表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも俺が女になったなら  作者: 椎名
第一章 人生の転機(悪い意味で)
3/5

戸籍と生理とリハビリと

ぬおおおおおおおおおおおおお。

ツラい。とにかく辛い。


今、俺はトイレに行くため棒にしがみ付き内股でブルブル震えながら立っている。


「祐作さーん。だいぶ歩けるようになってきましたね~!すごいです!」


看護師さんが褒めてくれた。


「そ、そうですかね・・・?」


「そうですよ~。リハビリ初日は生まれたての小鹿状態だったのに、たった1週間でここまで出来るようになったんですもん!」


そう、俺は意識が回復した次の日から、リハビリを続けてきた。その甲斐あって俺はたった1週間でしっかりと発音出来るようになったし、立って歩けるようにまでなった。

まあ尤も、身体自体は移植されたものでケガとか一切無い健康体なわけだし、筋力自体も正常だからというのも大きいが。

単純に表現すれば一度も操縦したことないロボットにいきなり乗せられて「操縦しろ!」って言われてるようなものだ。時間が経てばコントロールの仕方は大体把握出来る。

春休みの全てを病院で過ごすのはとても残念な事だが、この調子なら2週間後の始業式までには退院出来そうだ。


・・・だが、今はそんなこと考えてる場合ではない。


「か、看護師さ~~ん・・・」


「ん、どうしたのかな?」


「お腹が・・・痛いです・・・」


「あらまあ、何か変なものでも食べちゃったのかな?」


そんなわけないだろ。ていうかこの看護師さんはこれが素なのか?



結論から言うと、生理だった。健全(?)な男子高校生の俺には今まで無縁だった痛みなだけに、凄まじいショックだった。

血まみれのナプキン見た瞬間、ショックのあまりぶっ倒れそうになったし。


・・・これからも一定期間で来ると思うと、すごく憂鬱だ・・・。



そんな俺に更なる衝撃が。


「ええと・・・確か俺の病室は10042号室で間違ってなかったよな?札の名前が変わってるんだが・・・伊藤渚?」


「あら祐作、やっと戻ってきたわね」


病室の中から母さんの声が聞こえてきた。なんだ、やっぱ病室はここで合ってたのか。


「どうしたの母さん、仕事は大丈夫なの?」


「今は仕事よりアンタの体のほうが心配よ。それより今日は大事な話があった来たのよ」


「大事な話?」


母さんはカバンから何やら書類を取りだすと、それを俺に渡してきた。

俺はその書類に目を通して、愕然とした。


「主文。本件記録によれば、脳移植による性別変更があり、これに伴い性別と名前の不一致も発生している。当裁判所の判断として、佐藤祐作の性別の取り扱いを男から女に変更する。また、別途申請の通り名前を祐作から渚に変更する事も認める。X県家庭裁判所 家事審判官 山田靖男」



・・・・?



・・・・・・・・・・?!



「なんじゃこりゃああああああああああああああああああああああっ!!!?」


俺は松田優作の如く叫んだ。


「佐藤さん!病院内では静かにしてください!」


看護婦長に怒られた。


まあ性別の変更も名前の変更も仕方ない事なんだろうが・・・。今までの性別と名前をいきなり捨てるっていうのも悲しいというか、複雑というか・・・。


ていうか名前くらい相談してくれよ!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ