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7話

可愛らしい双子の登場だね!とルカが楽しそうに言うと、ソルが無表情で答える。


「いいんじゃないんですか?」


「君は無反応だな。ルナはどうだ?着心地はいい?うんうん!髪の毛が長いから、三つ編み姿もいい!」


「ルカ様のように、髪を切ると本当にそっくりですけどね」


「駄目だよ、女の子は髪が大事なんだよ。切っては駄目だよ?ルナ」


そう言って、ルカは私の方をちらりと見た。


「うん、わかった。髪の毛は大事に伸ばすね」


とはいえ私たちは目立つ存在だから、髪色を茶色に変え、服装も普段とは違うものにした。ソルも見知らぬ執事姿に変装していて、彼は眼鏡をかけていた。それも、すべてルカの力でできたことだ。変身できるなんて、凄い!


「す、すごいね。魔法…ルカ兄がやったの?…あの、ルカ兄?」


私は興奮気味にルカに話しかけたが、なぜか彼はニヤニヤしているだけだった。どうしてそんなに嬉しそうにしているんだろう?


「聞いたかい?ソル!ルカ兄だって!あー、もう!この洋服も買おう!そうしよう!」


ルカは目を輝かせて、洋服の棚に向かって走り沢山買い物をし始めるが不安にもなった。


「あ、あの‥‥そんなに買って大丈夫なのかな…?」


困った顔をしていると、後ろにいたソルが静かに近づいてきて、私にコソッと耳打ちをしてくれた。


彼の吐息がかかり、なんだか恥ずかしい!!


「お金なら、山ほどあります。別な顔で賞金稼ぎとして稼いでましたし、買い物はすべてこの袋の中に入れるよう、魔力がかかってるので」


ソルの言葉に私はびっくりした。そんなことができるなんて、本当にすごいんだなって思った。

だけど、なんだか恥ずかしい!私は顔が赤くなるのを感じた。


ソルの美しさで、私でもつい見とれてしまう。私にとってはソルの鴉姿の方が、なんだか落ち着くんだよね。


「ソル」


「はい、ルカ様」


「君、ちょっと顔がいいからって、ウチの子を誘惑しないでくれ!」


ルカは冗談を言うように、少しからかうような表情でソルを見た。その言葉に、ソルは一瞬黙ってから、無表情で淡々と返事をした。


「…まあ、生まれつきなもので。」


その一言に、私は思わずくすっと笑ってしまった。兄とソルのやり取りを見ていると、なんだかあたたかい気持ちになって、胸がほっとする。どうしてだろう、こんなに平穏で幸せな時間が、こんなにも大切に感じるなんて。


「わ、私は、ルカ兄が1番すきよ」


私は照れくさくてついそう言ってしまった。すると、ルカは嬉しそうに私をぎゅっと抱きしめてくれる。

その腕の中で、私は心の中が温かくなるのを感じた。兄と一緒にいることがこんなに幸せだなんて、初めて感じるような気がした。


「ルカ兄、ありがとう」


心の中でそう思いながら、私はルカの胸に顔をうずめた。これから先も、ずっと一緒にいられることが本当に嬉しい。ルカと一緒に楽しく過ごす日々が、私の中で確かな未来を描いてくれる。


しばらくそうしていると、ルカはニヤリと笑って、私を腕から解放した。


「さあて、まだまだ!買うよ!」


「へ?」


私は思わず目を丸くしてルカを見た。あんなにたくさん買い物をしたのに、まだ終わらせるつもりはないらしい。ソルと私は顔を見合わせ、どうにかして止めようと思ったが、ルカの決意は固い。


「あ、あの、、、ルカ兄、さすがに買いすぎじゃない?」


少し困ったような顔をして言ったが、ルカはその言葉には耳を貸さず、楽しげにさらに歩き出す。


「いいじゃないか、少しだけ!もっと買おうよ!」


買い物の手が止まらないルカに、私とソルはあきれることなく、ただ笑ってついていくしかなかった。どんなにたくさん買っても、ルカが楽しそうにしているなら、それだけで私は幸せだった。

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