表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/15

異世界の議会(2)

―方舟議会―


 ローマ帝国の闘技場を彷彿とさせる巨大建造物……方舟議会。

国王即位式でも使われるそうな。


 彼らから見れば異世界人の俺は召喚された。


「……殿」


「陛下にお聞きしたい。日本国とはどのような国家なのですか?」


 質疑応答が始まる。


 国会では「君」付けだが、ここの議会では「殿」と言うのだな。


 ミュラ女王が立ち上がり、議長と顔を見合せた後に「戸村殿から説明があるわ」と言った。


 おいおい……何も原稿用意しておらんぞ!?

国会では、官僚が背後からカンペを出してくれるが……習慣が違う。そういえば、どこぞのシンなリメイク怪獣映画もそんな調子だったな。


 方舟議会は、ちゃらんぽらんな政治家にとっては辛かろう。


「……え―、日本国の政体を説明します。我が国は天皇陛下を事実上の元首とする立憲君主制国家であり…………」


 日本国の政治、国連日本陸海空軍についてかいつまんで説明する。

全部で1時間かかり、理解してもらえたのか不安だったが、すぐに資料が配布されたので安心した。


 天皇陛下について述べたとき、特に精霊族の席が騒がしくなっていたのが印象に残っている。

後に俺はこの理由を知ることになる。


 議長がまとめに入る。

「……それでは、『日本国・方舟基本条約』の批准について、採決します。批准について異議のある方は?」


 異議は、ない。


 方舟議会は、日本国・方舟基本条約を批准することを決議した。法案にミュラ女王が署名すれば、正式に法律となる……。



―日本国国会議事堂(臨時国会参議院異世界特別委員会)―


 日本国国会においても、俺は参考人招致を受けた。

……まったく嫌になる。方舟の民度の高さを見てきた俺にとっては、国会のやりとりが馬鹿馬鹿しく感じられるからだ。


 おっと……国権の最高機関にそんなこと言ってはいかんな。


 内閣を構成する与党たる、自主市民党および公民党の要求した『日本国・方舟基本条約』の批准に対して、野党が異議を唱えたのだ。


 野党の中でも左寄りの、日本共産委員会が論戦を仕掛けてきた。


 日本共産委員会、略して委員会は、天皇制の廃止を企んでいる。戦後間もない頃は、本当にテロをやりかねない勢いだったので、公安の監視対象となった。

まぁ、連立与党の公民党も、かの悪名高き、創世教団が支持母体だが……。


 委員会中央委員長が質問に立った。


「……以上の事柄から、方舟は絶対君主制国家に等しいと考えます!!また、異世界にて独断専行で戦艦大和が戦闘をしたとは何事ですか!?」


 ……俺は頭を抱えた…………。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ