その10 お茶会とおっさん
友美達を寝かしつけた後、今日は房代の乳首を突ついてみたくなった。
夜に二人だけでこうやってお茶を飲みながら話すのは、なんとなくの習慣になっているのだが、急に房代がどこまでOKなのか知りたくなったのだ。
「房代は乳首突かれるのは嫌派?」
「もう、急になん言い出すんですか。Vさんたら。えい。」
そう言いながら、無邪気に房代は俺の乳首を正確に人差し指で突きこんできた。
はう、そこは駄目。
「いや、男は時々乳首を突きたくなるんだよ。」
「もう、Vさんはスイッチ生活でエッチになったんじゃ無いですか。もう一回えい。」
そう言いながら房代は、楽しそうに今度は両手で俺の乳首を正確に突いてくる。
はう、ちょっと楽しい。
その瞬間、脳髄に凄い寒気が走った。
ピキーン!
なんだこのプレッシャーは!
そして部屋の入り口のほうを見てビビった。
劇画調のクワッとした顔の、友美と芽衣がこっちを見ていたのだ。
友美はジリジリと部屋に入って来た。
「Vちゃま・・・私が寝ている間に・・・何しているのかな・・・。」
俺は慌てた。
「いやこれはアレだよ。ちょっと乳首をプニって押す練習だよ。エッチな気持ちではなくて、もっとこう家族的なふれあい的なアレだよ。」
我ながら意味分からん事言ってるな。
友美はゆらゆら近づいてくると、俺の乳首を突いて来た。
「Vちゃま、ぷにいいいい」
芽衣も急いで俺の乳首を突いてくる。
「Vっちに乳首攻撃だ!」
ぐっは!
友美と芽衣の乳首つきは、俺の萌え心に5万ポイントのダメージを与えた。
くそ、なんか楽しいな。
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唐突だけど、今は艶女スイッチの中。
エスパー部隊と友美が呼ばれてお茶会をしていた。
俺は、特に興味はないけど、まあ友美に無理やりつれてこられた。
このスイッチの住人のウズオズメは、最初は俺をずいぶん怖がっていたけど、今は普通に接してくる。
ウズオズメは皆にお茶をいれると俺にもお茶を入れてくれた。
「Vちゃんもどうぞ。お菓子もいっぱいあるからね」
30メートルはありそうな巨大な少女のウズオズメは、器用に俺達にお茶を注いでくれた。
するとすぐに背後でガラスが割れるような音がする。
振り返ると、壁が壊れてその奥にヤンデレスイッチのテラマアサが居た。
テラマアサはズンズンとウズオズメの世界に入ってくるとズシンと友美の横に座る。
その光景に驚いて、エスパー部隊の柏がテラマアサにたずねた。
「あのテラマアサちゃんに質問です。5次元人はスイッチの壁を越えられないって聞いたのですが、テラマアサちゃんは超えられるのですか。」
すると出されたお茶を飲んで、テラマアサは笑い出した。
「おほほほほ、わたしは引き篭もりではあるけど、天才でもあるの。次元の壁を柔軟に捻じ曲げることでココまできているけど、実際は次元の壁は破れていないのよ。まあこんなことが出来るのは、私やウズオズメ以外はいないと思うけどね。おほほほほ。」
柏は感心する。
「それは面白いやり方ですね。参考になります。」
「おほほほ、わたしのヤンデレスイッチが万能なのも私達アマタカの種が器用な種族だからなのよ。このウズオズメだってアマタカ種だからスイッチの住人の中ではとても器用な方なのよ。」
そう言うと、テラマアサはお茶をグビグビ飲む。
「ウズオズメ、お菓子が足りないわね。なんか活きがいいのは無いの?。」
するとウズオズメは可愛い箱を抱えて、箱の中のものを掴んで、巨大なお皿にバラバラと出す。
人間だった。
「ごめん、いまはオッサンしかないの。」
オッサンが10人ほど出された。
「しょうがないわね」
そいうとテラマアサはオッサンの足を掴むと、いつのまにか持っていたジャムをつけてパクリと食べてしまった。
うわああ、なんか凄いお茶会だ。
あのおっさんを助けるべきなんだろうか?
でもスイッチの世界は、そこの5次元人が支配する世界だから、下手な事をするとコッチが危ない。
いやなものを見たな。
しかしテラマアサは無邪気に微笑む。
「生きていると、オッサンでもそこそこいけるわね。」
そう言って、さらにもう一人食べる。
それを見ていてウズオズメが乗り出した。
「そのジャム私にも頂戴。」
そう言いながらウズオズメもおっさんを掴むと、テラマアサのジャムを塗ってもらってパクリとオッサンを食べた。
ゴリゴリ噛む音が聞こえる。
二人はそうやって、出されたおっさんを10人くらい、あっというまに食べてしまった。
そしてテラマアサは友美たちと目が会う。
一瞬食べられるかと思って身構えた友美にテラマアサはジャムを差し出した。
「あら気づかなくてごめんなさい、あなた達もオッサン食べる?このジャムは3次元人によくあうわよ。」
さすがの友美も言葉に困ったようだった。
俺は、どうしようか迷った。そもそもなんでココには沢山3次元人ストックされて居たのだろう?
するとテラマアサはウズオズメに聞いた。
「どうやってそんなに3次元人を手に入れているの?デリバリ?。」
ウズオズメはうなずいた。
「うん、マーヤちゃんがこの箱に送ってきてくれるんだよ。」
おいおい、デリバリかよ。
そこで驚いた芽衣は学校のように手を上げて質問した。
「ウズオズメちゃん、デリバリなの?そのマーヤちゃんて人からの?。」
「そうですよ。ヘル・スイッチのマーヤちゃんが送ってくれるの。」
芽衣は一歩でてさらに聞く。
「その人もアマタカなの?。」
「いいえ、あの人はラ・スアなんだけど、みんなに平等に優しくしてくるのですよ。ラ・スアだからシャンバラー様にも狙われないから、壁際まで来て人間をデリバリしてくれるの。」
友美は腕を組んで聞いた。
「それで、そのヘルスイッチはどんなスイッチなの?。」
「ん~、なんでも悪い人を地獄に落とすスイッチらしいよ。地獄とか怖いよね。」
芽衣は微妙な表情をした。
「そうだね、うん怖いよね。」
芽衣は心の中で「ココが地獄だって気づかないのかな?」っていう顔をしている。
しかし、それで俺はちょっと納得がいった。
というのも、スマートスイッチのキャラマッカーの所にも、オトメスイッチのサラヴァッダーのところにも、おもちゃにされている人間が何人かいたからだ。
調達主がいたわけか・・・・。
おれはオズウズメに聞いた。
「なあ、知っていたらで良いんだけど、スイッチになっている5次元人の種族別の数ってわかるか?。」
「うんとね。ライテ族が30くらい。ソイパラ族が30くらい。ポリス族が30くらい。私達アマタカは4人、ラ・スアは3人、後その他の種族は1~2人ずつくらいじゃないかな。」
「スイッチって全部で何個くらいあるんだ?」
「108っのスイッチと、vasiですよ。」
それを聞いて、エスパー部隊の左副長、江戸川園子がのけぞって驚いた。
「108もあるの!よく世界は今まで滅ばなかったわね!。」
それを聞いて友美が何かを思い出したような顔をする。
「そうか!秘密結社『ペルシアの華』にある『偽イケメンスイッチ』として保管されているやつって、もしかしてその他のスイッチなのかも。」
おいおい、それは初耳だぞ。
しかし、考えれば当然か。ペルシアの華はイケメンスイッチが紛失するたびに全力で探しただろうから、その過程でイケメンスイッチと間違えて別のスイッチを持ち帰ることがあっても不思議じゃないな・・・。
俺は友美の肩を抱き寄せる。
「なあ友美、その偽イケメンスイッチって何個くらい保管されって居るんだ?」
「う~ん、夏子さんに聞いてみないと正確な数は分からないけど、70個くらいじゃないかな。わたしも保管庫の中で適当に見ただけだから正確な数は覚えていないけど。」
まるほど・・・・
ペルシアの華は、なんだかんだでかなり世界を救うことに貢献していたようだな。
すると、ウズオズメが嬉しそうに叫んだ。
「あ!、噂をすればですね。マーヤちゃんが人間を持ってきてくれましたよ。」
すると壁がパリンと割れて、ジャージ姿の6本腕で髪がもじゃもじゃに絡まった女性が現れた。
「まいど、ウズオズメちゃん、今日も活きのいいのが沢山届いたよ。」
ウズオズメは嬉しそうに壁に近づいた。
するとマーヤが慌ててウズオズメを制止しした。
「ちょ、ちょっとウズオズメちゃん、壁に近寄ったら危ないぞ。シャンバラ様に食い殺されてしまう。」
「大丈夫になったのですよ。このあいだダラーインを殺すのを手伝った見返りに、私は食い殺さないって約束してくれたんです。」
「おおお、それは良かったね。これで安心して暮らせる。あ、だったら好きな3次元人を選びなよ、今日はとびきり悪い連中が落ちてきたから。」
「わーい、ちょうどお人形遊びする3次元人が欲しかったんです。」
ウズオズメは無邪気にマーヤの運んできた3次元人を壁際で選び出した。
俺はマーヤに声をかけた。
「そこのマーヤとやら。おれはイケメンスイッチのスイッチマスターのVだ。あんたに聞きたい事がある。」
マーヤは少し驚くと、嬉しそうに言った。
「おお、お前がシャンバラ様のお気に入りか。なんだい、好きな事を聞ききなよ。」
「君のスイッチマスターに会いたいんだけど、どこの誰か教えてくれないか?。」
するとマーヤは嬉々として答えてくれた。
「お、善三を殺して新しいマスターを紹介してくれるの?できたら女の子の強い戦士が良いんだけど、良い人居ないかな。」
うわあ、スイッチの住人ってスイッチマスターと仲がいいとは限らないんだな。
いきなり、今のマスターを殺す気満々かよ。
「女の子で強いの居るよ。俺の一番弟子の冬美を君のスイッチマスターに推したいんだけど、いいかな?」
すると、マーヤは髪の毛をがっと逆立てて一瞬目が光った。
すると大喜びする声を上げた。
「おおお、次元の記録によると、冬美ちゃんて10代最強じゃないか!すごいぞ、良い戦士だ!理想の戦士だ!。ぜひ善三を殺して私のスイッチマスターに冬美ちゃんを!。これは凄いラッキーだ。こんな戦士と契約したかったんだ。うれしいなあ。」
俺はまだ見ぬ善三に対して、少しいたたまれない気持ちになる。
「マーヤ、善三はそのままにして、冬美もマスターにするのでは駄目か?。」
「ん?まあそれでも良いけど、だったら善三からスイッチを奪って冬美ちゃんと血の儀式をしないと駄目だぞ。善三は神田に住んでる。呼び出してやろうか?」
「・・・ああ、呼び出してくれ。しかし、スイッチに気に入られなかったマスターって不憫なんだな。」
するとウズオズメは俺にお茶をもう一杯いれてくれながら言った。
「むしろ気に入るスイッチマスターのほうが少ないですよ。気に入ってスイッチの中に呼ぶなんて100年に1人くらいです。あとは死のう生きようが関係ありません。」
俺はなんとも寂しい気持ちになったね。




