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テネブリスアニマ ~終焉の世界と精霊の魔城~  作者: 朝寝東風
第一章 テネブリスアニマ再誕
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ダグの村 侵攻戦III

「ほっほっほっ、結界かのう」


 ケーレスは遠くから状況を見守っていた。


 村に侵入していたゴブリンスケルトンが一瞬で壊滅した事に驚いた。


 それと同時に激しい怒りが込み上げて来た。


「陛下に預かった魔石をよくも!」


 仁はケーレスに100近くの魔石を預けていた。


 冒険者にやられたのも含め、28体失ってしまった。


 強敵との戦いで失ったのなら問題は無い。


 ケーレスが生き残るために犠牲にしたのなら問題は無い。


 今回はケーレスの個人的な知的欲求を満たすために失った。


 ケーレスは猛省した。


 そしてこのミスを取り返さねばと心に誓った。


 この村を落とさねばならない。


 仁が遠くで「やめろぉぉぉ!」と叫んだ気がしたが、気のせいと断じた。


「これはこれで良い情報が手に入ったのう」


 贖罪方法を勝手に決めたケーレスは早速情報を解析しだした。


 結界は村の中心近くにある石柱を起点に円形だ。


 結界は石柱の近くの建物を守っているが、外の畑は守っていない。


「小さなエリアを守るだけですのう」


 結界の範囲が分かったので、次はゴブリンスケルトンを結界の中に送り込んだ。


 境界線を越えて結界に入る事に支障は無かった。


 ゴブリンスケルトンは2秒弱で消滅した。


「スリップダメージかのう?」


 もう2~3体送り込んで、ケーレスはゴブリンスケルトンが消滅する理由をある程度掴んだ。


 アイアン・サーガ・オンラインには毒と呪いの様に毎ターンダメージを与えるバステがあった。


 ゲームでは効果を無効化したり減退化して対応した。


 他には遠距離攻撃でダメージ発生源を潰す事もした。


 マカンデーヤなら気にせずに突っ込んで行く。


 削り切られる前に相手を破壊するだけ、と言いながら。


「となると、そういう事かのう」


 ケーレスがこの短時間にこれだけの情報を収集して解析出来たのには訳がある。


 彼はずっと似た存在と共にあった。


 魔城テネブリスアニマ。


 魔城の防御結界とダグの村の防御結界は同種のものだ。


 魔城の結界の方が遥かに強力だ。


 それはおそらく魔城と石柱のパワーノードの差。


「小型パワーノードより下のがあるとは驚きですのう」


 アイアン・サーガ・オンラインでは小型、中型、大型の3つがあった。


 期間限定のイベントで特大型と言うのもあった。


 しかしダグの村にあるのは極小型と呼ぶべきもの。


 ケーレスは結界が発動するまでパワーノードの存在を感知出来なかった。


「ほっほっほっ、これは大発見ですのう」


 仁はパワーノードを探していた。


 西の村にあると仁は考えていた。


 そしてケーレスは秘されたそれを発見した。


 この情報は値千金だ。


 ケーレス本人がやらかしたと思っている魔石の無駄遣いが無ければ撤退を視野に居る程だ。


「村を取ってパワーノードを献上すれば陛下はお喜びになるのう」


 ケーレスは俄然やる気を出した。


 ケーレスは残っていた魔石を全てゴブリンスケルトンに変えた。


 これこそ本当の無駄遣いだが、ケーレスを諫められる存在は近くに居なかった。


「包囲殲滅陣を試すかのう」


 アイアン・サーガ・オンラインのラッシュ時にハラスと言う行為がある。


 敵の内政に打撃を与え、軍備増強を阻害する。


 農地の破壊や農民の殺害だ。


 建物に放火は意外と役に立たない。


 ハラスが効果的な序盤では建物にダメージを通し辛い。


 それはあくまでゲームの都合。


 木と泥で作られた家屋なら良く燃えるだろう。


「半数はスリーマンセルで結界のギリギリ外を包囲巡回、残り半数は畑を破壊よのう!」


 無慈悲なケーレスが血も涙もない作戦を実行に移す。

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