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テネブリスアニマ ~終焉の世界と精霊の魔城~  作者: 朝寝東風
第一章 テネブリスアニマ再誕
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白亜の幻IV

 倉庫を拡張した次の日、仁はコスト500の召喚の間を購入した。


 本来は倉庫拡張と一緒にやる予定だった。


 しかしコレンティーナの着せ替え人形にされて、その日はそのまま終わってしまった。


『最後の方はコレンティーナのファッションショーになった気がする』


 昨日の事を考えると、これしか思い浮かばなかった。


 実際、コレンティーナが試着した洋服の数は仁よりはるかに多かった。


 流石の仁も10着目辺りで褒め言葉のバリエーションに苦慮した。


 そんなコレンティーナだが、早朝から外出している。


 最長二泊三日の遠征に出た。


 テネブリスアニマの北と南は情報が不完全。


 仁はコレンティーナを北に派遣した。


 南は遠くに山が見えたので、モンスターの種類が変わる可能性があった。


 それならゴブリンが居るだろう北の方が考えずに殲滅出来る。


 コレンティーナのレベルからして、明日にはランクアップのために帰って来るだろう。


 それでも多少余裕を持たせたのは敵が少ない場合を考えて。


 それに幻影の宝珠の実地試験も兼ねている。


 仁が想定する使用方法が不可能と分かれば、違う案が必要になる。


 全ての案が不発になっても、アサンが前線で暴れるだけで勝てる分、仁の気は楽だった。


「陛下、いよいよです」


 アサンが仁に声を掛ける。


 仁は無言で頷く。


 二人は召喚の間に居た。


 二人は倉庫から持ち出した剣と鎧を装備していた。


 アサンは仁とお揃いの装備で内心小躍りしていた。


 コレンティーナが居たら血を見る結果になったかもしれない。


「では召喚を開始する」


 仁は部屋の中央にある魔方陣に魔石を置いた。


 仁にしか見えないパネルが出た。


『グール、インプ、スケルトン、ゴブリンは思った通りだ』


 それぞれアサン達の初期種族だ。


『ゴブリンスケルトン、ゴーレム、サンショウウオ?』


 仁は困惑した。


 ゴブリンスケルトンはケーレスが作ったのを破壊して玉座に捧げた。


 だからリストに追加された。


 ここはアイアン・サーガ・オンラインと同じだ。


『ゴーレムの情報を見てみるか』


 アイアン・サーガ・オンラインにゴーレムは存在するのかもしれない。


 ただ、ゲーム内では蒸気で動くコンストラクトがゴーレムとして扱われた。


 リストに載っているゴーレムは機械では無く、魔法生物。


 仁のブロークンに対応する初期種族と言えなくも無い。


 それでも、やはり不自然なモンスターだ。


『全ての面でコンストラクトに劣るじゃないか。メリットは……』


 仁は必至に良い所探しを開始した。


 防御力が高く、ゴブリン相手ならまず負けない。


 コンストラクトの方が防御力は高いのだが、ゴブリンが関節を攻撃したら倒される。


 関節の強度が高いゴーレムならその心配はいらない。


『サンショウウオは嫌な予感がする』


 サンショウウオは火の精霊。


 育ちきったらフェニックスになるかもしれない。


『精霊を創造出来るのは新しい』


 アイアン・サーガ・オンラインでは精霊は敵限定だった。


 ランク1から無効属性を持っていて、地味に嫌な敵として君臨していた。


 その癖、貰える経験値が少なく、討伐の労に見合わないモンスター。


『ボスのお供としてワラワラ出て来た以外記憶に無い』


 仁ですら、こんな感じだ。


『後は灰色になっているダークドワーフか、良かった』


 仁は密かに胸を撫で下ろした。


 ダークドワーフがリストに入っているだけありがたかった。


 今は召喚は出来ない。


 今は必要が無い。


 それでもこれから先に必要になる。


 灰色表示は魔城のランク不足。


 課金やボスドロップで増えた召喚種族の多くが該当する。


 課金して手に入れた種族なのにリストに表示されないとクレームが多かったため、追加された機能だ。


 無課金の仁が何故ダークドワーフを召喚出来るか?


 そもそもダークドワーフとテネブリスアニマの相性は最悪だ。


 何せアンデッドとゴブリンを蛇蝎の如く嫌う種族だ。


 召喚してもその場で裏切る可能性すらある。


 ダークドワーフが選択出来る理由。


 それは魔城の疑似人格のノワールがダークドワーフだからだ。


『ノワールが目覚めたらダークドワーフは要らないけど、ここだと要るのか?』


 ゲームではノワール一人が居れば事足りた。


 しかし、この世界ではノワール一人では手に余る。


 ダークドワーフ部隊の創設を考える必要がある。


『面倒な!』


 仁は首を振る。


 テネブリスアニマは蛮族経済だ。


 工業と商業は発達しない。


 そのため、強力な武具が製造出来ないし購入も出来ない。


 しかし素材だけは倉庫に溢れかえる。


 何せ戦争特化している。


 倒した敵のドロップアイテムには事欠かない。


 そこで仁は「自作すれば良い」と思いつく。


 そして物作り特化のノワールが生まれた。


 ノワールが生まれる前だと一般兵がランク3、アサン達がランク5の装備をしていた。


 ノワールが生まれた後だと一般兵がランク4、アサン達がランク8の装備をしていた。


 大量生産の能力は低い方だが、一品物ならゲーム中ほぼ最高ランクの武具を作れた。


 ランク4を大量生産出来る存在は、大陸中の国が戦争をしてでも確保したい人材だ。


 仁がそれを知らないのは幸いかもしれない。


「確認は終わった、召喚する」


「はっ!」


 アサンは万が一に備え、臨戦態勢に入る。


「召喚、ゴブリン!」


 魔方陣に必要な魔石を捧げ、仁が叫ぶ。


 魔方陣が魔石を飲み込み光る。


 そして数瞬の後、人型の何かが魔方陣の中央に現れる。


「陛下、成功です」


 アサンが言う。


 ゴブリンの召喚は成功した。


 そして仁は手に持った剣でゴブリンを斬り殺した。

エラッタ:創造の間を召喚の間に変更。


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