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第6話 パニック・パーティー③

 八王国がひとつ、ギデオンハートの王が告げる。


「よくぞ来てくれた。異世界からの勇者よ。お主を呼んだのは他でもな……」


「助けてください!」


 王の言葉を遮ったのは他でもない、異世界からの勇者だった。



「頼む……俺たちの世界は、もう……ダークヒーローに滅ぼされて」


 それが勇者が発した最後の言葉になった。

 赤いマントを着たブロンド髪の大男が、勇者の心臓を素手で貫いてた。大男は群衆を見渡す。


「……君たちは、きっと何かに虐げられていたんだね。助けを求める顔をしてる。懐かしいよ。一年前の僕なら、君たちを救ったと思う」


 男の目元から赤いレーザービームが放たれ、群衆を焼いた。甲高い悲鳴が上がる。


「いつからだろう。その顔が、大っ嫌いになったのは」




 八王国の一つ、カーディナルの王が告げる。


「よくぞ来てくれた。異世界からの勇者よ。お主を呼んだのは他でもな……」



「助けてください!」



 王の言葉を遮ったのは他でもない、異世界からの勇者だった。



「頼む……俺たちの世界は、もう……メガシャークに滅ぼされて」



 それが、勇者にとって最後の言葉となった。


 三百メートルはあろう巨大な(サメ)が光の輪をぶち破って飛び込んできた。宙を漂う鮫が、人間たちを食い尽くしてく。


 城にいたものは皆平等に、サメの腹の中に収まった。

 人語を話すものは、もう誰もいなかった。



 八王国の一つ、ディアボロス王国にて。

 王が告げる。


「よくぞ来てくれた。異世界からの勇者よ。お主を呼んだのは他でもな……」



「助けてください!」



 王の言葉を遮ったのは他でもない、異世界からの勇者だった。



「頼む……俺たちの世界は、もう……****〇*■※****に滅ぼされて」



 映像が乱れ、雑音が混じる。



「失礼。ですがここから先は契約につき見れませんので」



 男の声がした。


 勇者がどうなったかは、わからない。



 俺とリシェルは二人でスマホ画面をのぞき込んでいた。


「コピペっぽーい。されど、実録無修正なんですよ、これ」


「わからんことを知らん言語で説明するな。何だこれ?」


「八王国全て、異世界召喚を事故ったみたいです」


「は?」


「八王国がつないだ八の世界。全部滅亡(、、、、)してたん(、、、、)ですよ(、、、)。SF映画の世界、ホラー映画の世界、災害映画の世界、ヒーロー映画の世界、ギャング映画の世界、ゾンビ映画の世界そしてサメェッ! いやー、多種多様ですね」


「人類のやらかしが酷い」


「せまりくる異世界(アポカリプス)の侵略者に、王国の戦力じゃ全然相手になりません。しかし、まだどの王国も滅んでおらず、必死の抵抗を続けています」


「え、何処にそんな抵抗勢力が……」


「七人の皇子たちです」


「バケモンにバケモンがぶつかってきたぁ」



 一応、王国からすれば本来の計画通りなのが皮肉である。

 勇者(バケモノ)皇子(バケモノ)にぶつけようとはしたのだから。



「今や七人の皇子たちは、外敵から世界を守りうる最後の砦なのですよ」


「……それが、七人の皇子を生かす理由か?」


「ええ。ゾンビを見たあなたならわかるでしょう? 外敵は時間が経てば経つほど増長し、手が付けられなくなる。皇子の誰かが抑え込みに失敗し、陥落すれば、その脅威が世界のすべてを埋め尽くすでしょう」


「お前ら今日まで陥落させる側だったんじゃねえのかよ」


「事情が変わったんですよ。アストリア王国は唯一、カイルさんの存在で滅亡を免れた。外敵を隷属させた貴方は、いわば世界の特異点。最強の存在です。そんなあなたが素敵な提案をしてくれて、私はもう、嬉しくて嬉しくてしかたないのです」


 リシェルはまるで恋する乙女のように両ほほに手を添え、うっとりとした顔をする。

 俺は頭を抱え、さっきの提案を後悔していた。



「……あの提案、今からでも取り消せないか?」


「駄目ですよ。私は魔王になるし、あなたは今日から、世界を救う勇者になる。そう言ったじゃないですか」



 リシェルが笑い、少し申し訳なさそうに首を傾げ、手を合わせた。



「さあ、カイルさん。私たちの世界を助けてください」


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