ウッド村到着
トルクに案内されていったん森を抜け草原を西に歩いて三十分ほどが過ぎた。
そして、今、俺たちが歩いている場所はまた森の中だ。
トルクの話ではウッド村はこの森の中だそうだ。
この森は、俺が召喚された森より魔物が少なく、静かないい森だと感じていた。
そんなことを考えていたら、村が見えてきた。
「リュウジさん着きましたよ、ここがウッド村です」
と言われ、俺は木々に囲まれた村を見渡す。そして、疑問に思ったことを口に出す。
「トルク一つ質問だが、ここは森の真ん中だろ、魔物に襲われたれたりしないのか?」
「そんなことはめったに無いです。この村の周辺には幻惑魔法がかけられていて、決まった道順じゃないとたどり着けないようになっているんだ」
「まるで忍びの里みたいだな」
「シノビノサト?」
「あ、何でもないよ。ハハハ・・・」
と笑ってごまかす。
と言っている間に、ウッド村に入った。
「とりやいず、僕の家に案な・・・」
トルクが言いかけた時、
「ト~ル~ク~」
地獄から響き渡るような声がした。その声がする方向には、ものすごい速さで走って来る女性がいた。
「げっ、姉ちゃん」
と呟きながらトルクが後ろに走りだした。
「逃がさないわよ」
と、言いながらさらに加速し、俺の目の前を通り過ぎトルクの後ろ襟を掴んだ。
「トルク、あんた村を抜け出して何所行ってたの?」
その問いに、トルクが脅えながら答えた。
「えっとその・・・お父さんを治す薬草が足りないって聞いて、東の森に・・・」
「あんた聞かなかったの、最近ウルフが凶暴になってるって、だからギルドに依頼したのに。」
「いつ来るか分からない冒険者なんて待てなかった。だから僕が・・・」
「それで死んだらどうするの!!あんたはいつもいつも・・」
見ていられなかった俺は割ってはいる。
「まあまあ、落ち着いて。トルクも無事帰ってきたんだそれぐらいで許してやれよ」
トルクの姉が俺を睨んで、
「あんた誰だ?それにこれは家族の問題だ、お前には関係ないだろう」
「俺の名前は竜次、さっき東の森でトルクがウルフに襲われていたところを助けた者だ」
「そうか•••ありがとう、弟が世話になった。」
と、頭を下げる。
「いやいや、当然のことをしただけだよ。それと、周りの人が見ている。続きは家でやったほうがいい。」
その言葉でわれに返ったトルク姉は周りを見渡し少し赤い顔をした。
「そうだな、続きは家でやろう。あと、トルクを助けてくれたお礼がしたいから、リュウジだっけ、あんたも一緒に来てくれ」
そう言われてトルク姉についていった。