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テネブリスアニマ ~終焉の世界と精霊の魔城~  作者: 朝寝東風
第一章 テネブリスアニマ再誕
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コレンティーナ

 コレンティーナがボロ屋と言ったキャッスルは8畳間が一つしかない。


 そこに玉座とアサンの棺桶が配置されている。


 アサンは自分のローブを棺桶にかぶせ、仁を上に寝かせた。


「添い寝出来ないじゃない」


 コレンティーナが残念そうに語る。


「する必要が無かろう」


 アサンがもっともなツッコミを入れる。


「それはそうと、機能はどうなの?」


「陛下が目覚めぬ限り使えないだろう」 


「ノワールが居れば……」


「最悪、ノワールを叩き起こす」


 キャッスルの機能を使えるのは仁とノワールだけ。


 アイアン・サーガ・オンラインの中盤以降はやる事が多くなり、プレイヤー単独では手が回らない。


 その時、補佐をするのがキャッスルの疑似人格。


 現状では補佐が必要無いため、疑似人格は目覚められない。


 ノワールを目覚めさせるにはポイントを消費して、キャッスルのランクを上げないといけない。


 討伐したモンスターのランクがそのままポイントとなる。


 もしランク1のアサンを殺して、その魔石をキャッスルの玉座に捧げれば1ポイントになる。


 ノワールが目覚めるのはランク4。


 ランク1のモンスター5000体を討伐するだけ。


 本来はかなり困難な事。


 この世界の人が聞けば不可能と断じる。


 しかしアサン達にとっては児戯に等しい。


 ランク9種族の基礎ステータスを持つ4人にとってはランク1種族など相手にならない。


 1対1ならランク5種族までは対応出来る自負があった。


 懸念は近隣モンスターの総数だけ。


「数が多いと良いけど」


「マカンデーヤとケーレスの調査結果を待とう」


 この地に飛ばされて4人はすぐに行動を開始した。


 アサンは建物探索。


 コレンティーナは仁の護衛。


 マカンデーヤとケーレスは近隣調査。


「陛下の傍で周辺を見回したけど、生物はいなかったわ」


「そうか」 


 突然建物が現れて、その近くにけた違いの強さを持つ存在が5つ出現したらモンスターで無くても逃げる。


 アサン達はキャッスルがこの世界に出現した時に地面がかなり揺れた事を知らない。


 知っていれば違う考えに至っただろう。 


「おーい、二人とも中に居るのか?」


 知っている外から声がした。


 エルダーオニヒーローのマカンデーヤのものだ。


「そうだ」


 アサンが答える。


 アサンの声を聴いて2メートル弱ある血みどろの男が室内に入って来た。


 腰蓑だけの貧相な装備だが、アイアン・サーガ・オンラインの時も似た格好をしていた。


 見た限りでは装備が変わった事を理解出来る者は少ないだろう。


「怪我は?」


 答えが分かっていても、コレンティーナがあえて問う。


「ねえぜ、全部返り血だ」


「短絡的に戦闘するのは褒められた事では無い」


 アサンが厳しく言うも、マカンデーヤは無視した。


「ゴブリンが居たんでプチッと潰しただけだ」


「ケーレスは?」


 ウォーモンガーのマカンデーヤに何を言っても無駄だと知っているコレンティーナはケーレスの居場所を尋ねた。


「ほっほっほっ、ここに居りますじゃ」


 好々爺の雰囲気を醸し出して、エルダーリッチフィロソファーのケーレスが入って来た。


 アサンと同じようなボロいローブを身に纏っていた。


 最高級の材質をふんだんに使った紫のローブに比べたら余りに貧相。


 過度に宝石をあしらった指輪も無ければ、特殊な魔法金属で作った冠も無い。


 ケーレスの強さは装備によるブーストが大きい。


 四人の中でランクリセット以上に弱体化している。


 しかし、彼の頭脳の冴えは未だ変化せず。


 彼は万が一罠の可能性を考慮して外で待機していた。


「外に居たのか。私の索敵とキャッスルの索敵に反応が無かった」


 アサンはランクリセットによる能力の低下が想像以上だと認めるしか無かった。


 かつては数キロ先で落ちた針の音すら聞き分ける自信があったのに、今では外に居た骸骨の動きすら聞き分けられなかった。


「報告なのじゃが、近隣にはゴブリンが多く千体じゃ。ヒューマンは少なくてもこの近くには来ていないのう」


 ケーレスは外にある足跡や糞を調べ、近隣に生息する存在を絞り込んだ。


 他には生息しているであろう野生動物、そして食料になりそうな果実を発見していた。


 水については少し遠い所に大きな水たまりがあった。


 この人数が長期にわたって水を使うのなら井戸を掘るのが最善と報告した。


「千か。足りないわね」


 コレンティーナはゴブリンの少なさを嘆いた。


「ゴブリンしか居ねえなんて詰まらねえぜ」


 マカンデーヤはゴブリンの弱さを嘆いた。


「スケルトン召喚の魔石を捧げないといけないのは痛いのう」


 ケーレスはゴブリンスケルトンを召喚出来そうにない事を嘆いた。


「ここ数日はゴブリン狩りで魔石を稼ぐ」


 アサンは最初期に必要な魔石を確保出来る事に安堵した。


 四人とも口に出す言葉は違った。


 しかし、考えは一緒だった。


 ゴブリン、餌になるべし。


「……うっ。ここは……」


 4人が揃うのを待っていたかのように仁が目を覚ました。

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