戦闘開始!
マリーさんの戦闘開始の合図の声が訓練場に響く。
その時、俺はギルフォードさんにいきなり攻撃はせず、その場でじっと構えていた。
何故攻撃をせず、その場で構えているか、それは、素人にでも分かるような殺気にも似た威圧を放っているからだ。
それに、相手はギルドマスター幾多んの死線を乗り越えた人だ迂闊に攻撃しても、カウンターを受けるだけ。
さらに、俺は魔物を倒せようとも、対人戦は初めてだ。剣術は素人。身体能力が高くても勝てるはずがない。
それでも、ギルフォードさんに勝てるとしたら、抜刀術。唯一地球で漫画に影響されて始めたこと。あれだったら、地球に居た時の身体能力でも、丸太を真っ二つにできた。
それだったらいけるかもしれないが、どうやって隙を作るそれが問題だ。抜刀術は攻撃後の隙が大きい一撃必殺の剣だ。抜刀をかわしカウンターを受ければおしまい。いったいどうすれば••••
「なんだ、来ないのか?•••なら、こちらからから行くぞ!!」
俺は考えるのをやめた瞬間、ギルフォードさんは、五、六メートルはあった距離を一瞬にしてレイピアの間合いにまで縮め俺の顔面に向かって突きを放つ。
あまりのスピードに驚いたが、俺は何とか右の頬をかすめながらも攻撃を回避する。だが、攻撃を回避した俺を追撃せんと二度、三度と突きを放つ。
二度目は何とか、刀で軌道をそらし三度目は、レイピア弾き斬りこんでみるが余裕中表情をしながら俺の攻撃をかわす。
その後、俺は、ギルフォードさんのスピードにもなれはじめ、攻撃を仕掛ける。
カキン、カキンと、金属がぶつかり合う音を響かせながら俺とギルフォードさんの攻防は少しの間続いた。
「ハアアッ」
と、掛け声を上げながら俺はギルフォードさんに強い上段から刀を振り落とす。
それをギルフォードさんが受け止め子声で何かをつぶやいた。
「さすがにこのスピードにはついてきますか・・・疲れますけど、スピードを全開にしますか」
ギルフォードさんは思いっきり俺の腹を蹴り飛ばした。
「グハッ」
と声をあげながら三メートル後方に吹っ飛び、空中で一回転して片膝をつきながら着地する。
すぐに立ち上がり刀を構え直す。正面を向いてギルフォードさんの方を見るが、さっきまでいた場所にギルフォードさんの姿はなかった。
「どこだ」
周りを見渡すが、ギルフォードさんの姿はない。
もう一度左右を見て、もしやと上空を見ようとした瞬間。
ゾクッ
背後の方から殺気のようなものを感じたとたん、背中がひとりでに切れた。
「くっ」
俺は、痛みを耐え後ろを振り向くが、そこには誰の人影もなかった。
ゾクッ
また殺気のようなもの感じたとたん、俺の左腕が切れた。
「くっ」
また、ふり向くが人影はない。
刀を構えた体制で身を固め防御の体制をとる。そして目を凝らして見るもギルフォードさんの姿は見えない何度も攻撃は受けるが姿がない。
俺は、ギルフォードさんが魔法を使っていない様子から、目で見えないほどのスピードで移動していると仮定し、俺は痛みを耐えながら対策を考える
。
(たとえ俺が魔法を使ってもギルフォードさんを捉えるのは無理だろうほかのスキル・・完璧じゃあないが魔力化の『雷脚』を使えばギルフォードさんのスピードにも追いつけるが、この技で移動するにはマーカー『避雷針の針』をギルフォードさんの体のどこかに付けなければない。そのためには『罠』をはる!!) 俺は、防御体制を解き、自然体になりながら、右手に魔力を集中させる。
ギルフォードさんはその様子を見て、俺の目の前に姿を現す。
「防御をといてどうしたんですか?勝つのを諦めて降参ですか?それとも・・・勝つ算段がついたと言う冗談でも言うんですか?」
「その算段がついたんですよ」
俺のその答えにギルフォードさんは少し笑いながら答える。
「面白いですね。今まで何もできなかったあなたが何ができるか、気になりますが手は抜きませんよ」
そう言って、また姿を消す。
「さてと」
俺は、片ひざをつき右手を地面つき、魔力を魔法へと変えて発動する。
「『煙幕』」
魔法を発動すると自分を中心に黒い煙が周りを包む。
そのまま俺は新たな魔法を発動させる。
「『ファヤーバレッド炸裂弾』」
自分を中心に三つの赤い魔方陣が浮かぶび、無差別に魔法を放つ。
「よし、今のうちに」
そして、俺は罠の準備を始める。




