第4話 次の裏切り者
ピロンッ!
皆のスマホが一斉に鳴った。題名には「投票の結果」と書かれていた。内容は…なんと、大久保叶が【裏切り者】だったというものだった。
「なんだと…!」
「まさか、本当に裏切り者だとは思いませんでしたね。」
俺と琴音は驚きの声を上げたが、他の生徒達はそれどころじゃないようだ。皆必死に誰が裏切り者なのか話し合っていた。そんな中で1人の女子生徒が声を上げた。
「そういえば、裏切り者が起こせる行動ってなんだったんですか?」
「それもそうだな…」
「あ!さっきのメールの他にもう1件メールが届いてます!」
俺もメールを確認すると、確かにもう1件メールが届いていた。題名は、「行動」だった。
「裏切り者は阿佐ヶ谷雄介を追放した…だと!」
「あらら、残念でしたね。」
琴音はクスクスと笑いながらそう言った。
まだ問題は残っている。それは4人の裏切り者は誰なのかということだ。
「それで?これからどうする?」
俺がそう聞くと琴音が答えた。
「そうですね……」
すると、市ヶ谷が声を上げた。
「なあ、四谷。お前裏切り者だろ?」
「なぜそう思うんですか?」
「だってお前、適当に1人追放してたまたま裏切り者だったからよかったけど、これで裏切り者じゃなかったらどうしてたんだ?」
「人狼ゲームでも、初日に適当な人に投票して処刑されることはありますよ。」
「そうか……なら、琴音。お前は誰が裏切り者だと思ってるんだ?」
俺がそう聞くと彼女は答えた。
「そうですね……皆さんの言動や行動を観察してみた結果、まあ、市ヶ谷君も怪しいですけど、追放対象は、豊田君。貴方だと思います。」
琴音はそう言うと皆一斉に豊田と呼ばれた男子生徒の方を見た。そして豊田は慌てた様子で弁明を始めた。
「ち、違う!俺はただ……」
「では何故貴方は先程から一言も喋らないんですか?」
「それは……」と言いかけたところで琴音が話を続けた。
「それに貴方は先程からずっとスマホを見ていましたよね?何か気になることでもあったのですか?」
琴音は豊田に向かって問いかけると、彼は黙り込んでしまった。そして暫くしてから静かにこう言ったのだ。
「分かった……認めるよ」
「……え?マジか……?」
俺がそう聞くと彼は小さく頷いて答えた。それを見た琴音が再び話を始めた。
「さて皆さん!誰が裏切り者なのか分かりましたよね!」
皆が一斉に豊田のスマホを見ると、そこにははっきりと書かれていた。"豊田雄介は裏切り者"と……。すると、琴音が皆に問いかけた。
「それで、誰が裏切り者か、お分かりになりましたよね?」
琴音の質問に皆は答えられなかった。すると、市ヶ谷が口を開いた。
「俺が悪かった。今回は豊田が認めたんだ。豊田に投票しよう。」
市ヶ谷がそう言うと他の皆もそれに賛成したようだ。
『時間だ。誰を追放する?』
ゲームマスターのアナウンスの後、皆が一斉にスマホを操作し始めた。投票の結果、豊田雄介が追放されることになったのだ。彼は無表情のまま学校の外に追い出されていった。
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