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私の中の変化してる世界

 春奈の入学式から早3ヶ月経った。

 そろそろ長袖だと過ごしにくくなり始めた頃の休日、ついに爆発した。あ、誰がって?春奈がです。

「まったく~何あの女。私の大和に色目つかってー!!」

「ち、ちょっと、どーしたの?大和くんが何だって」

 春奈はお気に入りのクッションにパンチを繰り出している、そんな春奈はとても可愛い。まるで子猫みたいで可愛らしい、さすが私の妹だ。

「なーにーが『大和!あの春奈って女に騙されているのよ、大和のこと分かってあげられるのは私だけなの』って、私だって大和のこと知ってるもん小学生からのお付き合いなのに、ぽっと出てきた女に言われたくなーい!!」

  いつになく、春奈が激しい。私は口を挟むことなく、嵐が過ぎ去るのを待つばかり。

  今何かを言っても、火に油を注ぐだけかもしれないしね。春奈が落ち着くまで待つのが一番平和だと思う。

  「しかーも、どこからか大和の連絡先を入手してきて、大和にデートの誘いをしたって!なにあの女、大和のストーカー!?」

  ワン、ツーのリズムで、クッションにネコパンチ。さっきよりも落ち着いてきたのかな、リズムカルになってきた。

  「親衛隊や、追っかけがいる人気のある人達の近くをうろちょろしてるらしいし!それなのに大和に近付くなんて~!!」

  「は、春奈?だいじょーぶ、ですか?」

  逃げ腰の私になるのは、仕方がないと思う。こんな春奈始めて見た。大和くん、愛されてるねぇ。

  「あ、そーいえばあの女悠斗にも声かけてた。ふっ、悠斗をモノにしようと思ってもムリムリ~無理なんだなぁ。ふふふ、ふふっ」

  「ちょっ春奈、さん?」

  いつもと様子が違う。春奈おかしくなっちゃったかも~。ど、どーしよう。

  「大和は私の。悠斗はあき姉の。ふっざまぁみやがれ」

  ん?今何か聞き捨てならないことを春奈が言ったような。悠斗はあき姉の?んん??

  「ちょっと、ちょっと春奈?いま、何て」

  「確かに、大和はかっこいいし、優しいし笑顔がとーっても素敵だから好きになっちゃうのは仕方ないことかもしれない、でもね」

  「あのー、春奈さん?」

  「私がいるからそう思えるの、私と一緒にいたから今の大和がるの。私がいなかったら今の大和じゃなくなるのよ?ふっ、私と大和の絆はマリワナ海溝よりも深いの」

  「それを言うなら、マリアナ海溝でしょ?春奈、お姉ちゃん恥ずかしいです」

  どうしよう、妹が可愛すぎて困っちゃう。

  「事実、あの女が近づいて落とせる人っていないだろーし。みーんな、溺愛してる恋人やら婚約者がいるらしいし。まぁ、生徒会長は好きな人がいるって言っていたけどあの女じゃないしね」

  「すごいね、春奈情報通だね」

  「えへへへ、もっと誉めてもいいんだよ。あき姉」

  生徒会長って入学式の時に壇上で話をしていた人だよね。やっぱりどこかで見たことがあるとは思うのだけど、思い出せなかったのよね。

  「それで春奈、何か私にお願い事があるんでしょう?」

  春奈のパンチ炸裂は可愛いのだけど、そろそろクッションが可哀想だ。

  「あ、そーだった。あき姉の浴衣を貸してほしくて。あき姉は喫茶店のお仕事でしょ、今度の花火大会大和といくんだー。今のうちから着方の勉強したかったの、ほら文明の機器で」

  「そこは、スマホって言わないのかしら。私のでいいの?なんなら新しいの大和くんと買いに行けばいいじゃない」

  安ければ3千円くらいで買えたはず。愛しの妹が必要ならば2、3万の浴衣でも良いのだけど。

  「いいのー。あき姉ので、白地で青の差し色で柄も朝顔でかわいいもん」

  「春奈が良いなら、貸すけど」

  もしかして、家計を気にしてるのかな?そしたら、内緒で髪飾りをプレゼントしよう。かんざしを何本か、普段でも使えるようなものがいいかな。


  好きな人と、花火大会かぁ。いいなぁ……って。何でもない、何も考えてないから。よし、平常心平常心。ふぅ。

  えっと。そう、もう夏だよね。春奈が夏休みになれば海やプールに行ってみようかな。春奈の水着を新しく買って、そうなると大和くんも一緒に行くことになるよね。どうせ行くなら早いほうが良いかも、それまでには宿題を終わらせてからって約束をしないとね。

  それまでには私はダイエットかな、誰に会うか分からないものね。新しい出会いはいらないのだけど、春奈が自慢できる姉として身体に気を付けないと。あと1ヶ月くらい頑張ります。



  春奈がほぼ毎日着付けの練習をしている、女子力上がるのは良いことだけどあんなに一所懸命なのが謎。そんなところも可愛い妹なんです。

  今日はそんな妹の為に、早速かんざしを見に来ています。まぁ、喫茶店で使う備品の買い出しのついでだけど。抱え込むように持ってる紙袋が邪魔だけど、仕事だからそんなこと言っては駄目だけどね。

  やっぱりトンボ玉とカジュアルなビーズ、華やかな花かなぁ。雫のように垂れてるかんざしも動きが出て可愛いと思うし。

  「……の」

  浴衣は白地で青だから、色合いはなんでも合うとは思うし。

 でも一緒に行くのは大和くんだから若い子に人気があるかんざしが良いのかもしれないし。

  「あの、立花秋奈さん。……ですよね」

  「えっ」

  誰って、見ると春奈と同じ制服を着ている青年がそこに、いた。

  「すみません、何か悩み事ですか。何だか気になってしまって」

  「いえ、妹のプレゼントを選んでて、あなたは?」

  何で私の名前、しかもフルネームで知ってるんだろう。

  「えっ、あっ。すみません、僕『陽春高校』3年、生徒会長をしています浅井那岐です」

  「はぁ、生徒会長さんですか」

  近くで見ると綺麗な顔立ちをしてる、悠斗くんよりも背は低いかな?でも中性的な顔立ちで女の子の格好が似合いそう。

  「カフェ木漏れ日の浅井拓海の従兄弟ですって言ったほうがわかります、か?」

 

 

 

 


 

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