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私の中の一途な世界

 今、何故か悠斗ママと夕飯準備中……。


 なんでこうなったかというと、悠斗ママが私の作ったオムライスを食べたい!と言ったから。ご褒美に最近のサッカー試合の悠斗くん写真を貰えると言われたら作らないとならないでしょーって、私って単純。

 ケーキ食べて近状報告してクリスマスプレゼントを託して帰るつもりだったのに。何故か悠斗パパと悠斗くんの分、3人分を作っています。

 「さーすが、秋奈ちゃん。手際がいいわぁ~とーってもおいしそう」

 にこにこしてる悠斗ママ、その手には不可解な物体が。

 「あ、あの悠斗ママ?その見られるのは良いけれど、その手にもっているのは……??」

 なぜか悠斗ママにはデジカメが。しかも赤いランプが付いてる、つまり録画中ってこと。何でって疑問が浮かぶのは当然だよね。

 「あー、気にしないでぇ。ただ持っているだけだから」

 いやいや、私もデジカメもっているから使い方わかっているのに。その赤いランプが点灯している時点で怪しさ満載なんだけど。私がなにも知らないって思ってるのかな。悠斗ママの事だから思い出記録の1つとしているのかもしれないけど。ここは知らない、理解出来てないふりをするのが無難かも。

 「でも、悠斗ママ気が散るから。どこかに置いておくのはダメ?」

 「ぐふっ、秋奈ちゃんの上目遣い目線いただきましたーっ。と、あっごめんなさいね。今すぐコレ片づけてくるから」

 何か変な言葉が聞こえた気がしたけど、気にしない気にしない。

 「ふふふっ、ミッションコンプリートっだわ、これで悠斗ちゃんのお気に入り間違いなしのアイテムゲットだわ」

 ……聞こえない聞こえない。

 その後何故か、悠斗ママとハートマークを描いたオムライスと一緒に写真を撮る事に、何しに私はこの家に来たんだろう。どっと疲れました。



*****


side悠斗


 僕、ちがう俺がバカなことを言ったばかりに大好きな“あきな”と決別を誓った。

 決別するのは今だけ、きちんと自分の言った言葉に責任を取る、それだけだ。

 『ひめちゃん』って子だけまだ話が出来ていない、あの後引っ越しをしたらしく小学生になった今でさえ足取りがつかめない。

 今まで一番近くにいたあきなに会えなくて、それが毎日毎日、毎日毎日毎日毎日果てしなく続く。例えば、おもちゃが欲しいと泣けば親はすぐに買ってくれるだろう。わがままを言えば、すぐに親はそのわがままを叶えようとしてくれるだろう。喚け叫べば、親はすぐにどうにかしようとしてくれるだろう。

 でもあきなの事は俺が決めた事。もしかしたら親に頼めば『ひめちゃん』を見つけてくれるのかもしれない。だけど、俺が見つけなきゃ意味がない。俺が行動しなければ意味がない。

 あきなに会えない日々ははっきり言って苦痛だ。だからあきなと見ることだけはすることにした。あきなに気がつかれないようにこっそりと見つめる。だから、気が付いたんだ、あきなが俺を気にしてくれていることを。その時の喜びって……表現出来ない。

 

 ある日、どこにもぶつける事が出来ない憤りを持て余していた時、家にいながらあきなを感じた。

 「母さん、あきな来たの?」

 はっと母さんの息をのむ音が響く。

 「そう。そーなのよ、お菓子のおすそ分けもらったの。このクッキー秋奈ちゃんの手作りだって」

 確かにテーブルの上には、お皿の上にクッキーが残っている。少しいびつで、少し焦げて……でもそれがあきなのだって分かる。

 恐る恐る手を伸ばすと、あきなの温もりを感じた。ただクッキーを持つだけで自然と頬を熱い滴が伝わった。

 「悠斗ちゃん?どうかしたの」

 微動だにしない俺に不思議がったのか、母さんが話かけてきた。そうだ、まだ俺とあきなは繋がっている。こうして、俺はまだあきなを感じることが出来る。

 「母さん、クッキー全部食べてもいい?」

 母さんに気づかれないように、手で顔をぬぐう。

 「もちろんよ。悠斗ちゃんたっくさん食べてね。他に欲しい物あるかしら、ジュース?それとも紅茶かしら」

 母さんがとても嬉しそうだ。あそっか、母さんにお願いすれば良いんだ。あきなを呼んで、またクッキーを持って来てもらおう。

 「ううん、いらない」

 せっかくあきなの作ったクッキーを食べるんだから、ほかのはいらない。あきなのクッキーだけでいい。でも食べる機会は作らないと。春奈からもらう方法はもちろんあるけど、どうせならこの家にあきなを呼びたい。でもまだ会えないからあきながこの家にいたというのを感じたい。

 母さんのが座ってる向かいの席にまだ、紅茶を飲んでいたらしいカップが見える。

 「ねぇ母さん、またあきな呼んで。またあきなの手作りが食べたいな」

 そう、まだちゃんと会うわけにはいかない、まだ会える時期ではない。俺がしでかした過去を消せるなら今すぐ消したい。

 「それなら、秋奈ちゃんの手作りのお菓子またもらえばいいんのじゃないのかしら」

 ちがうんだよ、母さん。それなら意味がない。俺が住む家で、あきながお茶をするという行為が大事なんだよ。

 「もらえるならもらって欲しいけど。お茶をしてほしい。頼むよ、母さん」           

「わ、わかったわ悠斗ちゃん、母さんが会えない悠斗ちゃんの為に秋奈ちゃんに色々聞くわね」

 俺があきなに会えない理由も母さんは知っている。『ひめちゃん』も探さなくても良いことも言ってある。俺の為に、何かをしたがっている母さんを俺は知っている。 

 「ありがとう、母さん」

 

 俺の部屋には鍵をつけてもらった。もちろん鍵を持っているのは俺だけ。母さんはしぶったけども子どもにもプライベートをって色々いったら許可してくれた。

 お気に入りの定位置に座ると、あきなの部屋がよく見える。誰にも譲れない俺だけの場所。

 さっきもらったクッキーをゆっくりと咀嚼する、食べ物は長期保管が出来ないからゆっくりと味わう。腐らせないように置いておきたいけど、腐らせるらなそのまえにきちんとあきなを感じたい。


 「あぁ、早く『ひめちゃん』に会いたいなぁ。この気持ちを早く解放したい。あぁ待ち遠しい……どこにいるの『ひめちゃん』俺とあきなを引き裂いたキミに早く会いたいよ」


 あきな、待っててね。

 ちゃんと待っててね。俺は君と一緒にいることを決めてるから。



 






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