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テネブリスアニマ ~終焉の世界と精霊の魔城~  作者: 朝寝東風
第一章 テネブリスアニマ再誕
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玉座

 仁は玉座に座った。


『システムは……機能するみたいだ』


 アイアン・サーガ・オンラインではプレーヤーのアバターが玉座に座ると統治者モードになる。


 主だった特殊機能はステータスチェックとキャッスルビルド。


 ステータスチェックはキャッスルが作り出した存在のステータスとスキルを確認出来る。


 仁とアサン達の事だ。


 キャッスル本体も含まれる。


 キャッスルビルドは魔石を捧げて稼いだポイントでキャッスルに機能を追加出来る。


 魔石を一定数捧げると自動的にランクアップを開始するので、計画的に使わないといけない。


「ニューゲームと同じ100ポイントか」


 仁はアサン達に説明しながら確認作業を続ける。


『リアルになったら急に課金の有難味が分かって来た。だが、ゲームみたいな罠がある可能性もある』


 アイアン・サーガ・オンラインでは1プレイ1回限定で5000ポイントを100円で購入出来た。


 手っ取り早くシナリオを進めたい初心者用のアイテムとして売りに出された。


 実は罠アイテムだ。


 課金するとポイントが自動消費され、キャッスルはランク4にアップする。


 そしてランク1から4までに起こるシナリオイベントとランダムイベントが一挙に押し寄せる。


 ランク1状態の真の仲間ではランク4イベントの敵には勝てない。


 そしてあっと言う間にゲームオーバー。


『課金機能は無いか。ゲーム内ショップ機能はキャッスルのランクが足りないから確認出来ず』


 キャッスルがランク3になるとプレイヤー同士でアイテムの売買出来る場所へ行ける。


 異空間にある町と言う設定だ。


 課金アイテムは売買出来なかったが、ボスのレアドロップ等は高値で取引されていた。


 通貨はキャッスル強化に使うポイントだ。


「100ポイントだと倉庫、城壁、進化の間が作れそうだ」


 倉庫は50ポイント。


 城壁と進化の間は100ポイント。


「防衛を考えるのなら城壁が良かろう」


 アサンとしては気休め程度でも壁が有った方が仁を守り安いと考えた。


「進化の間でランクアップすれば壁なんて意味が無くなるぜ」


 マカンデーヤはランクアップを優先してかつての強さを取り戻したかった。


 ランク7以上まで上げられたら、国一つ相手にも戦える自信があった。


 コレンティーナが欲しい後宮とケーレスが望む大図書館はリストに出なかったので二人は大人しい。


 アサンとマカンデーヤを諍いを他所に仁は考える。


『ここはゲーム通りだ。3つの建築物でそれぞれタイプが違う』


 倉庫は追加でポイントを払って強化するタイプ。


 最初は三畳間の押し入れだが、ポイントを消費すれば時間停止機能を持つ無限収納になる。


 城壁はキャッスルのランクと連動して自動的に強化されるタイプ。


 最初は木の柵だが、キャッスルがランク4になれば立派な石壁になる。


 進化の間は最初から完成されており、これ以上何も強化されない。


 ただし、進化の間は外部のパワーノードに依存しており、パワーノード次第でただの置物になる。


「しまった! パワーノードを忘れていた!?」


 仁はついつい叫んでしまった。


「ご安心ください陛下。地下から力を感じますのう」


「それが良いんだが……」


 ケーレスの発言を肯定しながらも口ごもる仁。


『小型パワーノードかよ! ここはゲームとは違う。やはり全部一緒では無いのか』


 アイアン・サーガ・オンラインは極論すればパワーノードの奪い合いだ。


 パワーノードは世界の力が集結する場所となっている。


 龍穴とかレイラインが交差する場所とも呼ばれる。


 ゲーム内では小型、中型、大型の3種類があり、その上にキャッスルを建てる事で支配を確立した。


 ゲームのテネブリスアニマは中型パワーノードから始まり、最終的には大型パワーノードを多数手に入れた。


 今のテネブリスアニマは小型パワーノードの上に鎮座している。


『パワーノードのタイプでランクアップの上限が決まるのは有効か、くそっ!』

 

 小型パワーノードではランク3までしかランクアップ出来ない。


 中型でランク6、大型でランク9。


 真の仲間だけは大型でランク10まで上がる。


「陛下、何か問題があるのでしょうか?」


 眉間にしわを寄せた仁を見てコレンティーナが聞く。


「ここのパワーノードではランク3以上に進化出来ない」


 隠しても仕方が無いので仁が本当のことを言う。


「なんだと!」


 力こそすべてのマカンデーヤが激昂する。


「落ち着け。最初の内だけだ。そうだろうケーレス?」


「ほっほっほっ、左様でございますのう」


 テネブリスアニマをランクアップし、近くのパワーノードを支配すれば問題解決だ。


 複数のパワーノードを支配下に置く機能はランク5から解禁される。


「それと合わせて、パワーノードを発見しないといけない」


 仁がマカンデーヤのために補足する。


 アイアン・サーガ・オンラインでは必ずキャッスルの支配可能範囲内にもう1つはパワーノードがあった。


 これはそのままであって欲しいと言うのが仁の細やかな願いだった。


「何か指標がありますの?」


「そうだな……。村には小型、町には中型、都市には大型パワーノードがあるだろう」


 仁はしばらく考えて答える。


 村程度ならパワーノード要らずでも開拓は出来る。


 しかしパワーノードがあれば確定一等地だ。


 あえてパワーノードが無い場所で村を起こす必要は無い。


 都市になれば確実に中型パワーノードはある。


 アイアン・サーガ・オンラインにあるヒューマン勢力の都市はパワーノードに完全依存している。


 そういう意味ではテネブリスアニマと同類だ。


「分かったぜ! 戦争だな!」


 マカンデーヤが簡単に言う。


 仁は否定しようと一瞬思った。


 しかし、アサン達の忠誠が「常勝無敗の王」故の事だとしたら?


 余り及び腰の選択は出来ない。


「戦略を決めれば戦う事もあるだろう」


 仁はなんとか玉虫色の回答を用意した。


 どの様な戦略を取っても戦う事になりそうだ、と仁は内心思った。


 それでも必要なら少しは先延ばしする覚悟を決めた。

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