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12話 マリーと初めての夜

 青空教室1週目はあっという間に終わった。

 最近、ミーナをかまってばかりだったからなあ。


 ふたりの好意、いや求愛?に対してそろそろ気持ちをはっきりさせないといけないよな……

 今週末はマリー来週末はシャルとふたりっきりで過ごすことに決めた。

 今夜はマリーと離れの客間でふたりっきりの初めてのお泊りだ。


 風呂のあとの夕飯も終わりそろそろ離れにいこうとしたらミーナに見つかる。

 が、そんなことはお見通しだ。

 あらかじめシャルにミーナ監視係を頼んでおいた。


 すがるミーナをシャルががっちりホールドしている。


「今夜はご主人さまとマリーの初夜だから邪魔しちゃだめニャア」


「初夜ってなんなの?」


「初夜っていうのはね、ふたりっきりで過ごす初めてのお初めての夜のことニャ」


「ミーナも泊まる――」


子供のように駄々をこねるミーナ。 


「おまえはもう何日も俺と泊まってんじゃないか」 


「でもゆうとさまは何もしてくれないじゃん!」


「……それはまぁ……なんていうか……大人の事情ってやつだよ」


 姉のようにやさしく(たしなめ)めるシャル。


「大人になるまで我慢ニャ」


「そんなに待てない!ねえ……先っぼだけでいいからぁ……」


 腰をくねらせて意味ありげにニウインクするエロ小悪魔。妙な色気があるから危険だ。


「どこの先っぽだよ! そんなセリフどこで覚えたんだよ? シャルあとはよろしく」


「ご主人さま、わかりましたニャ。お任せくださいニャ」


「ゆうとさまぁ、イっちゃだめー」


 こいつは絶対確信犯だ。


「……まったく、こいつは……。シャルこの欲求不満女を思う存分可愛がってやって」


「ご主人さま、了解ニャア!」


「きゃっ!?」


 ミーナを持ち上げ肩に担ぎとなりの部屋に消える。

 扉越しでミーナの悲鳴が聞こえる。


 マリーを探しにリビングをのぞく。


「あ、マリーここにいたのか」


「……主さま、どうしてここに?」


「……どうしてって、ここ俺んちだけど……」


「……あのう……もういくのでありますか……?」


 マリーの様子がいつもと違う……。というかこんなマリー今までみたことないぞ。

 いつものマリーはお調子者というかアホなぐらい明るい子で俺はいつもおちょくられていた。


 でも基本おこちゃまなんだけど……


 なんだ!? こいつホントにあのマリーか……

 顔を赤らめてどうしたらいいのかわからずただ震えてるなんて

 可愛すぎて惚れてしまうやろ―状態じゃねーか。


 おこちゃまのマリーだからベッドで一緒に寝て頭撫でてあげる予定だったのに

 そうもいかなくなったってことだよな……?


「なぁマリー……俺と一緒に寝るのは嫌か?」


「そ、そんなことはあるわけないのであります!」


 あわてて否定するマリー。


「マリーはやさしい主さまが大好きであります。ただ……」


「ただ……?」


「いきなりだったのでびっくりしただけであります」


「それに……マリーは初めてなのであります……うまくできる自信もないのであります」


「初めてのときはすべてを相手に委ねればいいんだよ。それにうまくやる必要はないし」


 むしろ、いきなりテクニックなんか披露されたらドン引きなんてもんじゃない。

 へたれな俺は処女かどうかさえ疑ってしまう。


「マリーは汗かいたのでもう一度お風呂にはいってからいくので、主さまはお部屋で待っていてください」


「一日何回お風呂に入る気なんだよ」


「まだ、たったの6回しか入ってないのであります」


「十分多いわっ!」


 まぁ俺もすでに5回入ってるけどなっ。


「お風呂にいってきまーす」


 マリーのやつうまいこと逃げたな。

 離れの客室で待つことにする。


 シャルが念入りに掃除した客室はめっちゃきれいになっていた。

 この部屋はうちで唯一の洋室でいつもはベッドがふたつ並んでるのだが

 今日はベッドをひとつは折りたたんでソファーにしてるのでシングルベッドがひとつ。

 このベッドだと嫌でもくっつかざるを得ない。


 しかもテレビもパソコンも本棚もついでに椅子もすべて撤去してある。

 もはや俺たちに逃げ道はない。ベッドだけ……他にすることはなさそうだ。


 やるなさすがシャル、マリーの逃げ道を完全封鎖してある。

 いや……違うな……俺だな……ご主人さまのへたれっぷりは知られてる。


「なんか落ちつかねー……」


 思わず独り言がでてしまう。


 こういう場合、普通は男はベットの中に入って待つのか?

 それと服は着てるのか? 

 全裸待機とか……いやっないないない! それじゃ変態っほくないか?


 あれこれ悩んでいると風呂からあがったマリーが部屋に入ってきた。


 改めて見るとマリーは美少女だ。

 いつもは結わえている金髪をおろしていて雰囲気が違う。


 マリーは正座し床に手をついて


「……主さま、ふつつかものですが末永く愛してくださいませ、よろしくお願いします」


 俺もあわててベッドから飛び降りて正座になり


「はいっ……こちらこそ末永くお願いします」


 しばらくふたりの土下座合戦が続いたあと俺が先にベッドに入った。


「主さま、電気を消してもいいでありますか?」


「えっ……ああ、いいであります……」


 なんで年上の俺のほうがテンパってんだよ。

 スイッチが消されて部屋は枕灯だけとなりかなり暗くなる。

 ゆっくり立ち上がったマリーは躊躇することなく服を脱ぎ始め全裸になる。

 薄暗い部屋にマリーの白い裸体が浮き上がって見える。


 美しい……匂い立つような美しさだ。

 そのまま布団のなかに入ってくるマリー。


「…………」


「…………」


 ふたりとも無言だ。静かすぎてお互いの息使いや心臓の音まで聞こえてきそうだ。


「マリー……大丈夫か、いけるところまででいいから無理するなよ」


「……だっ大丈夫であります」


 大きな青い瞳を潤ませるマリー、可愛すぎて欲望を止められないかも……

 俺も服を全部脱いだ。


「こっちおいでマリー」


 不安そうに見つめるマリーを抱きしめた。


「主さまは、会ったその日から亜人のマリーたちにもやさしくしてくださいました。いつもおなかへってないかとか寒くないかとか気にしてくださったりいろんな楽しいことを教えてくださいました」


「いつの間にか大好きになったのであります。ずっと一緒にいるだけでいいと思ってたけど他の人にやさしくしているのを見ると胸が苦しくて……もっと愛してほしいとか……わがままでごめんなさい」


 マリーの体温をじかに感じながらさらに強く抱きしめる。


「それがね、恋なんだよ。でも心配はいらないよ。俺もマリーに恋してるから……」


「主さま、うれしい」


 二人の距離が自然に縮まりどちらからともなく長いくちづけは始まった。

 何度目かのくちづけあとふるえるマリーに気づいた。

 頭を愛おしそうに撫でながら


「マリー、もう無理しなくていいよ、ゆっくり大人になればいいから」


「はい……」


 マリーの柔らかい肌を十分に感じて、甘いマリーの匂いに包まれながら眠りについた。



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