表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/23

第7話 劇場版三作目でよく見る展開②

 再び、クレスが消える。

 音速の衝撃がムーの身体を貫通する。胸や頭に風穴が空いていく。

 一通りの打撃を試した後、クレスは舌打ちした。



「……ここまでやっても死なないのか? さすがにしつこいな、再生(それ)



 クレスの眼が青く光り、ムーを観察する。

 クレスが薄く笑った。



「へえ、ゾンビたちと同じ寄生虫を飼ってるのか」


「なっ……!?」


「殺したヒーローの中に透視能力持ちもいたのさ。さて、タネはわかった」



 突如、炎を混ぜ込んだ竜巻にムーは閉じ込められた。火傷覚悟で外に逃げようとすると、衝撃波で中心に押し戻される。

 クレスの手元に雷を纏った氷の槍が出来上がる。



「中の虫を射抜く。再生もそれで終わりさ」



 クレスが槍投げの構えをとる。

 身動きの取れないムーに狙いを定めたとき、空が光った。


 クレスが顔を上げる。

 雲の向こう、赤い線が走っていた。

 炎の尾を引きながら、巨大な岩塊が大気圏を突き破る。

 二百メートルはあろうかという巨大隕石が、クレスめがけて飛びこんできた。



「……派手な援軍だな」



 クレスは矛先を隕石に変える。氷の槍が隕石に突き刺さる。


 次の瞬間、巨大な岩塊が空中で爆散した。

 炎をまとった流星群が王都へと降り注ぐ。


 クレスの意識が隕石に向いている隙に、ムーは強引に竜巻の外に飛び出した。

 炎や衝撃波によるダメージに顔をしかめながら、耳元をさする。



「ガロン、応答しろ! 隕石(あれ)は君の仕業か!?」


『ええ。この装置をうまく使えば隕石を落とせると思いまして。だってコレ、隕石群の元凶ですし』


「副作用は!?」


『月が落ちてくるまでの時間は、あと四十分になりました』


「馬鹿が! 我々の寿命が三十分も縮まった!」


『三十九分伸びたんですよ。使わければ、一分前に貴方が死んでる』



 クレスは目に青い光をたたえる。

 流星群がもたらす土煙の中に身を隠す、ムーの姿を探していた。



「見つけた」



 ムーに向き直ろうとした、その時――クレスは、不思議な光景を目にし、思わず足を止めた。


 ゾンビが、歩きスマホをしていた。



「……え?」



 いつの間にかゾンビたちは、スマホやタブレットなどのデバイスを手にし、みな一様に画面に釘付けになっている。中には町中を駆け回り、スマホやタブレットを配っているゾンビもいるようだ。



「……いや、何処(どこ)でそんな端末を……というか、スマホ眺めてる状況じゃないだろ? みんなして、何を見ている?」



 辺りを見渡し、クレスは目を見開いた。

 ついっさきまで無かったはずの建物が、そこにあった。

 王国広場のど真ん中に、色とりどりの広告パネルに彩られた巨大なビルが(そび)え立っていた。

 瓦礫と化した王都の中で――いや、たとえ王都が健在だっととしても、明らかに浮いている。


 ゾンビの群れが食い入るようにビルを見上げている。

 ビルに備え付けの大型フルスクリーンに光が灯り、少女の声でタイトルコールが読み上げられた。



『ヒーローVSエイリアン! 激闘を制するのは誰だ!?』



 画面が移り変わる、銀髪の少女がカメラに向けて笑いかけていた。

挿絵(By みてみん)



『さあ、ヒーローVSエイリアン&ゾンビ連合軍、侵略者同士のアツいバトルを、迫力の大画面でお届けします! いやー、すっごく目立ちますね、これ! 街頭ビジョンを拾ってきた(、、、、、)かいがあったというものです! 実況はこの私、リシェル・カーヴァンクルが担当します! 解説はこの方!!』



 壮大な効果音とともに、青ざめた顔の男に画面が切り替わる。



『今や壊滅状態のアストリア王国騎士団所属、ゲイリー・グルード氏です! ゲイリー氏、何かコメントを』


『……いや……何、これ? ……俺さっき、カイルに拉致(らち)されて……え?』


『解説役のゲイリー氏、何ひとつとして状況がつかめていないご様子です!』


『……俺、何でこんなとこ、連れて来られたの? カイルに、恨まれたから?』


『カイルさんは、今さらあなたに興味はないと思います! ぶっちゃけ全人類、あなたのことはどうでもって感じですね。ま、消去法です。今の王都に人語を話せる非ゾンビがロクにいなかったので!』



 ゾンビたちは画面を食い入るように見ている。

 クレスもまた、困惑顔で画面から目を離せなくなっている。



「……いや、何をしてるんだ、こいつらは……?」



 意味不明すぎる。


 防御特化装甲と無限の再生能力を盾にした殴り合い、そしてあの超巨大隕石。

 奴らにとっても、高リスクだったはず――捨て身の時間稼ぎだったのは間違いない。

 その貴重な時間を犠牲にして、奴らが準備していたことが――。



「……動画配信、だと?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ