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乳輪サッカー  作者: 若羽
4/6

始動半ば終焉

 そして放課後。

 まず俺達はフォワード候補、体操部の中沢を勧誘する為に中沢のクラスを訪ねた。そしてキャプテンは早速、中沢に例の話を持ちかける。


「はっ?」

「いやだからサッカー部に入らないか?」

「アホか? なんで今更サッカーなんてやらないといけないんだよ。しかも時期を考えろ」

 

 当たり前だが門前払いだった。三年生で部活をやれる時期が残り数か月しかしかない上に、自分の部活がある奴が別の部活やるはずなんてあるわけがない。

 しかし項垂れて暇は無い。続いて俺達はテコンドー部の澤村に話を持ちかける。


「お前のキック力をサッカーに生かしてみないかい?」

と、キャプテンは突拍子も無く勧誘を開始した。

「え? 球技大会でもあるのか?」

「いやテコンドー辞めてサッカーやらないかって? テコンドなんてマイナーな格闘技辞めてさ――」

 

 瞬間、澤村のヨプチャチルギ(横突き蹴り)がキャプテンと俺のみぞおちに突き刺さる。


「はおっ!」

「がはっ……何で俺まで」

 

 悶絶し、床に這いつくばる俺達に澤村は言い放つ。


「てめえらもう一回言ってみろ、テコンドーはオリンピック競技だマイナーじゃねえ! テレビで見て憧れた、トルコの鳥人が使ってた格闘技馬鹿にしたら蹴り殺すぞ。わかったら二秒以内に消えろ」

「逃げるぞ蒼木」

「何で俺がこんな目に」

 

 島袋の余計な一言のおかげで肋骨にヒビが入った、ついでにバスケの邑上にも当然断られた。


 

 一週間後。

 

「今週は気を取り直してミッドフィルダー陣を取得していくぞ」

「…………」

「大丈夫、俺を信じろ今日は自信があるんだ。やれる、絶対にやれるんだ!」

 ああ、あのキャプテンの自信に満ちた顔。そういえばキャプテンがあんな顔した時は絶対なんとかなってきたっけ。2対0でロスタイム入った時も、PKで後が無くなったときも。あんたがそういう顔をした時はいつも何とかなったっけ。俺もう一度キャプテンを信じてみようかな。

 するとキャプテンは腹に力を入れて、気合を入れるように叫ぶ。

「あっ!」


* * *


 一時間後。

 神原、服田、太嶋に白い目で断られ半ベソをかいているキャプテン。


「っと言う間に断られました」

 

 信じた俺が馬鹿だった。

 そう言えば一時間前の表情――試合中にスカイラブハリケーンを使ってレッドカード食らった時も、何故か似たようなドヤ顔をしていたのを思い出した。あ、やっぱ駄目だこいつ。


「あははは、もうオシマイだよ、元サッカー部の奴らも新しい生活始めちまったし」

 俺は自暴自棄になって狂ったように笑い出した。

「俺の青春さようなら。あはははははは」

「諦めるな蒼木、最後まで諦めるな! サッカー漫画の監督も言ってたろ『諦めたらそこで試合終了』だって。俺達はいつだって諦めたことがなかった。だからこそ今まで頑張ってこれたんだ。俺はお前を信じてる。諦めるな最後まで頑張るんだ」

「キャ、キャプテン」


 ……それサッカーじゃなくてバスケ。

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