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その2 ヤンデレスイッチ使用に関する会議

1時間後


居間で冷たいものを飲みながら、莉奈のオトメスイッチで全員に白面キャンセルをかけた。

まだヤンデレスイッチの効果が続いている可能性もあるから念のためだ。

俺はイケメンスイッチでキャンセル。


そして皆に対して発言を求める。

「それでは、友美さんのヤンデレスイッチ使用に関する会議をはじめたいと思います。今回の件で文句がある人は挙手願います」


チッチッチッ


誰も動かない中、時計の音だけが響く。


あれ?だれも挙手しない。


俺は夏子に向いた。

「夏子は怒ってないの?。」

「なんでですか?友美ちゃんの裸体に抱きついちゃったし、特に怒ることは無いですよお。むしろお礼モノのですね。男性はVさんしか居なかったし、私は問題ないですよ。」


く、夏子に聞いた俺が馬鹿だった。

次は房代に聞いた。

「房さんは困ったよね?。」

「私ですか?思ったよりもみんなでお風呂に入るのは楽しかったので文句はありません・・・・。もちろんみんなでお風呂と言っても男性が居たら嫌ですが、今回はVさんだけでしたし。そうだ今度はVさんの背中も流しますね。」


く、房代は俺を完全にお父さんモードでみているから、男性カウントしていないんだな、失敗した。

じゃあ次は誰に聞くか?


芽衣か?・・・・いや、芽衣には聞くだけ無駄か。こいつは絶対友美と共犯だ。

じゃあ冬美か?・・・いや冬美は絶対何も考えてないから無駄か。

じゃあ莉奈・・・・こいつは俺と何度も大人なふれあいをしているから、いまさら俺が居たって文句があるわけ無いか・・・


俺は諦めて言ったよ。

「さすがヤンデレスイッチ、スイッチだけあって見事な人選だ。スイッチの効果が切れて正気に返っても怒り出さないメンバーを見事に選んだな。」


友美は俺が持っているヤンデレスイッチに手を伸ばしながら言う。

「だったら良いじゃないですか。スイッチかえしてね。」

「駄目!今イロイロ考え中。そのくらいは待ちなさい。」

「ぶーぶー。」


膨れた顔もかわいい友美を見ながら俺は考えた。

このスイッチは、もっとも俺が逆らいにくい部分を攻めてくる。


死とか苦痛とか恐怖なら、俺は見事に全部先読みで潰せるだろう。

だが、このスイッチは俺が内心望む部分・・・「欲望」を攻めてくる。


心のどこかで「わざとかかっちゃうかな」と思いたくなるような攻撃をしてくるのだ。

いや、攻撃というよりは、俺にとってはむしろご褒美だ。

ならいいか・・・いや駄目だ・・・でもコレを口実に・・いや駄目だ。

俺は頭を抱えて悩んだ。


隣に座る莉奈が俺の肩を優しく叩いた。

「もういいじゃない。悩むんだったらヤッテから悩みなさいよ。フォローは私がしてあげるから。」


俺は莉奈を見る。

莉奈、こいつの立ち居地がいまいち理解できない。

でも、今の一言は俺の心に届いたぜ。

届きすぎて、凄く困っったぜ。


ヤルか?いやでもスイッチであやつってヤルというのはいかがなものか?でも操られなくたって俺はヤリたいんでは?でもだからって操られて・・・・。ああ訳分からなくなった!。


そしてもう一度、友美を見た。

早くスイッチを返せと俺に手を差し出している。


どうしようかな・・・・

コイツは絶対「駄目」っていってもスイッチを使うだろうな。

止めるだけ無駄かも。


だったら、ルールを設けて使用を制限するほうが現実的かもしれない。

友美に理屈は通じない、こいつは自分のやりたいことを中心に、動いて理屈は後回しだ。


このまま俺がヤンデレスイッチを取り上げていると、どんな手を使って取り返しに来るかわからないから、返してしまったほうが得策だろう。


その上で使用に制限をつけるのが一番安全かもしれない・・・。

「友美、スイッチは今からお前に返すけど、その前にスイッチの使用についてお前と話し合いたいんだ。友美を信じてヤンデレスイッチを返すけど、今からルールを決めよう。」


俺は友美の手にヤンデレスイッチを置いた。

友美は複雑な表情をして、ヤンデレスイッチを握り締める。

「Vちゃまはスイッチを返してくれないかと思ったから意外・・・。」


「そうかい?ヤンデレスイッチなんかで操られなくったて俺は友美が一番大事だし、多分世界で一番愛している。中国戦やツワモノスイッチ戦でおれはそれを痛感したよ。だから友美も俺とスイッチを使うルールをつくて欲しいんだ。そして、できるだけスイッチに頼らないで俺にぶつかって欲しい。そうじゃないと楽しみが減るよ、そうは思わないか?。友美と『良い』とか『嫌だ』とか言い合うのも、俺は結構楽しいんだ。俺達はまだまだそうやって関係を作っていかなきゃいけないのに、スイッチを使って結論だけ急いだら、ココロはつながらないよ。そうは思わないかい?。」


友美は険しい顔で悩んだあと、そっとうなずく。

よし!作戦成功!


こんなところで、立てこもり犯人との交渉術が役に立つとは思わなかった。

「相手への理解を見せる」「相手の欲望の先読みしちらつかせる」「妥協点の模索で相手の譲歩を誘う」


ふう、これで最悪な事態は避けられるだろう。

すると友美はスイッチを俺に差し出した。

「じゃあ、ルールが決まるまでVちゃまがヤンデレスイッチを持っていていいよ。私、もっていたら使っちゃうから。」


いえす!

作戦成功!これこそ「100円欲しかったら10円を惜しむな作戦」だ。

小さい信頼や貸しをあたえることで、こちらが望む大きな成果を引き出す。おれが最も得意な作戦の一つだ。


これは会社で交渉するときに身につけたスキル。

サラリーマン時代も役に立っているじゃないか。


これで、数日はヤンデレスイッチを封じられる。

その数日で、友美に人の道を諭して、自分で窮屈なルールを設けさせれば俺の勝ちだ。


人は自分で言い出したことを、他人から迫られると逆らえなくなる。

想像以上に人間は契約の生き物だから、自分で差し出した契約は魂が簡単に破らせてくれないのさ。


しかし、ここで油断したら三流悪魔だ。

契約者は、かならず契約の穴を作ってくる。

その穴に気づかず契約したら、負けはこちらだ。

ここからが友美との本当の戦いだ。


すこしでも言葉や態度を間違えたら敗北だ。

まあ、敗北して友美の自由にされても、それはそれで魅力的だか、戦う以上は勝つ!


俺はヤンデレスイッチを受け取るとポケットに仕舞う。

そこで友美が一瞬にやりとした気がした。


かおが笑ったわけじゃない、気配だ。

この気配は対麻薬組織部隊に居た頃は時々感じた。

これは大抵が、捨て身の罠が上手くいったときに見せる、隠し切れない喜びの気配。


おれはポケットに仕舞ったヤンデレスイッチをもう一度見た。

よく見ると、面の色が少しペンキっぽい。


さらによく見てコリコリけずってみた。

すると友美がコッチをガンみしはじめた。

これは何か「ヤバイ」とあせった女の行動だ。


おれはさらにコリコリ面を削る。

思ったとおりだった。


これは色のパターンをペンキで変えてあるが、根気よくペンキを削るとピンクとか水色とかショッキングレッドとかの色がでてきた・・・


つまりこれは艶女スイッチだ。


友美は俺から目をそらして口笛の吹きまねをしている。

芽衣もこっそり部屋に帰ろうとしているな。


「芽衣、お前もココに来て正座だ!。」


二人は俺の前でちょこんと正座した。

やはり友美は恐ろしい敵だ。


自分の望みのためなら、ほんと手段を選ばないな。

だったら俺も手段を選ばないぜ。


この卑怯な手だけは使いたくなかったが、向こうがその気なら俺の最終兵器を使うしかない。

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