第10話 終局
メールが届いた。題名には「投票の結果」と書かれていた。内容は水道橋公也が裏切り者だという事だそうだ。
「粋、よく見ていたな。」
「えへへ、ありがとう。」と粋は笑顔で言った。そして、琴音が勝ったと言わんばかりの表情で口を開いたのだ。
「これで裏切り者の残り人数は1人……かなり有利な状況になりましたね……」「ああ、そうだな。」
俺が同意すると琴音が更にこう続けた。
「実は、私も水道橋君が怪しいと思っていました。実際、水道橋君は裏切り者でした。そして、私がもう1人怪しいと思っている人がいます。ですので、次に投票する人を私が決めても良いですか?」
「ああ、任せるよ。ちなみに聞くんだが、それは一体誰なんだ?」と俺が言うと琴音は静かに頷き口を開いたのだ。
「それは…三鷹佑芽さんです。」
「……え?」
俺は思わずそんな声を出してしまった。すると、三鷹が泣き出してしまった。
「な……なんで私なんですかぁ!!私は本当に何もしてないんですよ!?なのにどうして!!」
彼女は泣きながら訴えたが、琴音はそれを無視するかのように言葉を続けた。
「理由は2つあります。1つは、先程も言ったように水道橋君と同じくらい怪しく尚且つ水道橋君が追放されたからです。もう1つは……」とそこで一旦区切ると今度は三鷹の方を見たのだ。そしてこう言ったのだった。
「あなたもさっきからずっと会話に参加せず、携帯電話を見ていましたよね?」
「「「…!」」」
思い返せばそうだった。確かに三鷹は自分が裏切り者ではないと宣言してから一言も喋っておらず、そして、ずっと携帯電話を見ていると感じていた。
「それに、三鷹さんの発言は他の人の意見に賛同するかの様なものばかりでしたよね?」
「……はい」と彼女は小さく答えた。
『時間だ』
ゲームマスターのアナウンスの後、皆がスマホを操作し始めた。投票の結果、三鷹佑芽が追放されることになったのだ。彼女は何かを悟ったよう無表情で学校の外に追い出されていったのだった……
『今回のゲームは……一般生徒の勝利だ。おめでとう。』
メールが届いた。「投票の結果」と「勝者」と2通が送られてきた。内容は投票の結果は三鷹佑芽が裏切り者だったということ、勝者には俺達一般生徒側が勝利したということが書かれていた。そして、市ヶ谷が笑顔で話しかけてきた。
「やったな!俺達の勝ちだ!」
「……ああ」
俺は複雑な気持ちだったが取り敢えず頷いたのだった……
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次回から第2ステージとなります。