汚い冬に生きるということ
地上の王、高官、千人隊長、富める者、力ある者、また、奴隷も自由な身分の者もことごとく、洞穴や山の岩間に隠れ、
山と岩に向かって、「わたしたちの上に覆いかぶさって、玉座に座っておられる方の顔と小羊の怒りから、わたしたちをかくまってくれ」と言った。
神と小羊の怒りの大いなる日が来たからである。だれがそれに耐えられるであろうか。
――ヨハネの黙示録6章15節、16節、17節
恋の基本や男と女の真理は不変であると歌う曲が流れ出した。いくら時が流れても変わらないものがあると。
狂ったテンポも徐々に整ってくれば、ゆっくりとした甘い深みのある男の声が明らかとなっていくだろう。その曲は金属製の覆いの壊れたラジオから流れだしていた。誰かが曲をかけたのではない。機械の誤作動で再生され始めたともいえる。電波を拾ったのか、録音なのか、それを確かめる人間もいなければ、耳を傾ける人間もいない。
けれど時が流れれば、変わっていくものだってあるだろう。
瓦礫があった。
否、瓦礫しかなかった。
かつて人気を集めたであろう洒落た商店立ち並ぶ地点には巨大なクレーターが広がっており、焼け焦げて炭化したマネキンが転がって珍妙なポーズをとっている。すぐ傍らには腐りかけの人体。薬莢。そして煙草の吸殻。
溶けて半分から横にずれて今にも倒れそうな電波塔があった。雨風にさらされ赤錆がいまや塔の支配者だった。
ガラスの散乱したオフィス街。ビルというビルは崩れかけ、崩落した地下鉄が無間地獄のようにぽっかりを口を広げている。
激しい銃声が響き渡った。衝撃。遅れて爆発。四散した何から空中を掠める。
街の至る箇所は汚染されていた。空も大地も街も何もかもが。
随伴歩兵を屠ることはできた。遮蔽物の多い瓦礫の街。こちらが勝つと信じていた。
ローレンツ力によって加速された弾頭はもはや音を置き去りにして空中を飛来すると、舐めるような低空を飛んでいき、不格好な人型の真横から侵入した。物体は一定の速度と圧力が加わると水のように姿を変えてしまう。その物理法則は人型にも適用された。構成する金属と強化プラスチックも例外なく打ち砕かれ、弾頭は装甲を強引にねじ切りつつ反対側から飛び出した。まるでワインのコルクを引き抜くように発生した穴。人型は無残にも吹き飛ばされ地面を転がると、ガソリンに引火、炎上して動かなくなった。
それは無限軌道を唸らせ、時速にして50kmという速度で移動し始めた。巨大な瓦礫がある故に動きに制限がかかっているとはいえ、車を踏みつぶし、鉄骨を踏み越える走破性を発揮しつつ、数秒とかからぬ不気味な速度で砲塔を回転させて、行進射撃を実行。瓦礫そのものの向こう側を見透かしたような正確な砲撃。電磁投射砲によって加速された弾頭は、人型達を次々に掃除していった。
人型達も負けじと対策を練っていた。ここは廃墟。障害物には事欠かない。瓦礫ではなく倒壊したビルという障害物を盾にして、背中に据え付けられたロケット砲を向ける。一機は腕に握られた機関砲を。
それは無限軌道を静止すると、空中に待機させてあった無人機による偵察を開始した。
人型達は戦々恐々として身動きすることを止める。
それは次に車体の四隅に設置されたアンカーのようなものを地面に接触させた。ハッチのある上面部に備え付けられた機関砲が、鳥の頭のように複雑にかつ鋭利に周囲へと警戒を開始する。だが人型の搭乗員たちには、その機関砲は凶鳥のように感じられた。
無線で合図。戦車からおよそ数十mという距離にある一機が、蓮根のような形状の連装ロケット砲を斉射した。
アクティブ防御。車体上の機関砲が作動。短距離レーダーにより脅威度を判別して片っ端から対象を叩き落とす。近距離。別の銃身から擲弾が放たれるや近接信管によって空中に衝撃による防御を展開。ロケット弾のことごとくをねじ伏せた。
機関砲が吼えた。発射位置にある敵に弾幕を浴びせかける。人型のロケット砲がへしゃげ吹っ飛んだ。
仲間を助けるべく、機関砲のみを構えた人型が物陰から飛び出すと、勇敢にも向かっていく。しかし無情にも、車体上の自動化された機関砲が人型をものの数秒とかからずに蜂の巣にする。曳光弾の輝きが装甲を包み込み、粗末な防御装甲を破壊して、内部の人間を粉々にしてしまう。更に瓦礫もろとも電磁投射砲の一撃がロケット砲を千切られた人型の胴体を穿つ。
慌てた一機が鉄骨から這い出ると、大口径を放つ。距離にして10mも無い。車体の上を狙った攻撃。しかし、それさえも近未来的な装甲を前に、原始的なリアクティブアーマーを削ぐことしかできず、あらぬ方角に弾かれる。
手砲が同軸機銃で地面を耕しつつ、急速に転回。発砲炎と着弾点を元に位置を計測。発砲。人型の胴体が貫かれ、人間だったものが水となりて空中に吹き飛ぶ。主砲の発砲炎に遅れて、衝撃波が大地の砂煙を巻き上げた。
まさに鎧袖一触。
唯一残った一機が、多くの犠牲を孕みながらも背後からの接近に成功していた。
はずだった。
それ――戦車は、スモークディスチャージャーから無数に弾を放ち攪乱を行えば、その場で無限軌道を左右別々に前進と後進をさせ、一回転。横を向いていた砲塔はもはや一秒とかからず真後ろを向く。熱気漂う砲身。咄嗟に躱そうとするも全ては遅かった。
超音速の弾丸が人型の頭部にあたる部位を粉々にし、反動で何度も何度も地面に叩きつけながら完膚無きままに破壊する。砕け散った腕が空中を舞い、それさえも自動化された機関砲にスクラップにされる。
敵影なし。
戦車は低音を響かせて装甲の色合いを瓦礫と同調させた。
そうして人型が無数に転がる戦場から悠々と去っていき、静かになった。
最後に破壊された人型のハッチが弾けた。内部から、いわゆるガスマスクを被った人物が這い出てくると、荒い息をしながら人型から地面へと転がり落ちる。
果てのない廃墟の一角。戦車という陸上の王者によってつくられた戦場――否、狩場の唯一の生存者。
人物は腰にある拳銃を抜くと、スライドを引いた。初弾装填。
頭が痛かった。砲撃に打ちのめされたが故に脳が揺れてしまったらしい。装甲が薄すぎてあっさり弾が抜けてくれたことが不幸中の幸いとでも言おうか。中途半端に硬かったのならば衝撃で死んでいただろう。
人物は、ガスマスクの奥で苦しい呼吸をしながら、最も近い人型の残骸へと歩み寄って行った。瓦礫から突き出た鉄骨。赤錆がへばり付きコンクリを汚している。まるで血管のようだ。ならばコンクリは肉。ガラスは――わからなかった。
人物は息を切らし、そして足を滑らせて転倒した。銃を取り落す。構わずに腕力で姿勢を起こすと、人型が倒れた地点へとやってくる。
大口径機関砲を食らった人型は、見るも無残な姿を晒していた。腕はもげ、装甲には毛穴のように弾痕が刻まれ、丁度胸にある操縦席など灰燼と化していた。辛うじて操縦席に赤い痕跡があるのが、既に命が散ってしまったことを証明しているだろう。その赤い染みは、同じ釜の飯を食った友人のものであると理解するのに数分を要した。
もう一機へと目を向ける。電磁投射砲によって粉々にされたそれ。瓦礫に突っ込み、ガソリンを垂れ流していた。見ているうちにガソリンに引火して漆黒の煙を吐き出していく。
人物は膝をつくと、肩を震わせた。
何気なく地面を見た。瓦礫から飛び出した鉄骨に何かが引っかかっている。血で汚れ変形したロザリオだった。アルコール中毒症状よろしく震えている手でロザリオを取ると、胸元に抱き寄せた。
放射性物質を含んだ砂煙が大地を掠めて天上高くへと舞い上がる。灰色一色に塗りつぶされた空は慰めにもならない。
人物はガスマスクを脱ぎ捨てて己の頭を打ちぬきたい衝動に駆られた。
多くの仲間を失ってしまった。戦車は理由もなしに敵対してきた。理不尽にも程があるが、これがこの世界の実情。リヴァイアサンよろしく国家が君臨していた飼いならされた情勢は終わったのだ。殺さなければやられる。
救助を要請するべく、腰の無線機を弄る。
何といえばいいのだろうか。人物は悩んだ。戦車が突然現れ味方を皆殺しにした。場合によっては弁解しなくてはならないだろう。裏切って皆を殺した、そう指摘されるかもしれないのだ。
ふと人物は視界が歪んでくるのを感じた。喉がきりきりと酸の海に落とされたように痛んだ。ぐうと喉が鳴る。みるみる視界は崩れてガスマスクの狭い視界に強烈な制限をかけていく。鼻が緩む。
これは、泣いているのだ。
自覚した時はもう遅くて、わんわんと喉から鳴き声が漏れ出していた。慟哭などという壮大なものではなく、子供のような泣きじゃくり。
空から水が落ちてくる。放射性物質を多量に含んだ汚された生命の循環の一滴。ガスマスクの人物へも容赦なく降り注ぐ。人型の焦げた装甲に触れるとしゅうしゅうと音を立てて水蒸気へと変わっていった。
「ダーティー・ウィンター」
足をベルトに固定すると、胸で十字を描くようにベルトを装着して、体が動かないようにする。煤けた凹凸だらけの鉄製ヘルメットを被ってバイザーをおろすと、レバーを引いた。下一枚、上一枚のハッチがすぽりと操縦席を包み込み内部を密閉する。キーを差し込みエンジンを回す。くおんくおん、とエンジンが唸り声を上げると、マフラーから真黒な煙を吐き出した。エンジン回転数が一定値に至ったことを目視で確認すると、左右にあるモニタを手で手繰り寄せて電源スイッチを押す。ガンカメラ兼外部確認用モニタである。右と左。正面用のモニタの取っ手を握ると、正面に来るように下して、金具で固定すれば、電源スイッチを入れる。
操縦桿を握り、軽く指を順々に畳んで離し、再度握りなおす。操縦桿を操る。ニュートラルからファーストギアへ。軽くペダルを踏み込む。
人型が倉庫の中で立ち上がった。全高は5mにも満たない。3、4mと言ったところ。胴体だけがあり、腕と手足がついている不格好なもの。操縦者は胸に乗っていた。
操縦者は両方のペダルを踏み込んだ。人型が右から左へと足を踏み込み、慎重に一歩を歩んだ。倉庫の隅までやってくると、ペダルの片方を後進指示、片側を前進。人型がその場で足踏みをして後ろを振り返った。
「いい子だ」
おもむろに呟くと、レバーを引いてコックピットを開放した。上から被さる安全板が跳ね上がり、足場にもなる下側の板が下りていく。ペダルを操作して人型を屈ませる。キーを定位置に捻ってエンジンを止める。キーを抜いて胸ポケットにねじ込むと、ヘルメットを染みだらけの座席に置いて、飛び降りる。
そして振り返れば、鼻を擦る。付着したオイルが伸びて鼻の色を変えた。
人体よりも車よりも大きなそれ。スタイリッシュさよりもむしろトラックのような無骨さをした“車体”。ヒューマイド・ワーカー。人型労働者なる珍妙なカテゴリーに当てはめられるロボットである。これこそが操縦者の所属するコミュニティの最大の労働力であり、最大の戦力であり、使い捨ての労働者である。
いわゆる建設機械の一種であるヒューマイド・ワーカー――HWは、本来戦うためのものではない。しかし核戦争後の世界においては戦いに駆り出されても仕方がなかった。戦闘ヘリにはカモ撃ちにされ、歩兵のRPGの餌食となり、対空機関砲で蜂の巣にされ、テクニカルには移動速度で劣る。薄い装甲は銃弾を守るには頼りない。
とはいえ、あるものは使うしかない。ヘリも飛行機も高度な誘導ミサイルも無いとなればである。だからこうして整備していたのだ。
人物は別の機体に引っかけておいた色あせて穴だらけの上着を羽織ると倉庫を後にした。
倉庫の外に広がっているのは言うならば円形の闘技場である。球体を輪切りにしたような巨大な空間の中央には鉄の塔がそそり立っており、空間の壁に当たる部位には不規則に出入り口が設けられている。
中央塔にはレトロな時計が掲げられていた。お昼時のようだ。
首から提げたドックタグを指で挟む。ドックタグに紛れて、焦げたロザリオがあった。
識別章が無ければ飯にあり付くこともできない。それが掟である。
がしゃん、がしゃん、とやかましい音を立ててHWが正面から歩いてきた。装甲無し、操縦席の覆いも必要最低限で、目視で操縦をする文字通りの重機としての基礎的なHWである。その手には鉄骨が握られており、背中に結ばれた紐には台車が繋がれていた。
「お疲れさん」
軽く手を振り、操縦者へと声をかけておく。にこやかに手を振り返してきた。
食事をするべく居住区へと足を運ぶ。エレベーターは緊急時以外には使えない。鉄製の階段をひたすら下っていくのである。汗ばんだ男、悲壮な顔をした女、酒に酔ってふらつく男、商売女、やんややんやの歓声を上げて走り抜けていく子供たちを追い抜く。
食堂はどったがえしていた。身分に関係なくここにやってきて食事をするゆえに人口密度は大地に芽吹く新芽のようだ。
人込みをかき分けていき食事を配分している係り員のところまで到達する。
「タグ」
「はい」
短いやり取り。タグを見せ、係員が鉛筆で印をつける。横の者に皿とお盆を貰う。横にずれていきお皿に食事を盛り付けて貰う。
プレス式の軽金属の皿に、大きな鍋からドボドボと白っぽいものが注がれる。野菜、肉、芋、その他を煮詰めたもの……にカルシウムやビタミンなどの必要な栄養素を補ったお粥のようなもの。ようなものとつくだけに味は最悪である。食べられるコンクリートがあるとすれば、きっとこれだ。酸っぱさと苦さの強い粘着質なゲルとでも称すべきもの。申し訳程度に塩気のやたらと強い肉一枚が粥の中に投入された。
栄養素だけは補えるだろう。満足感は補えないのだが。
見飽きた食事にうんざりした表情で顔を占拠する。
労働者の列に混じって空いている机に腰かける。いざ。指を重ね十字を切り、お祈りをしようと――。
「アッシュくん? 隣、いいかな……」
「フローラ? ああ、もちろん構わない。ここは俺の席じゃないからな。好きにしろよ」
「失礼しまーす」
すぐ隣の席を取らんと一人の女の子がやってきた。茶色っぽい髪の毛をショートボブにした青い瞳の優しげな顔立ち。泥だらけの作業服。手元は荒れており表情の奥底には疲労が垣間見えていた。土と農薬の臭いがぷんと香るも、やれオイルだ劇薬だガンパウダーだと臭いをたんまり嗅いできた人物――アッシュと呼ばれた青年には苦にもならない。
美味しくも無い食事を頂くべく十字を切りなおすと口の中で祈りの言葉を囁いて、ようやくスプーンで掬い始めた。
「最高にうまいな」
「皮肉でしょ?」
「もちろん」
げんなりとした顔で、フローラも食事をする。スプーンからとろみのある白濁を皿に零しつつ、アッシュの横顔を眺めている。
アッシュは深々と頷くと肉のある中央だけを避けて外周を一心不乱に食べ始めた。食べなくては働けない。糧があるだけ神に感謝すべきだろうが、神は味まで保証してくれないのだ、悲しいことに。
あっという間に食い尽くすと、肉をスプーンに引っかけた。
「……当たり前だろ。生まれてこの方、こいつを食って美味しいとか言ってるやつを見たことがない」
「でも、お肉は例外でしょう」
「ああ。肉……たんまり食えたらなぁ」
フローラに頷くと肉をスプーンの上で揺らす。やがて意を決して口に放り込んで咀嚼する。豚肉の旨みが広がった。
アッシュは、フローラのゆっくりとした食事を頬杖をついて眺めつつ、話題を振った。
「そっちはどう。仕事は大変なのか」
「うん。土を穿って耕して埋めて収穫して……毎日毎日。すごく大変……」
誠実で真面目なフローラの顔が灰色になる。疲れが出ているのだろう。彼女は、コロニー人口の為の各種野菜を作るために毎日を畑で過ごしている。アッシュも作業に必要な機械を日々面倒見て銃を取っているのだから同じようなものだが。
「手ぇ荒れ放題だな。痛くないか。ほら見せてみろ………俺と変わらんな」
「……恥ずかしいよう」
「手袋しないのか、それとも……」
「うん。手袋すると作業が終わらないのもあるから、外してやるんだけど、こうなっちゃって」
彼女の手を引き寄せてみる。フローラの顔が灰色から赤色に変動した。機械弄りの日々を過ごすアッシュと同じように、ひび割れて、薬品やらで皮が炎症を起こしている個所もあった。機械も手袋をするとかえって作業がしにくいケースがあり、外してやるのだ。これはどの職業でも同じような事情と背景があるだろう。
フローラの肩をぽむ、と叩いて慰めてやると、器を持って立ち上がる。
「用事を思い出した。また会おうぜ」
「あっ……」
切なげな声を上げるフローラを背後に、ひらりと手を振って配膳台へと向かい、容器類を返却した。
行き先はフローラの仕事場からさほど離れていない地点である。というよりも、離れていると都合が悪いのだ、仕事内容として。
コロニーの一角にある風車。それは発電施設の排熱を利用したタービンから生じる回転で多くの穀物を磨り潰すために作られた、羽の無い風車である。風車小屋の周囲には雑草が生い茂っており無数の豚が放牧されていた。豚は素晴らしい生き物だ。人の人糞や残飯などで生きていけるコロニー唯一の食肉用の家畜である。
風車もとい穀物磨り潰し機のすぐ横にはHWが停められている。アームに巨大なスコップとクワを抱えており、柔らかい土でも陥没しないようにカンジキがレッグに履かれている。
豚の群れの中心で黙々と豚の糞尿の処理をしていた黒髪の青年が顔を上げた。アッシュの白っぽい髪とは対照的な容姿。
アッシュは手を振りつつ、開口一番こんなことを口にした。
「ようアルテム。肉を融通できねぇか」
「アッシュか。ちょうどいいところに来たな」
いつもなら糞塗れの農具で殺気をぶつけてくる青年はしかし神妙な顔つきで迎え入れてくれた。鋤を地に刺し、柄に両手を置いて、時折背後を確認しながら、である。
思わぬ歓迎にアッシュは呆気にとられてぶひぶひと鼻を鳴らす豚を一瞥して、慎重に訊ねてみた。
「は? くれるってこと……」
「違うわい。誰が貴様に貴重な肉をくれてやらねばならぬのだ。少し用事がある」
意味深な物言いにアッシュは首を捻った。




