表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乳輪サッカー  作者: 若羽
5/6

舞い降りた一抹の希望

 更に一週間後。

 俺とキャプテンは誰もいなくなり閑散と静まり返る部室の中で、今日も今日とて無為なミーティングを繰り返す。


「まだディフェンダーがいる、ディフェンダーを獲得できればきっといける」

 

 そう強がるものの、キャプテンは、サッカー部員を退部させた初日のような元気が明らかに無くなっていた。

 そんなキャプテンを見て、俺は嘆息混じりに呟く。


「……もう無理だよ」

「何か言った?」

「そもそも無理に決まってんだよ漫画じゃあるまいし。漫画だって不可能だろこんな時期に部員集めるなんて」

「泣き言を言うな!とにかく行くぞ」


 無駄と分かりつつもディフェンダー候補の一人、卓球部の福路田の勧誘に向かう。


「君もサッカー部に入らないかい」

「いや、無理」

 

 状況を説明するのも虚しいくらい一瞬で断られる。

 続いてラグビー部の多畑の元へ。


「ねっ、サッカー部入ろうよ、ねっ、ねっ、たのむよ、ねっねっ」

「うわきもっ、向こういけよ!」

 

 段々壊れ始めたキャプテンを、多畑は汚物を見るような視線を送りながら拒絶した。

 続いて、俺達は柔道部の畠山の元へ。


「サッカー、はあはあサッカーに、はあはあ頼む入ってくんないと、俺何するかわからないよ、はあはあ」

「ひっ、む、向こういけっ警察呼ぶぞ」

 

 多畑に警察を呼ばれそうになり、俺達はダッシュで逃走を図る。

 最後に俺達は耶麻仲のいる野球部の部室へ。


「うおーーーーうおーーーーサッカーにうおーーーー!!」

「ぎゃああああああ!!」

 

 そして野球ボールや生卵をぶつけられ、命からがらサッカー部の部室に戻って来た。



 血と生ゴミまみれになりながら、キャプテンが力強く言い放つ。


「と、いうわけでダメでした」

「…………」

「そ、そんな顔するなよ、なっ!」

「ど~でもい~よもう」

「う、完全に放心状態だ、だが蒼木、俺が何の策も用意してないと思ったのか?」

 

 またあの顔だ。もう信用出来ないけど、例の自信満々のドヤ顔、これはきっと何かある……のか?


「え?」

「実はなこんなこともあろうかと保険として10人は既にスカウト済みだったんだよ」

 

 半ばというかほぼ完全に諦めかけていた俺は、キャプテンの衝撃の発言に心が浮き立った。

「ま、マジで!?」

「ぶっちゃけマジだ、思い描いたメンバー程じゃないが勝るとも劣らないチームになるだろう」

「うおーよかった、なんだよキャプテンびっくりさせやがって。これで大会でれるじゃん! バンザーイバンザーイバンザーイ」

「よかったな蒼木」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ