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トラストゲーム  作者: 夜明空
第1章 追放ゲーム
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第2話 追放ゲーム

ざわつき出す周囲。

『静かにしろ!』

スピーカから怒声が聞こえた。その瞬間、ざわついていた周囲が一気に静まり返った。

『第一戦目、追放ゲーム。まあ、皆様で言う人狼ゲームみたいなものを想像してくれ。さて、ルールを説明しよう。まず、この学校の中に「裏切り者」が5人、「一般生徒」が15人存在する。そして、その「裏切り者」はこの学校の生徒の中にいる。それを話し合って投票し、排除するんだ。もちろん、投票の際はスキップすることも可能だ。「裏切り者」は1日に1回行動を起こすことができる。だが、1日のうちに行動を起こせる「裏切り者」は1人だ。「裏切り者」同士は通信で繋がることもできる。そして、役職は今君たちが持っているスマホに送られる。』

俺はスマホを確認する。役職は【一般生徒】と書かれていた。

『このゲームの終了条件は簡単だ。裏切り者を全員排除すれば勝ちだ。だが、一般生徒の人数が5人になった時点で裏切り者の勝利となる。』

周りからは「そんなゲームに付き合ってられるか!」や「誰がこんなゲームに参加するか!」などと言う声が聞こえてきた。

『最後に、このゲームで敗北した者は………死ぬ。以上。』

その一言を最後にスピーカからの音声が途切れた。俺達は暫くの間黙っていたが、やがて1人の男子生徒が口を開いた。

「皆、聞いてくれ!俺はこんなゲームに参加するつもりはない!」

男子生徒の声は体育館内に響き渡った。すると、別の男子生徒が声を上げた。

「お……俺だってこんなゲームに参加するつもりなんてない!」

別の女子生徒が声を上げた。

「わ……私だってそうよ!」

そんな声があちこちから聞こえてくる。すると、スピーカーからまた音声が聞こえ始めた。

『ああ、言い忘れていたが、このゲームに参加しないものも死ぬ。死なないためにはゲームに参加し、ゲームに勝つこと。以上だ。』

再びスピーカーからの音声が切れた。

「どうするの?兄ちゃん?」

粋は不安げな表情で俺に聞いてくる。

「どうするって言われてもな……」

正直言って裏切り者を見つけろと言われたって1日目だから正直誰が裏切り者だか皆目見当がつかない。俺が頭を悩ませていると、1人の女子生徒に声をかけられた。

「もしかして貴方、裏切り者ですか?」

「は?いきなり何言ってるんだ?」

俺がそう聞き返すと、その女子生徒は「ふふ、そんなに怒らないでください。今のはほんの冗談ですよ。」

「笑えない冗談は辞めて欲しいな。」

「すみません、ちょっと悪ふざけが過ぎたみたいですね。」

「それで?君は俺に何か用でもあるのか?」

「はい、用があるので声を掛けさせていただきました。」

「用事があるなら早く済ませて欲しいんだが……」

俺がそう言うと女子生徒は急に真面目な顔になった。そして、こう言ったのだ。

「……貴方達は一般生徒ですか?」と……俺は警戒したが、一応答えておくことにした。

「ああ、そうだ。」

すると女子生徒は再び微笑んだ後こう言った。

「そうですか、では。」

俺は頭をフル回転させて返答をした。

「待て。」

「なんですか?」

「ここで話しかけられたのも何かの縁だ。君の名前を聞かせてくれないか?」

「ふふ、良いでしょう。私は四谷琴音と言います。」

「琴音か、いい名前だな。」

「ありがとうございます。」

そう言ってお辞儀をする姿はまるでどこかのお嬢様のように優雅な動きだった。だが、そんなことを気にしてる場合じゃない。俺は彼女に質問する事にした。

「今、琴音は俺に裏切り者か聞いてきたが、そういうお前はどうなんだ?お前こそ一般生徒なのか?」

俺がそう聞くと彼女は少し考え込んだ後、口を開いた。

「私は……そうですね。貴方達と同じですよ。」

俺は琴音の言葉に疑問を抱いたが、今はそれどころじゃないと思い質問を続けた。

「それで?琴音は俺に何を言いたいんだ?」

すると彼女はこう答えた。

「はい、実はですね……私と一緒に裏切り者を暴きませんか?」と……俺は一瞬何を言っているのか分からなかったが、すぐに冷静さを取り戻した。そして彼女にこう聞いたのだ。

「……何故だ?」

「理由は2つあります。1つは、貴方が信頼出来そうだと思ったからです。」

「俺みたいな奴を信頼できるとは変わった奴だな。」

「もう1つの理由は……貴方が面白そうだったからです。」

「……は?」

俺は一瞬耳を疑ったが、すぐに冷静になった。そして彼女にこう質問した。

「おい琴音、お前ふざけてるのか?」

すると彼女は少し微笑みながらこう言ったのだ。

「いえ?私は至って真面目ですよ?それでどうしますか?」

「はぁ……分かったよ。お前に協力してやる。」

「ありがとうございます!では、これからよろしくお願いしますね?千間隼斗君。千間粋君。」

「…!?よろしくお願いします。」

「ああ、こちらこそよろしく頼むよ琴音。」

こうして俺たちは琴音と協力して裏切り者を探すことになった。

「それで、どうやって探すんだ?」

俺がそう聞くと彼女はこう答えた。

「とりあえず話し合いから始めましょう!」

「まあ、そうだな。みんな!ちょっと聞いてくれるか?」

俺がそう言うと全員が俺の方を見た。

「なんだよ、いきなり話しかけてきやがって」

と男子生徒が言ってきたのを皮切りに次々と文句を言われた。だが俺は気にせずに話を進めた。

「これから皆で話し合いをしようと思う!とりあえず皆自己紹介から始めようか!」

俺がそう提案すると皆が賛成してくれたので早速始めることにした。そして最初に口を開いたのは琴音だった。彼女は皆に一礼してから話し始めた。

「初めまして皆さん、私は四谷琴音と言います。これからよろしくお願いしますね?」

次に俺が自己紹介をした。

「俺は千間隼斗だ。宜しく頼む」

その後、他の生徒達も順番に自己紹介をしていき最後に粋が自己紹介を終えたところで話し合いが始まった。

「じゃあみんなは誰が裏切り者だと思う?」

「そんなこと言われたって、誰も何もしてないんだからわかるわけないだろ!」

と、男子生徒……、市ヶ谷流星に言われてしまった。

「まあ、そうだよな…」

俺が困っていると、琴音が話に入ってきた。

「ここはとりあえず1人試しに追放してみませんか?」

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