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赤く濁った血液
短編です。
私は苦手だった。
あのブツブツ感鳥肌がたつ
しかし夫は好きだという。夫のことは好きだが、この好みに関しては相容れない
夕方、憂鬱な時間。夫の帰る時間
私は今戦場に立っている。
総毛立つ
手が震えるが戦場の中で"奴は"どっしりと戦場で私を待ち構えている
覚悟を決め、私は勝負服のエプロンを身につける。
スノードロップが描かれた可愛いエプロンだ。
刃物を手に取り奴に向けて刃を立てた。
ぐちゅり、と音を立て、奴から血液が溢れ出す。
確かな手応えににやりとほくそ笑んだ
そしてそのまま刃物を思い切り落とした
赤と緑と入り混じった血液と種がどちゃっと、飛び散った。
「やだぁ」
切れ味の落ちた包丁は奴"トマト"を切るのではなく押し潰すようで、中の果汁と種をまな板のうえにぶちまけるだけではなく、まな板を伝って床にポタポタと落ちていった。
私はトマトの返り血を浴び、再びこのブツブツ感を嫌いになり、帰ってきた夫に慰めて貰うのであった。