約束
あの宴から二日が過ぎた、俺は村の裏の丘で魔法や魔力化の練習をしていた。
魔法はほとんどコントロールができるようになったが、魔力化の方は魔法よりコントロールが難しいようで未だ完璧にコントロールはできていないが部分的には魔力化ができるようになった。
そして、次の日俺は旅立つ日を迎えた。
※
俺は村の入り口の前でボルグさん一家から別れの挨拶を受けていた。
「リュウジ君、あんたいつでも家に来な、また、ご飯作ってあげるからから」
とジェルさんが言う。
「それじゃ、また来る日までジェルさんの料理楽しみにしてるよ」
次にボルグさんが、
「小僧、ほいこれギルドへの招待状」
ボルグさんは俺に手紙を手渡す。
「お前には才能がある。それも測りしれないような物だ、だから大物になれよ」
と言っていつものようにガハハハと笑った。
最後のトルクは涙目だった。
「リュウジさんありがとう。初めて会ったときから魔物に助けてもらって、僕に剣術を教えてくれて」
「別にいいさそんこと、それに俺はお前と会えてうれしかったし」
と言って俺はにこりと笑う。
だけどトルクは、ヒクッヒクッとまだ泣いている。
そんな姿を見たジェルさんは横から口を出す。
「トルク、そんなこと言いたいんじゃあないだろ」
「うん」
トルクは涙をぬぐいまた話し始める。
「リュウジさん、僕、言いたいことがあるんだ」
「言いたいこと?」
「僕は将来、ギルドに入って冒険者になる。冒険者になってお父さんもリュウジさんを越える冒険者になる。だから、僕がリュウジさんを倒すまでは絶対に負けて欲しくないんだ、だから約束して欲しいんだ」
「約束?」
「僕がリュウジさんを倒すまで誰にも負けないで欲しい。この約束を守って欲しい」
俺はこの約束聞いたときあることを思い出した。それは俺と母との最後の約束、弟を守ると言う約束で俺が唯一守れなかった約束。
俺は弟が死んだとき心に誓った。一度交わした約束は絶対に守る。その誓いがトルクとの約束の答えを出すのに時間がかかった。
俺はその約束を断ろうとしたが、次の一瞬でその答えは吹っ飛んだ。
俺はトルクの顔を見て約束を断ろうとした。俺が見たトルクの表情それは、昔見た俺の弟の泣き顔そのものだった。
俺は約束を断ることができなかった。
「やっぱりだめですよね・・・」
トルクが落ち込んだ瞬間
「いいぞ、その約束守ってやる」
「えっ」
俺が言った言葉でトルクがまるで鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
「だから、その約束守ってやるって」
「ホント?」
「本当だ」
次の瞬間トルクは大玉の涙を出して泣いた。
「ありがとう」