表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/23

第6話 仲間になろう!②

「……何だ、あの男は?」



 空中に浮かぶムーの周囲を、ホログラムの警告文が取り囲む。



『警戒レベルを更新』

『更新』

『更新』

『更新』

『計測不能』

『撤退を推奨』


 ムーの視線は、一人の男に釘付けにされていた。

 ダークヒーロー、クレス=ウォーカー。

 クレスは今、カイルの上半身の行き先を眺めていた。カイルは陥没した地盤の裂け目から地下水道に転落し、流されてしまったらしい。



「……ゾンビを操る力、それだけか。本体は雑魚だね」



 クレスの言葉を聞いて、ムーは察する。

 ――マントの男は、あの少年の異常な再生能力を知らない。

 ――少年が死んだものと見做(みな)し、関心を失っている。次に彼が目を向けるのは――。


 クレスがムーに顔を向けた。

 ムーは頭を抱えた。



「ありえない」



 ――あれは、誰だ?

 ――フルパワーの一斉掃射を手のひらで受け止めて、やけどさえ負っていないぞ。

 ――なぜあんなバケモノが現れる? この世界はどうなっているのだ?


 ムーの耳元で通信機がさえずった。



『こちらガロン。緊急事態です』



 ムーはわずかに眉をひそめる。



『重力装置を解析したところ、厄介な事実が判明しました』



 ムーは応答しない。

 ガロンが不審そうにしているのを、通信機越しに感じる。



『結論から言えば、今から約一時間半で、この地に月が落ちてきます。あの装置には、月の軌道を曲げてしまう副作用があったようです。』


「ガロン、通信を切れ、私は忙しい」


『忙しい? これ以上の優先事項がありますか? 早く手を打たねば、私たちの寿命はあと九十分なのですよ?』


「九十分か……羨ましいよ」


『は?』



 こちらを見上げてくるクレスと、ムーは目を合わせた。

 五十メートルは距離があるだろうか。それでも不思議と二人そろって、お互いの表情や息遣いを把握していた。

 ムーは冷や汗をかきながら、苦笑いを浮かべる。



「私の寿命は、あと十秒あるかもわからんぞ」



 ムーの装甲が軋んだ。

 黒い外殻がスライドし、その下から銀色の多層装甲がせり出した。

 白いエネルギーの結晶が六枚、背中から翼のように広がる。

 胸部のコアが輝き、全身をほのかな青い輝きを包み込んだ。



「戦闘兵装……ゼレノアQ!」



 ムーの切り札、防御を捨てた特攻型装甲。

 一時的に摩擦と空気抵抗を無視することでき、そのトップスピードは音速を越える。



挿絵(By みてみん)



 しかし、その高速機動が日の目を見ることはなかった。

 何しろクレスは、ムーの目の前にいたのだから。



「やあ! 楽しい午後を過ごしてる?」



 クレスが片手を上げ、明るい顔で挨拶した。



「……え? あの……いつの間に?」



 ムーがそう言ったとき、胸部のコアはもう、音もなく砕け散っていた。

 六枚のエネルギー体も粉々だ。

 ムーの手足はバラバラで、胴も腰で二つに切り離されている。ムーの身体は血しぶきを上げながら瓦礫の街へと落ちていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ