日本国奪還
―戦艦大和CIC―
先程から、戦艦大和は中国軍部隊を追い払うべく戦闘行動に入った。
「艦長、攻撃します……!!」
砲雷長が俺に進言した。
彼は、砲雷科の長で、武器運用を総指揮するポジションだ。
彼の下には、砲とミサイルを受け持つ砲術長、魚雷を管轄する水雷長、そして彼等を補佐する砲術士や水雷士などの将校がいる。
俺は「よし」と返答し、攻撃のGOサインを出した。
「……了解、対水上戦闘!レールガン攻撃始めッ!!」
砲雷長が砲術長に下令した。
「主砲、撃ちィ方ァ始め」
砲術長の命令を受けて、砲術士がグリップを動かす。
「発砲ッ!!!!」
レールガン砲弾がプラズマを纏い飛翔する。
敵艦の脇をめがけ…………弾着した。
「……弾……着!!」
「敵艦、撤退していきます」
大和の攻撃に恐れおののいたのだろう。
「……砲雷長、これで、全ての揚陸艦を追い払ったな」
「ええ艦長……」
任務が成功し、艦内の雰囲気も和らぐ。
「お見事ね」と女王陛下よりお褒めに預かった。光栄だ。
通信が入った。
中央モニターに表示される。
"こちら日本国政府、首相官邸。戦艦大和聞こえるか!?"
なんと総理みずからだった。
テレビ電話越しに「やったぞ」と歓声が聞こえる。
「こちら国連日本海軍戦艦大和。艦長戸村です。」
俺は席から立ち上がり、敬礼した。
"無事か……陛下はどうされている!?"
「天皇陛下はご無事です。…………総理、自分の独断で中国海軍に威嚇を行いました。責任は……」
軍隊において、独断専行はタブーだ。
俺はそこをまず、最高指揮官に謝罪した。
だが……
「気にすんなよ、むしろありがたかったぜ」と副総理閣下。
総理も「ええ」と頷いた。
結局、責められるどころか称賛された。
また、異世界の君主(と執事)が大和に乗艦していることに、官邸側は驚いていた。
副総理は「ネットの異世界転移ものの作品じゃあ、俺たち閣僚はこれから大忙しになるな」と苦笑しつつ言った。
後の自分の運命が大きく変わることを、俺はまだ知らない……。
次回から、いよいよ次の章に入ります