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11話 青空教室

 職人グループの講師はとりあえず俺がやることにした。

 ノートパソコンと30インチの液晶ディスプレイをつないで動画を見せる。

 最初から難しいのは無理だから娯楽番組から見せることにする。


 鉄腕ラッシュ、人気アイドルグループが村を作ったり、農業したり家を建てたりする人気バラエティ番組。

 バラエティではありがちなやらせではなく、資格まで取ってやるからガチだと思う。

 動画が始まると期待どおりの反応だ。


「うわあ――! 絵が動いた……」


「おおおおっ、小人がいた――!」


「うえっっ! どこからこの人間は中に入ったんだ?」


 何人かのドワーフは液晶ディスプレイの裏側をのぞきこんだ。

 相変わらずリアクションがド派手なドワーフたち。


 対照的にリザードマンはリアクションが地味だから驚いているのかどうかがわかりづらいが

 クライドとは旅で何日か一緒だったからなんとなくわかる。

 リザードマンは驚くと目を急にキョロキョロと動かし始める。


 皮膚が硬いから表情が動かせないから仕方ないよね。

 だからどうしても顔が怖く見えちゃって子供たちに恐れられる。

 本当にやさしくていいやつが多いんだけどわかってもらいたいな。


 番組の内容は村に家を建てたり無人島に井戸を掘ったり舟屋を建てたりするものだ。

 次に見せたのが現存する唯一のたたら製鉄刀鍛冶のドキュメンタリーや

 MHKの日本の職人シリーズの和包丁職人や大工職人のドキュメンタリー。


 現役の大工職人と鍛冶職人は「おおっ!すげえっ」とか「なるほど!」と関心したり

 「マネしてやってみたい」とか「帰ったらやってみる」と職人魂に火がついたりしていた。


 続いて見たのは日本の林業のドキュメンタリー。

 これは自分の地元の友人が映っていたので録画しておいたものだ。


 間伐の意味や方法をわかりやすく解説してあり間伐材の有効利用のひとつとして

 木質ペレット(小粒の固形燃料)に加工して燃料として使っているところが映っている。

 40分と番組が長いからダイジェストにした。


 午後はそれぞれに自分が興味をもったグループを選択してもらった。

 建築グループと鍛冶屋グループと伐採グループの3つから選んでもらう。


 建築グループは大工の技術を学ばせたりしたい。

 実習として実際に家を建てさせてみるのも面白い。


 伐採グループはリザードマンが中心となる。

 伐採から輸送、製材までを分担してやってもらう。


 鍛冶屋グループは基礎技術を教えながら大工道具のノコギリを作ってもらう予定だ。

 といってもただのノコギリではなく、リザードマン専用の規格外の特注の大ノコギリだ。


 ひとつの大ノコギリをリザードマンの2人で動かして木を伐採するつもりだ。

 リザードマンにちょうどいい大きさ、重さにしてリザードマンのポテンシャルを

 余すことなく発揮させたいと思っている。


 予測だがチェーンソーと同等かそれ以上ではないかと想像する。


 青空教室2日目


 建築グループから講義を始める。

 建築グループが講義のときは鍛冶屋グループと伐採グループは自習とする。


 パソコンはもう2台家からもってきてあるので自習時間は動画をみることに。

 そうすれば時間が有効に使えると思う。


 今さらながらだがインターネットというのは革命的な出来事だと思う。


 ネット回線さえつなげれば世界のどこにいても同じ情報を手にいれることができる。

 その情報は書き加えられたり更新され情報の量も年々増えていく。


 動画投稿サイトも増えて情報量は膨大になっている。 

 欲しい情報は探せば大体見つかる。


 ただしその動画を翻訳するのは大変だった。


 マリーやシャルにも手伝ってもらい毎晩眠るのは明け方。

 気がつくと3人が絡まるように寝ていたらしい。

 それを見つけたミーナが絡みをほどいて俺の両足をもって引きずってるときに目が覚めた。


「……! いてててっ……何してるんだ? ミーナ!」


「……見てのとおり、ゆうとさまを運んでるけど?」


「だから……なんで俺を運んでるんだ? 理由をいえ!」


「ミーナのことのけ者にして3人でエッチなことするんだもんっ」


「エッチなことなんかしてねーよ!」


 さらに強引にひっぱるミーナ。

 

「……! いてててっ……ミーナ! ハゲたらどーすんだ?」


「だいじょうぶ、ミーナが責任を取ってあげますっ」


「全然だいじょうぶじゃねーよ!」


 まあ余談はそのへんして、本題に戻ろう。


 今日の建築グループの講義は自分で家を建てようという企画の動画。


 ①家を建てよう 伐採式・伐採

 ②家を建てよう 選木・集材・一時保管所

 ③家を建てよう 製材・天然乾燥(1年)


 そのあと、地鎮祭、土台作り、建築開始、上棟式、完成までを動画で見せる。

 こちらの世界で使える技術ばかりではないが丁寧に解説してあるので理詰めで覚えることができる。


 今度は伐採グループの講義。


 残念教授の話によるとこの世界も針葉樹と広葉樹があるらしい。

 この国は森林資源には恵まれているが材木の価格は高い。

 なぜかというと伐採・製材の人件費と輸送費が高いからだ。


 伐採・製材と輸送をリザードマンとドワーフたちだけで請け負うことができれば大幅なコスト削減できる。


 まず針葉樹と広葉樹の違いについて説明から始める。


「外見上の違いは細い葉の先がとんがってるのが針葉樹で平べったい葉が広葉樹です」


「針葉樹は軽くて柔らかく、広葉樹は重くて硬いという特徴があります」


「軽くて柔らかくまっすぐな針葉樹は梁や柱といった建築の構造材に使われることが多い」


「一方、重くて硬い広葉樹は床材や内装材に使われ、家具の材料にもなる」


「こうした針葉樹と広葉樹の材料としての違いは、建築材料だけはなく、使う用途にもあらわれます」


「たとえば薪として針葉樹を使用する場合、割りやすくよく燃えますが、すぐに燃え尽きてしまいます」


「広葉樹の薪は着火しにくいが、一度燃えるとゆっくり時間をかけて燃え、長持ちすると言われています」


 次に昨日ダイジェストで見た日本の林業のドキュメンタリーをフルで見せた。


 最後が鍛冶屋グループ、さすがにひとりで3グループは無理ゲーすぎる。

 なんかモチベーションが上がらない。


 そっか……このグループに女の子を入れてないからやる気の持続が難しいのか。

 さっそく、来週から一人か二人、入ってもらうことにする。


 さて、講義はまずいろんな日本の大工道具の使い方や製造過程を動画でみてもらう。

 次にたたら製鉄による日本刀製作の職人技を科学の目で分析した番組を流す。

 日本の包丁の製作方法の解説のしてある動画を見せて今日の講義を終了する。


 今週の職人グループにはこの後も各分野の動画を繰り返し見てもらった。


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