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宇宙に放り出されたくないので婚活したら、うっかりプロポーズした  作者: サク


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3. 見積もりが甘かった、いつもそう

帰宅して最初に思った。


ドレスは鎧だというけれど、本当だろうか。

何も守っていないぞ。

少なくとも精神面は完全に無防備だ。

むしろ敵地に丸腰で立っている気分である。


ソファに倒れ込みながら、ようやく呼吸が整ってきた。


(疲れた……)


精神的な消耗が大きい。

大人数の中にいるだけでHPが削れるタイプの人間には、あの空間は長期滞在向きではない。


天井を見つめる。


(しばらく人と話したくない)


脳が勝手に記憶を再生する。


華やかな会場。

笑顔。

談笑。

そして、隅のテーブル。


藻ドーナツ。

虚無の味。

——ドレッシング。


クッションに顔を押し付けた。


声は出さない。出したら負けだ。


(……もう会いませんように)


婚活の世界は広い。

参加者も多い。

偶然の再会などそうそう起きないはずだ。


そう信じたい。


仕事をして、帰って、食べて、寝る。

婚活のことは考えない。

思い出さない。


平穏な生活は尊い。


――数日が経った。


帰宅後、何気なく端末を開く。

いつもの習慣だ。


見慣れた通知が表示されていた。


【AI推奨お見合い候補】


(……お見合い)


その単語だけで嫌な記憶がよぎる。


だが通知を放置するのも落ち着かない。

連絡が来た以上、確認しないという選択肢はない。

こういうところが真面目な国民性である。


詳細を開いた瞬間、記憶が具体的な映像として蘇った。


(……あ)


待て。


藻ドーナツにドレッシングをかけ、得意げに食べていた人間。

それを親切に訂正された側。


冷静に考えると、私ってだいぶアレな人間である。


写真を表示する。


「…………」


間違いない。


あの人だ。


(覚えてるだろうか)


藻ドーナツをドレッシングで食べていた人として。


忘れていてほしい。

心の底から。


端末を閉じる。


開く。


閉じる。


現実は消えない。


忘れてくれ。

思い出さないでくれ。

どうか何も言わないでくれ。

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