第5話 投票ミス
ピロンッ!
皆のスマホが一斉に鳴った。題名には「投票の結果」と書かれていた。内容は、豊田雄介が【裏切り者】だったということだ。
「だろうな。」
俺は思わずそう呟いた。すると琴音が話しかけてきた。
「どうやらこれで決まりみたいですね!」
「……ああ、そうだな」
俺がそう答えると彼女は嬉しそうに微笑んだ後こう言った。
「それでは皆さん!今から私達は全員で話し合いをして、裏切り者を見つけ出しましょう!」
琴音がそう提案すると皆賛成してくれたようですぐに話し合いが始まった。
「それで?誰が裏切り者なんだ?」
市ヶ谷が問いかけると皆は考え込んでしまった。そして暫くしてから1人の女子生徒、三鷹佑芽が声を上げた。彼女は震えながらも必死に説明を始めたのだ。
「わ、私は本当に何もしていません!ただ、このゲームに勝って生き残りたいだけです!だからお願いです!信じてください!」
三鷹の必死の叫びを聞いた皆は黙り込んでしまった。そんな中、琴音が口を開いた。
「三鷹さん……嘘をついているようには見えないですね……」
「ああ、そうだな」
俺もそれに同意すると他の生徒達も納得してくれたようで今度は市ヶ谷が声を上げた。
「なら誰だ?」
だが、それに対して反論する者がいた。それは立川沙季という女子生徒だった。彼女は泣きながら訴えたのだ。
「違うんです!私じゃないです!私はただ……みんなを救いたかっただけなんです!」
そんな彼女を見て他の生徒達も動揺しているようだった。そんな中、琴音は立川に話しかけたのだ。
「落ち着いてください立川さん。確かにあなたの気持ちは分かりますよ?でも、今は冷静になりましょう?」
「……はい」と返事をした彼女は落ち着きを取り戻したようだ。その後、しばらく沈黙が続いたが、やがて市ヶ谷が口を開いた。
「とりあえず、2人どっちかに投票しないか?」
「そうですね。それが良いと思います。」と琴音が賛同し、他の生徒達も賛成したため立川が追放されることになったのだ。
『時間だ。誰を追放する?』
ゲームマスターのアナウンスの後、皆がスマホを操作し始めた。投票の結果、立川沙季が追放されることになったのだ。彼女も泣きながら学校の外に追い出されていったのだった……
ピロンッ! 皆のスマホが一斉に鳴った。題名には「投票の結果」と書かれていた。内容は……立川沙季が裏切り者ではないというものだった。
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