不完全。
中学校の卒業式。
私には、それがすごく大きな節目のように感じられました。
高校に入学すると、小・中と一緒に過ごした関係ががバラバラになり、
《会いたくても会えない。》
そんな感情に駆られるようになった。
どのようにして話をしていたかも分からなくなって、
恋なんてしたこともないのに、遠距離恋愛をしている気分になりました。
高校に入学して、新しい友達ができました。
部活も頑張ってます。
毎日笑顔で過ごしています。
みんなとても優しいです。
でも、なにか。
なにか足りない。
何かが。
決定的に。
なぜ?
それがなんなのか、すぐには分からなかった。
いや、分かりたくなかったのだと今では思う。
もしそこで解かってしまったら
私の弱さを認める事になるから。
そんなの私のプライドが許さない。
大嫌いだったあの頃に楽しんだ事実がある事になるから。
毎日が苦痛でしかなかったあの日々に価値を持たせてしまうことになるから。
私は認めたくなかった。
私が弱い事。
「いつもうるさくて、空気を読まないアホ」
こんなへんてこりんな仮面で隠して、毎日を過ごしていた毎日。
薄々気づかれていたかもしれないけれど
それが9年間貫き通した"あたし"
なんだかんだ言って結構大変だった。
クラスの大半から浴びせられる冷たい視線。あからさまな行動。
漠然と友人ごっこを繰り返す日々は、今思えばそれはそれで良かったのかもしれないし、幼少期からの友人というものが依然としていなかったのは幸いだったのかもしれない。
それでもまだ甘く幼い私は何度か挫けそうになった。
いや、挫けたんだ。中学一年生の時。
理由は覚えていない。
でも、自分の中にある何かが、
小さいようで大きい何かが、
音を立てて崩れた事は
鮮明に覚えている。
私はその時何を思ったのだろう。
悲しみ?
苦しみ?
憎しみ?……痛み?
何が?
どこが?
何故?
私が?
私は何がしたかったのだろうか。
何を欲していたのだろうか。
今の私は解りたくありません。
高校に入学しました。
いろいろな人と出逢い、
小さかった世界が少し広がりました。
そして、自分がとても
小さく、幼く、無力な事が分かりました。
……
そして、また月日が経ち、私は再び同じ場所に立たされています。
小さく、幼く、無力な私は僅かでも成長できたのでしょうか。
この三年間、全く衝突が無かった訳ではありません。
人はすぐには変われないという事を強く痛感しました。
改善した点、悪化した点どちらも同じくらいたくさんあります。
しかし、とても充実していました。
私にはもう次の門出が目の前まで迫っています。
甘えの許されない門出と言えるでしょう。
"子供"という保護対象の目印も、
今の安定した組織への従属も、
私の生まれながらに構成された外側の価値全てを脱ぎ捨て、
"わたし"が私自身の中身一つで「社会」に立ち向かわなければいけない。
そう思わせるのです。
また別れが訪れます。
また出会いが訪れます。
私は変わります。
寂しい気持ちは無くならないけど
変わりたいと思っています。
私は私です。
また春が来ます。
新しい春が。
そしていつかこの文章を
随分前に日記のように書き留めていたものですが、時効が切れた頃なので載せてしまいます。