新たにした。


「それならこのゴブリンの魔石が陛下の役に立つんじゃないかしら?」


 コレンティーナが100を超える魔石を指差した。


「かなりの数じゃないか」


「126個はありますのう」


「テネブリスアニマの機能を一つ追加出来るか」


「是非とも城壁を追加してください。陛下の御身が大事です」


 アサンは100ポイントで追加できる城壁を推した。


 コレンティーナとケーレスも同様だった。


『ランク1の城壁って木の柵だから、実用性が無いんだよ』


 仁はいまいち乗り気では無かった。


 木の柵は城壁内の家畜が外に行かない様にするもの。


 野生の狼程度なら余裕で飛び越える。


 ゴブリンなら簡単に解体する。


 それでも数秒から一分ほど時間を稼げる。


 アサン達がお勧めするのも間違いでは無い。


『アサン達には悪いが、進化の間を優先させよう』


 アイアン・サーガ・オンラインと進化システムが同じなら、アサンなら明日には進化出来る。


 それでも多くの事を検証しないといけない。


 ランク1はレベル10で打ち止めなのか?


 ランクアップしたらレベル1にリセットされるのか?


 ステータスはゲーム同様に引き継ぐのか?


 ランクアップボーナスはあるのか?


 特殊進化とアイテム進化まで考えると可能性が多すぎて仁は頭を抱えたかった。 


『フェニックスの外殻は進化用アイテムだ。俺が使えばブロークンから進化出来るはず』


 ランクアップは仁に取っても重要だった。


 低ランクの内はアサンに付き添って貰ってゴブリン狩りでパワーレベリングすれば良い。


 しかしブロークンのままではステータスがアップしない。


 最弱のゴブリンより弱いのに一切強くならないと知られたら、アサン達はどう動くか。


『弱者必滅とか言うだろうな……』


 テネブリスアニマの基本思想は弱者必滅。


 弱者である事は罪では無い。


 弱者であり続ける事は罪だ。


 今の仁は前者だ。


 ランク2の仁は後者だ。


『ランクアップと同時にブロークンから何かにならないと俺の命は無い』


 しばしの沈黙。


 アサン達が仁の一言も漏らさない様に傾注している。


「アサン達の忠誠嬉しく思う。しかし今回は進化の間を作る」


 仁は意を決して言う。


「陛下、御身が危険ですわ!」


 コレンティーナが猛反対する。


「陛下、如何なる理由かお聞かせください」


 アサンが理由を問い、ケーレスも頷く。


「簡単な事だ。皆がランクアップした方がテネブリスアニマが強くなれるからだ」


「まさか、全ては我らのため!」


「陛下、格好良すぎるわ!」


「これぜ私達の陛下でございますのう!」


 アサン達は国のために己を犠牲する覚悟を見せた陛下の行動に感激する。


「アサンは次のゴブリンの集落でレベル10になるだろう?」


「今はレベル7です」


 仁はゴブリンをあれだけ倒したのにレベルの上りが少ない様に感じた。


 アイアン・サーガ・オンラインに比べ経験値の獲得が難しくなっていると考えた。


 高ランクになったら顕著になるのではと内心恐々だった。


「次に出る前に進化の間で進化経路を確認して」


「なるほど。万全の状態でレベルマックスになれと」


「そう言う事」


 アイアン・サーガ・オンラインではランクが奇数の時にアイテムを使えば特殊進化が出来た。


 他にも特殊進化の方法はあったが、確実なのはこれだけだ。


 アサン達がフェニックスの外殻を持ってランクアップする事は可能なのか。


 仁はそれが知りたかった。


「ランクリセットはされても種族はランク10の時と一緒ですし、変化はあるのかしら?」


「ここからは未知の領域ですのう」


「もっと胸が大きくなる進化先があると良いのですけど」


「それ以上大きくしても邪魔なだけじゃのう」


「うるさい!」


 コレンティーナとケーレスがどうでも良い会話をしていた。


 なおコレンティーナの胸は一言で言えばスイカだ。


 仁がコレンティーナの歩行SEをタッタッタッからタプンタプンに変える程だ。


 他の仲間の歩行SEも変えていたので、コレンティーナだけ特別では無い。


「アサン、玉座に魔石を100個捧げてくれ。後は俺がやる」


 イビキをかきながら玉座の間のど真ん中で寝ているマカンデーヤを無視して四人は作業に勤しむ。


 玉座に置いた魔石が光を発して消滅した。


 それを見て、仁は玉座に座り進化の間を購入した。


 ゴゴゴッと言う音と共に西側の壁に扉が出来た。

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