その6 次のライブに行く準備
公園でケバブを食べながら俺達は夜に行くライブの計画を立てていた。
雅人は、次こそは溶け込んで見せると鼻息が荒い。
玄太君はケバブを三つ持ちながら楽しそうだ。
「でも、今日は珍しくメイドさんが沢山話しかけてきてくれたな。V君の作戦通りだね。」
「だろ、この時代錯誤の雅人は、秋葉原女子には人気が高いと思ったんだ。それに狐目のスマートイケメンでS風の偽関西弁の金子は、もう腐女子のハートど真ん中だからな。」
金子は困った顔をした。
「なんやイケメンマスターが遊びに誘ってくれたのは、そんな理由やったんですか。ですが腐女子って夏子様のなかまでっしゃろ。ちょっと遠慮しときますわ。」
「そういえば金子は夏子の事は苦手だもんな。」
すると雅人もうなずく。
「じつは俺も夏子先生は苦手っす。あと莉奈先生は苦手って言うより勝てる気がしないから嫌だな。」
金子はうなずく。
「雅人君、安心していいで。莉奈さんにはイケメンマスターもやられてるし、玄太君もボロボロにされとるから。」
雅人は目をみひらく。
「兄ちゃんがよくボコボコされたってっいうのは噂で聞いたけど、Vさんまで!。」
「ま、イケメンマスターの場合は、やられてるっていうても、エッチな意味でですけどな。」
俺はぽんと金子の肩を叩く。
「そこから先は18禁な。今は夜に行くライブを決めよう。」
雅人は俺を尊敬のまなざしで見た。
「さすがVさんは、夜もイケメンマスターなのですね。」
「そんなこと無いよ、普段の生活は主夫に近いしさ。友美や房代の頭洗ってあげたり、冬美にドライヤーかけてあげたり。」
そこで玄太君がガタリとたちあがった。
「ちょっとまった!V君、それは前から聞こうと思っていたんだけど、じつは一緒にお風呂入ったりしているという噂は本当だったのかい?如水さんが噂していたけど。」
俺はちょっとビビってこたえに詰まる。
本当の事を言うのは、いろいろ問題がありそうだから。
っていうかイトコの如水がそんなこと知るわけ無いから、適当な噂流しやがったな。
こんどぶっとばす。
すると俺の後ろから、ニューと白い手が出てきて俺を抱きしめた。
え?
そして俺の顔の横から、ひょっこり友美が現れていた。
「Vちゃまみーっけ。玄太、私達が一緒にお風呂に入っているのは本当よ。私以外にVちゃまと一緒にお風呂に入った人の名前知りたい?。」
「うわ、友美ちゃん、ビックリした。・・・え?他にもいるの?一緒に入った人は沢山居るの?。」
「Vちゃまと一緒にお風呂に入ったのは、私と芽衣と冬美お姉ちゃまと房代さんと莉奈さんと夏子さんとエスパー部隊全員・・・ぐらいかな。」
「ええええ!なんてハーレム生活。V君すごいよ!」
おいおいおいおい、エスパー部隊は俺すら初耳だな。
でもここで反論しても問題ありそうだから、あとで弁解しよう。
友美がこれ以上しゃべると面倒になりそうだから、おれは手に持っていたケバブを友美の口に持っていった。
パク!
一口で半分はケバブ食べちまいやがった。
紙から出して、残りの半分も友美の口に持っていってみる。
パク!
やっぱり残りの半分も一口でたべやがった。
ケバブを二口で食べるって、どんな生物だよ。
友美の後ろから芽衣の声がした。
「Vっち、私もケバブ食べたいよ。」
とほほ
とほほ
とほほ
男には女抜きで楽しむ、オッサンズトークの時間が必要なのだよ。
今日は久しぶりの男だらけのお気楽DAYのはずだったのにな
しかし、今日はココまでか。
俺は申し訳なささそうに玄太君を向く。
「ゴメン、こういう状態になっちゃったんで、俺はココまでみたい。」
すると友美が俺の背後からジャンプして俺を飛び越え、膝の上にジャンピングすわりしてきた。
痛い!江戸時代の拷問ぐらい痛い!
だが友美はニコニコしてやがる。俺痛いのに…。
「行けばいいじゃん、私は終わるまで適当に待っているから。私だってVちゃまには男どおしの時間が必要だってわかっているもの。ね。」
金子は半泣きした。
「友美様、成長されましたな。わが事のようにうれしくい思います。」
すると芽衣が金子の耳元でささやく。
「友美っちは、金子にお役目を与えるそうだ。Vっちのそばに居て、Vっちに近づく女が居たら殺せといっていたよ。できるな金子。」
俺は思わず突っ込みいれた。
「こらこらこら!まことしやかに金子をからかうな。まったく。」
そしてチラリと友美を見たら、友美は目をそらした。
え? 今のマジ指令だったの?
おれは友美の肩を抱く
「じゃあ友美、金子への指示は俺に女性が近づくのを邪魔しろでいいじゃん。それで充分だろ。」
友美は少し考えてからうなずく。
「じゃあそれで良いよ。あと緊急事態だから事後報告になるけど、Vちゃまを探すためにヤンデレスイッチ使ったよ。でも探す以上の事はして無いよ。」
「わかった。緊急事態ならば良いよ。でも・・・今回は緊急事態ではないと思うけどな。」
「緊急事態だよ!、だって携帯がつながらなかったじゃない。携帯がつながらないなら、ヤンデレスイッチに頼るしかないじゃん。また携帯がつながらないときに急いでVちゃまを探すときはヤンデレスイッチつかうよ。これは例外としていいよね。」
そりゃあ、ライブ中は携帯切りますよ。
そして俺はユックリ考えた。
「そうだな、緊急と思われるときは許すよ。俺を探すためにスイッチを使ったのなら事後報告でも良い。でもこれは特別な特例だから、これからは事後報告が必要な使い方は出来るだけなしないようにな。」
「はーい。」
こいつ、返事だけは良いよな。
そして、俺はあることを思いついた。
「っていうか、お前も一緒に来れば良いんじゃない?。」
友美は目を開いて驚いた。
そしてコクコクうなずく。
「いくいく!それだったら問題ないよ。もうVちゃまったらー。本当にいいの?。」
本当は、駄目って言いたい。でも友美が我慢できなくなってスイッチを使うんじゃないか心配だから連れて行くんだけどね。
で俺は考えた。
「連れて行くのはいいけど、ヤンデレスイッチはだれか信用できる相手に預けなさい。ヤンデレスイッチなしだったら連れて行くよ。」
友美の理解力と判断力には時々驚かされる。
俺が言い終わる頃には、携帯で電話を始めていた。
「エスパー部隊、秋葉原に集合!私がVちゃまと遊ぶ為に力を貸して欲しいの!」